脱力して臨む平川亮に、山本尚貴「心理がつかみきれない相手」。対照的なふたりが迎える最終富士決戦

 全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦富士を前日に控えた12月18日、自力優勝でチャンピオンが決まる2名、ドライバーズランキングトップの平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と、同ポイントで並ぶ山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が記者会見(フライデーミーティング)に出席し、最終戦に向けての抱負を述べた。

 まずは今季のこれまでの戦いを振り返る平川と山本。平川は得意なサーキットでの取りこぼしを悔やむ。

「シーズンの前半は自分の得意なサーキットもあり順調でしたが、ミスで取りこぼしたレースもいくつかあったので、そこは惜しかったですね。一番は第4戦オートポリスの予選で失敗してしまったこと。うまく挽回しようと思ったんですけど、挽回できず。第5戦、第6戦の鈴鹿も、少しリズムが悪く、あまり多くのポイントを取ることができませんでした」と平川。

「なんとか運もあって、タイトル獲得のチャンスが一番ある状況で最終戦に来ることができているので、結果はあまり気にしないようにして頑張りたいと思います」と続ける。

 今年の平川で特筆すべきは、その予選での速さだ。練習走行から予選まで、多くのセッションでトップタイムをマークして早い段階で週末の主導権を握ってきた。

「どちらかというと、ほとんど自分でセッティングを考えるようにして、それがはまっているような感じです。もちろんエンジニアの方も考えてくださるんですけど、自分の考えとエンジニアの考えを合わせて、あとは自分で走ってみた感覚で決めて週末に臨んでいます」と、今年の取り組みを話す平川。

「走ったらどうかというのはすぐ自分でわかるので、持ち込みセットが失敗していたとしてもすぐに挽回できるし、持ち込みがよかったらより速くすることができるというのが今年はどのサーキットでもできています。富士は公式テストでも調子が良かったので、そこをベースにしっかりアジャストできれば、全然いけると思います」と最終戦にも自信を持つ。

 ただ、チャンピオンというタイトルに向けては、無欲であることを強調する。

「スーパーGTの最終戦でああいうことがあったので、スーパーフォーミュラでシリーズタイトルを獲ることができればすごく嬉しいですけど、気にしても仕方がない。どちらかと言えば2日間楽しんで、ゆっくり年を越したいなという思いがあります。新型コロナウイルスの影響でシーズン開幕が遅れて、ここまでスケジュールが詰め詰めで本当に忙しかったのですが、あと2〜3日で終わる。しっかりと最後まで集中して、頑張りたいと思います」と、言葉だけを見ると気の抜けたコメントのようにも見えるが、もともとクールなコメントをするのは平川のスタイル。

 スーパーGTでは、チェッカー直前のガス欠により、シリーズタイトルを逃すショッキングな最終戦となった平川。そのスーパーGTと同じスーパーフォーミュラ最終戦の富士戦だが、達観したような、リラックスしたようなクールな平川スタイルは今年、さらに磨きが掛かったようだ。

 一方の山本尚貴は、平川と対照的だ。開幕戦をノーポイントで終えたものの、第3戦から二桁ポイントを連続して獲得し、第5戦ではポール・トゥ・ウイン。決勝での強さを武器に、右肩上がりでシーズン最終戦を迎える勢いがある。

「前半戦はミスもありましたし、平川選手とは逆にポイントで下位に沈んでしまいました。第3戦SUGOから、ようやく歯車が噛み合ってきた感じで、そこから毎戦、表彰台に絡むレースができていることが今のポジションに繋がっているのかなと思います。もちろん、平川選手をはじめ、ほかの選手も取りこぼしたレースがあったおかげで、追いついたという感じも否めないですが」

 先にリラックスしたコメントを残した平川とはマインドが違うことを、山本もこの会見で悟ったようだ。

「平川選手は『結果はあまり気にしないように』と言っていたので、あえて言えば僕は結果しか見てないし、絶対にタイトルを獲って帰りたいなと思っています」と山本。自分とはあまりに異なる平川のスタイルに、素直に戸惑う言葉も残した。

「チャンピオン争いをさせてもらっている中でいうと、このフライデーミーティングで心理が掴みきれない相手というのはなかなかだと思います(笑)。それが平川選手のキャラクターだし、そのキャラクターと速さとのギャップがあるところが、またファンにとっての魅力だと思います」

「でも、コースに出たらバチバチにやり合う相手ですし、相手の胸を借りるじゃないですけど、ライバルであることにマイナスな要素が何もない相手なので、彼の胸を借りながらライバルたちといい戦いをして、最後はタイトルを獲れるように頑張りたいなと思っています」と山本尚貴。

 最終戦の週末のポイントとして、平川は「予選で前に出ること。ポールポジションの3ポイントを取るというのが結構大きい」と語り、一方の山本は「土曜の専有走行から自分のクルマが周りに対してどの位置にいるのか把握し、その準備をしっかりとやること」だと返答。キャラクターのまったく異なるふたりが同ポイントで迎える最終決戦富士。その戦いがいよいよ火蓋を切った。

2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第7戦富士 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)