山本が平川との直接対決を制して2年ぶり3度目のタイトル獲得。坪井が今季2勝目【第7戦富士決勝】

 2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦決勝(40周)が行われ、フロントロウからスタートした坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)抜群のスタートを決めてトップに立ち、今季2勝目を記録。

 そして、タイトル争いは平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)とのコース上の直接対決を制した山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が5位に入賞し、2018年以来2度目となるスーパーGTとのダブルタイトル獲得を達成した。

 決勝レースの前に行われる8分間のウォームアップ走行中、関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のマシンが最終コーナーの立ち上がりで突如炎を上げてストップ。セッションは赤旗中断となった。幸い関口に怪我はなかったが、これで最終戦のグリッドに着くことは不可能に。

 このアクシデントでスタート進行は遅れ、14時47分にフォーメーションラップが始まったが、タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)がスタートできずピットスタートに。さらにシャルル・ミレッシが13コーナーでスピンし、結果17台のマシンがグリッドにつき、40周の決勝レースがスタートした。

 好スタートを切ったのは2番手グリッドの坪井。ポールシッターの野尻智紀(TEAM MUGEN)は出遅れ、コカ・コーラコーナーでオーバーテイクシステム(OTS)を使った4番手スタートの松下信治(Buzz Racing with B-Max)にもかわされ3位に後退。その後方には山本、笹原右京(TEAM MUGEN)、平川が続く。平川は4周目の1コーナーで笹原をかわし、ライバル山本の背後まで迫ってきた。

 レース序盤から山本と平川の直接対決がヒートアップ。前でゴールしたほうがチャンピオンに輝くこの戦いは、8周目に入るホームストレートで平川がOTSを使って山本のテールに一気に迫ってくる。ただし、山本も要所を抑えて平川の攻めをブロック。1秒を切る熾烈な戦いは数周にわたって続いていった。

 トップの3台はほとんどギャップが変わらないまま、ピットウィンドウが開くと野尻が一番にピットへと駆け込んでくる。坪井、松下に対してアンダーカットを狙って早めに動いたが、まさかの作業中に右フロントタイヤのナットが飛んでしまい、5秒近くタイムを失ってしまった。なんとか同じ周にピットインした大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)の前でコースへ復帰することに成功したものの、アンダーカットは失敗に終わってしまう。

 その後、上位陣で動きを見せたのは平川で14周を終えるところでピットイン。7.3秒の作業時間でピットを後にすると、野尻と大湯の間でコースに復帰する。これを見て山本が翌周にピットイン。ピット作業時間は平川とほぼ同じで、野尻の後ろでコースに戻ると、大湯の先行を許して平川の前へ。

 チャンピオン争いはコース上に委ねられた。ここが絶好のチャンスと平川は一気にペースアップ。100Rでアウト側から並びかけるとそのままヘアピンへ。山本のイン側を取って逆転に成功する。

 しかし山本も一歩も引かず、ダンロップコーナーではアウト側から仕掛けようとする。2台は超接近戦のままストレートに戻ってくると、山本はOTSを使って1コーナーで超レイトブレーキング。オーバーランしかかるもなんとか踏みとどまって平川のクロスラインを防いで再び、前に出てみせた。この時点で平川のOTSの残量を示すLEDライトは20秒以下を表す赤色になっていた。

 タイトル争いの2台の前では、トップを走る坪井が16周を終えるところでピットイン。実質のトップを守ってコースに復帰する。後方には松下、野尻、そしてピット作業でポジションアップに成功した大湯と並んでいた。ただし、ピットストップを終えていないマシンのなかには最後尾からスタートしていたキャシディの姿が。キャシディはオープニングラップで12番手までポジションを上げると、その後も好ペースで周回を重ねていた。

 暫定トップを走っていた笹原がピットに向かった20周目、笹原に変わって暫定トップに立ったキャシディと実質トップの坪井との差は約26秒。タイトルを争う山本との差は35秒に開いていたが、キャシディはここから自己ベストタイムを連発してさらにギャップを広げていった。

 29周目、見た目上で4番手を走行していた野尻がヘアピンコーナーでマシンを止めてしまう。左フロントタイヤがロックした際にパンクチャーが起きたようで、そのままマシンを降りることに。ポールポジションを獲得し、逆転チャンピオンの可能性もあった野尻の最終戦はリタイアという結果に終わってしまった。

 一方、キャシディは坪井との差が30秒以上に広がったレース30周にピットイン。山本と平川の間に入る形でコースに復帰した。山本との差は2.1秒あったが、キャシディはフレッシュタイヤで一気に近づくと、34周目のコカ・コーラコーナーで逆転し、4位にポジションアップしてみせた。

 残り6周、トップ争いが接近。今季すでに1勝を挙げている坪井と大湯の2勝目をかけた戦いは1秒を切る展開に。また3番手の松下、さらにキャシディも近づき、ファイナルラップでは4台がパック状態に。しかしそのプレッシャーをはねのけた坪井がトップチェッカーを受け、今季2勝目を飾った。2位の大湯は、第6戦鈴鹿の初優勝に続き連続表彰台でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。松下は最終戦にしてスーパーフォーミュラ初表彰台となった。

 タイトル争いは1.189秒差で平川とのコース上の直接対決を制して、5位チェッカーを受けた山本に軍配が上がった。2018年に初のスーパーGTとのダブルタイトルを獲得して以来、2度目のダブルチャンピオンに輝いた。

2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)