キャシディへのペナルティはなし。最終戦富士を目前に明確になったエンジン交換の処遇

 2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権の最終戦、第7戦富士がいよいよ今週末、幕を開ける。2週間前に行われた第6戦鈴鹿の決勝でエンジントラブルからリタイアを喫したニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)は、エンジン交換が必要となるためペナルティが課せられるのか否かに焦点が集まっていたが、レース直前の金曜日、キャシディへのペナルティはなしと判断が下された。

 スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿でポールポジションからスタートし、序盤はトップを守っていたものの、突如ホームストレートで白煙を上げながらスローダウン。エンジントラブルにより、2020年シーズン2勝目の大チャンスを失ってしまったキャシディ。

 それまで安定感のあるレース運びで毎戦入賞を果たし、順調にポイントを積み上げていたところでの手痛いトラブルだった。これにより、キャシディのマシンはエンジン交換を余儀なくされ、キャシディ自身も前戦のレース後には「チャンピオン争いはおしまいだ」と口にしていた。

 たしかにキャシディの言うとおり、ペナルティが課せられればタイトル争いは相当厳しい状況になる。2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則では、年間のエンジン使用基数は1基と定められており、2基目の使用には10グリッド降格のペナルティが課せられると記されているからだ。

 ただし、そこには『エンジン破損により本規則第7条2.1』に定めるドライバーに対する得点を得ることができなかった車両は、この限りではない』とも記されており、第6戦決勝はリタイア、ノーポイントに終わったキャシディはペナルティを回避できるのではないかという説も浮上していた。

 唯一の懸念事項だったのは、2020年シーズンから採用された予選ポイントだ。予選の上位3名には今年からポイントが付与されることになったが、キャシディは第6戦でポールポジションを獲得しており、3ポイントを加算していた。このポイントが前述の規則に関与するのか否かは規則に記されておらず、その行方が注目されていた。

 そして、第7戦富士のレースウィークが始まる金曜日、富士大会の審査委員会に判断が委ねられていたが『ペナルティなし』という結論が出された。今回、ペナルティが回避された理由としては統一規則第24条2.4に『決勝レースにおいて〜』というひと言が記載されていたためと思われる。あくまでキャシディが獲得した3ポイントは予選のものであり、決勝レースでのポイントではないためこのような判断となったようだ。

 キャシディは最終戦を前にしてポイントランキングでトップと9ポイント差の4位につけており、2年連続チャンピオンの可能性を十分に残している。今回の裁定により、唯一の懸念事項がなくなり、晴れて2基目のエンジンを積んで、ライバルたちと同条件の舞台に立てることとなった。

 2021年はフォーミュラEに参戦するため、おそらく今回の富士大会がスーパーフォーミュラでの最後のレースになるキャシディの逆転タイトル獲得へ向けた戦いが始まる。

2020年スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
2020年スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿でエンジンブローでリタイヤに終わったキャシディ