「新時代を切り開くはずがあえなく撃沈」マツダ痛恨の勇み足となったファミリアNEO・1.5RSを捕獲!【ManiaxCars】

「新時代を切り開くはずがあえなく撃沈」マツダ痛恨の勇み足となったファミリアNEO・1.5RSを捕獲!【ManiaxCars】

今では“ぶさカッコ良い”スタイルが新鮮だ!

ランティスのようでランティスじゃない珍フォルム

日本市場でまるで受け入れられなかった3ドアハッチのスタイリング、その煽りを受けてわずか1年4ヵ月で生産打ち切り…と、変態グルマとしての資質は十分なファミリアNEO。しかも、取材車両はスポーティグレードのインタープレイ系でなく、“ベーシックモデルの最上級グレード”という立ち位置そのものが、さらに変態度を高めている1.5RSだ。

ファミリアが8代目BH型にフルモデルチェンジした1994年6月、3ドアハッチバックモデルは『NEO』というサブネームが与えられて登場した。そこには、「ファミリアの新しい姿を具現化する」というマツダの思いが込められていたはずで、世の中的にはすでにバブルがはじけていたにも関わらず、グレード名をアルファベット2文字で表した、割とやっつけな感じのベーシック系と、インタープレイと呼ばれる、かなり力の入ったスポーティ系の2本立てで展開。

しかも、ベーシック系は97psのZ5-DE型1.5L直4DOHCのみの搭載に対して、インタープレイ系は同じ1.5L直4DOHCでも125psを誇るZ5-ZE型と、135psの1.8L・BP-ZE型の2種類が用意されるなど、明確な差別化というか棲み分けが図られていた。

今回の取材車両はベーシック系の最上級モデルとなる1.5RS。そのネーミングから「もしやベーシック系のスポーティグレード!?」と勘違いしそうだが、カタログによるとコンフォートグレードという位置付けらしい。ベーシック系は一番下にビジネスグレード、つまり営業車需要に応えるES、真ん中にカジュアルグレードのLSが存在し、その頂点にRSが君臨…という感じだ。

いずれにしろ、RSはESやLSに対して装備が充実。走りに関する部分では前後スタビライザーや175/70-13サイズのタイヤ(ES/LSは155SR13)、タコメーター、フットレストなどを標準装備。さらに、パワーウインドウ&集中ドアロックなども備わるのだから、コンフォートグレードに偽りなしだ。

ファミリアNEOにおける最大の変態ポイントは、そのスタイリングに尽きる。3ドアハッチでスポーティな風情は漂わせているが、どこか垢抜けないし、スタイリッシュとも言いがたく…要は“ずんぐりむっくり”しているのだ。

同じ時代、マツダはランティスの5ドアハッチバックを擁し、“クーペ”と呼んでいた。それは、誰が見ても「カッコ良い!」と思うほどのフォルム。なのに、本来よりスタイリッシュでなければならない3ドアハッチバックのファミリアNEOがそうじゃないのはなぜ?…と思ってボディサイズを調べてみた。

全長はどちらも1695mm。全長/全幅はファミリアNEOが4030mm/1405mm、ランティスが4245mm/1355mm。ということは、ファミリアNEOはランティスより全長が200mm以上短いのに全高が50mm高く、さらにホイールベースも100mm短かったりする。つまり、前後方向に寸詰まっていて背が高いから、見た目のバランスがよろしくないのは当然だ。

1.5RSはスチールホイールに175/70-13サイズのタイヤが標準だが、取材車両は1.8インタープレイX用の純正15インチアルミホイールに195/55-15サイズのミシュランパイロットスポーツ3を装着。

曲面を多用した凝ったデザインのダッシュボード。「バブル期設計のクルマはお金がかかってる」と実感するポイントだ。ナルディのウッドステアリングは、オーナーがSB1シビック時代から使い続けている年代モノ。また、メーターはスピードメーターを中心に、左側にタコメーター、右側に水温&燃料系が配置され、左右がドライバーに向くよう微妙に角度が付けられるなど、ここも凝った作りになっている。

センターコンソールは、上からエアコン吹き出し口&ハザードスイッチ、デジタル式時計&リヤデフォッガースイッチ、エアコン操作パネルを配置。ダッシュボード右端にはコインホルダーと並んで、ライターを入れるのにちょうど良い小物入れが。これ、カタログではガムを入れておくスペースとして紹介されているらしい。

ミッションは4速ATの他、5速MTも用意。その前方には、引き出し式のカップホルダーも確認できる。

シートサイズがゆったりしてるのは、マツダの伝統とも言える部分。

運転席の座面は前方と後方で別々に高さを調整でき、チルトステアリングと合わせてベストポジションを見つけることが可能だ。

低中速トルク重視で扱いやすいZ5-DE型エンジン。カムカバーは、オーナー自らが丹念にバフがけして仕上げたもの。また、今ではレアアイテムのマツダスピード製ストラットタワーバーも装着される。ちなみに、燃費は100km/h巡航で17km/Lと、年式を考えれば非常に優秀だ。

マフラーはマツダスピード製に交換。RSのZ5-DEとインタープレイのZ5-VEでは中間パイプとマフラーのフランジ位置が異なり、互換性はナシとのこと。そのあたり、エンジン性能に合わせて作り替えていたわけで、マツダの真面目なクルマ作りが伺える。

オーナーが集めたスペアパーツの数々。マツダスピード製中間パイプ&マフラー、ストラットタワーバー、フォグランプ、パワーウインドウレギュレーター、リヤスポイラーなど。どれも今では入手が難しいアイテムばかりだ。

少し試乗させてもらったが、走りは優等生そのもの。ここまで良く走るのに、わずか1年4ヵ月で生産終了に追い込まれたのは、やはりスタイリングが受け入れられなかったこと、出てきた時代が少し早かったこと…その2点が大きな理由だと思う。

ただ、マツダがファミリアNEOを発売してくれたおかげで、今こうして変態グルマ好きが大喜びしてるのは事実。こんなカタチで日の目を見るのが、マツダにとって本意ではないことは百も承知しているが…。

●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)