最後は両者とも晴れ晴れ。直接対決で敗れた平川亮「悔しいですけど、力一杯やりきれてよかった」【第7戦富士決勝】

 スーパーフォーミュラ最終戦富士のタイトル争い。予選でまさかの8番手スタートとなった平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は予選3番手の山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に追いつき、一度はオーバーテイクを成功させて前に出たものの山本に抜き返され、タイトルを逃す結果となってしまった。惜しくも敗れた平川。しかし、レース後の表情は晴れやかだった。

「力一杯、やり切りましたね。もちろん悔しいですけど、これが僕とチームの今の力なので、出し切れたのは良かったと思います」とレースを終えたばかりの平川。

 17周目には先にピットインしてタイヤの温まった平川が、1周遅れてピットインしてアウトラップに入った山本と直接バトルとなり、TGRコーナー(1コーナー)からサイド・バイ・サイドでトヨペット100Rコーナーではアウトから並び、アドバンコーナーのヘアピンでイン側となって前を奪った。

 しかし、その後の後半セクションではタイヤの温まった山本が逆襲。ストレートで山本はOTS(オーバーテイクシステム)を使ってスリップから平川にオーバーテイクを仕掛けるも、平川のOTSはすでに使い切っていた。

「山本選手のアウトラップで一度前に出れましたが、向こうはOTSが残っている綠色のライトが見えていて、僕は使ってしまっていたので、無理だなとは思っていましたね」と、苦笑いする平川。

 ストレートではスリップからサイドに並び掛ける山本をラインを変えつつ鬼ブロックで防ごうとしたが、敵わなかった。

「山本選手にスリップに付かれてブロックしましたが、あの寄せ方は本当はあまり良くないですよね」と、反省を込めて振り返る平川。

 その後も山本の背後で1秒差以内のギャップでチャンスをうかがうも、オーバーテイクできそうな機会はなかった。

「追いかけているときは、前がミスしない限りは抜けないと思っていました。できる限りのことはやっていましたし、こっちは結構、かなりダウンフォースを削っていたんですけど、それでもストレートは(ホンダ勢に)敵いませんでしたね。そこはTRDが来年、やってくれると思います」

「OTSもなくなるのがだいぶ早くて、僕の悪い癖ですね。ゼロになって、だけどもう一度押してみたんですけど、やっぱり効かなかった。『押してみたら、実は使えました』みたいなのはなかったです(苦笑)」と、冗談まで話すように晴れ晴れとレースを振り返る平川。

 今回の富士戦を振り返ると、平川は土曜日は好調さを見せていただけに、日曜朝の8番手に終わった予選がやはり敗因のひとつになった。

「予選はクルマのセットアップで昨日から進めた部分で、結構自信があったんですけど意外によくなかった。そこからセットアップを戻すこともできないので、今日のコンディションを見越してだったんですけど、よくなかったですね」

「Q1からQ2、Q3とみんなと同じくタイムが上がっていくと思ったんですけど、どんどん滑るようになっていって、おかしいなと。でも、原因は分かっていましたし、それくらいチャレンジしてセットアップを詰めていった結果なので、悔いはないです。レースでも毎周プッシュしていたので、楽しかったですしね。チームもこれまでピット作業でミスがありましたけど、最後のレースでバチッと決めてくれたのでよかったです」と平川。

 決勝レースを終えてマシンを降りた直後、平川はウイニングランを終えた山本のもとへ向かった。どんな言葉を話したのか。

「『おめでとうございます』という言葉と『ありがとうございました』みたいな感じですね、やっぱり、山本選手のようなライバルがいるので、自分たちもいろいろやって速くなれる。本当にそういうライバルがいてくれて感謝です」 

 一方の山本も会見で平川について、「ストレートでのウェービングや進路変更も勝ちたい気持ちの表れで、それでも1車身残してフェアに戦ってくれた。速いだけでなく平川選手のような存在がいてくれたからこそ、スーパーGTでもスーパーフォーミュラでも直接的なライバルとして、僕も自分の能力を最大限発揮させることができた。彼には心から感謝しています」と敗れたライバルを讃えた。

 直接対決で見た目にすっきりと勝敗が決まった2020年シーズンのチャンピオン争い最終決戦。レース後は勝った山本だけでなく、敗れた平川もまた、穏やかな笑顔を見せていた。

スーパーフォーミュラ第7戦富士決勝
直接対決でタイトルを戦った平川亮(左)と山本尚貴(右)レース後はお互いを讃え合った