ジャガー、グランツーリスモ向けのフル電動モデル『ビジョン・グランツーリスモSV』発表

 ジャガーはイギリス現地12月16日に、PlayStation4用ソフトウェア『グランツーリスモSPORT』向けに開発した最新のフル電動バーチャル・レーシングカー『Vision Gran Turismo SV(ビジョン・グランツーリスモSV)』を発表。2019年に同作向けに初登場した『Vision Gran Turismo Coupé(ビジョン・グランツーリスモ・クーペ)』をベースに改良を加え、実際にフルスケールでのデザインスタディを経て製作されたボディに「ABBフォーミュラE選手権由来のパワートレイン技術を融合した」としている。

 2019年10月に登場した前作『ビジョン・グランツーリスモ・クーペ』を引き継ぎ、最新のシミュレーションツールを駆使してエアロダイナミクスの最適化、テスト、実証を行ったという新型『ビジョン・グランツーリスモSV』は、ブランドの伝説的名車『C-TYPE』や『D-TYPE』、そして近代のスポーツカー耐久で栄華を誇った『XJR-9』や『XJR-14』に代表されるジャガーのアイコニックなデザインと、革新的な未来技術を組み合わせたモデルと謳われる。

 ジャガーのデザイン・チーム、SVメンバー(高性能部門SVO/スペシャル・ビークル・オペレーションズ)、そしてジャガー・レーシングから成る開発チームは、オンライン上で交わされるゲームプレイヤーからのフィードバックを詳細に分析し、仮想空間でのテストと何時間にもおよぶ実走テストを組み合わせることで、ビジョン・グランツーリスモSVをいかに最適化するかを正確に判断し、完璧なゲーム用の電動耐久レーシングカーの製作を目指した。

 軽量複合材ボディの構造を持つビジョン・グランツーリスモSVには、先代の3つを上回る4基のモーターを搭載し、最高出力1400kW(1903PS)、最大トルク3360Nmを発生。インテリジェントな全輪駆動システムとトルクベクタリングを組み合わせ、0-60mph(0-100km/h)加速1.65秒、最高速度255mph(約410km/h)という圧巻のパフォーマンスを発揮する。

 フロントアクスルを駆動するモーターを追加したにもかかわらず、ホイールベースは2721mmと先代から不変とし、『C-TYPE』や『D-TYPE』にインスパイアされたフェンダーラインがエレガントなシルエットを創出。

 先代比で全長は861mm短縮された5540mmとし、空気抵抗を最小限に抑えながらダウンフォースを最大化するという相反する課題を同時に解決するため、ビジョン・グランツーリスモSVでは最新の解析ツールを用いて各部の最適化が図られた。

 完璧に密閉されたアンダーボディにはフロントアクスルの後方に高速安定性を高めるためのキールエレメントがあり、空気の流れを加速させて減圧し、車体の浮きを抑えながら大型のベンチュリを介して排出する。

 大型で効率的なスプリッターがフロントアクスル上にダウンフォースを発生させ、さらにフロントバランスチャンネルの開口部が前輪の面全体に空気を送り、乱気流を減らしながら車両の後方に向かってスムーズに流れ、ホイールウェルを通過した空気もフェンダー内の排出口からリア方向へ沿うように気流を供給する仕組みだ。

PlayStation4用ソフトウェア”グランツーリスモSPORT”向けに開発した最新のフル電動バーチャル・レーシングカー『Vision Gran Turismo SV』
ジャガーのデザイン・チーム、SVメンバー(高性能部門SVO/スペシャル・ビークル・オペレーションズ)、そしてジャガー・レーシングが開発に携わる

■フォーミュラEで活躍するジャガー・レーシングがパワートレイン開発を担当

 そして『XJR-14』などジャガーのDNAを受け継ぐ耐久レーシングカーにインスピレーションを受けて開発された“デプロイアブル・リアウイング”は、メインの固定部分が車両の後部を包み込み、リヤハンチに溶け込むように融合。必要に応じてふたつの可動式セクションは速度が上がると自動的に上昇してダウンフォースを発生させ、空力抵抗を抑える状況下では規定の位置まで下降する。

 この結果、空気抵抗係数(Cd値)は0.398とレーシングカーとしては圧倒的に低い数値を実現しながら、483kg/200mph(約320km/h)のダウンフォースを発生させるという。

 一方で、この仮想空間でのパワートレイン開発は過去6シーズンにわたってフォーミュラE参戦マシン『I-TYPE』の開発を担ってきたジャガー・レーシングのエンジニアが担当。

 作業は主にふたつのプロジェクトに分かれ、ひとつはフロントアクスルに2基の300kW(407PS)を発生するモーターを搭載し、高出力とトルクを実現すること。そして大きな負荷に対応するため温度制御システムを改良し、耐久レース中も長時間の高速走行と加速性能を維持できるよう、開発目標が定められた。

 この電動全輪駆動システムと各ホイールにそれぞれ1基のモーターを配置する構成により、横方向と縦方向のトルク配分を無限に制御することができ、優れたトラクション、敏捷性、コントロール性を両立したトルクベクタリングが可能に。

 ジャガー・レーシングのチームディレクターを務めるジェームズ・バークレーは「ジャガー製レーシングマシン 『I-TYPE』と並行してビジョン・グランツーリスモSVの開発に携わったことは、ジャガー・レーシングのエンジニアたちにとって彼らの専門知識や経験を2台のすばらしい電動レーシングカーに応用するという、これまでにない機会となった」と、その成果を語った。

「どちらのモデルも、最先端のシミュレーションツールを使用して設計・開発され、フル電動パワートレインとソフトウェア技術を最大限に活用している。フォーミュラEのシーズン7、そして『グランツーリスモ』でそのパフォーマンスを発揮することを楽しみにしているよ」

4基のモーターを搭載し、最高出力1400kW(1903PS)、最大トルク3360Nmを発生。インテリジェントな全輪駆動システムとトルクベクタリングを組み合わせ、0-60mph(0-100km/h)加速1.65秒、最高速度255mph(約410km/h)の性能を誇る
ABBフォーミュラE選手権のシーズン7に参戦するジャガー・レーシングの『I-TYPE 5』

Jaguarウェブサイト:http://www.jaguar.co.jp
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