波乱の展開でシーズンチャンプの行方は持ち越し。スーパーフォーミュラのシートを得る条件とは? 【2020年 第4/5戦】

波乱の展開でシーズンチャンプの行方は持ち越し。スーパーフォーミュラのシートを得る条件とは? 【2020年 第4/5戦】

2020 SUPER FOMULA Rd.5 / Rd.6

2020年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第5/6戦

舞台を鈴鹿サーキットに移し2日間で2レース連続開催

いよいよ最終戦を残すのみとなった2020全日本スーパーフォーミュラ選手権。各チーム、ドライバー共にこれまで本当に力強い走りと団結力を見せてきてくれました。さて、今回は「スーパーフォーミュラの舞台に立つには?」という素朴な疑問にお答えすべく、三浦 愛の歩んできた道のりと共にご紹介させていただければと思いますのでどうかお付き合いください。

2020スーパーフォーミュラ第5/6戦

鈴鹿を得意とする山本尚貴選手が第5戦をポールトゥウィン

まずは、つい先日、モータースポーツの聖地 “鈴鹿サーキット” で開催された第5戦・第6戦のダイジェストをお伝えしたいと思います。今大会は土曜日に第5戦(予選・決勝)、日曜日に第6戦(予選・決勝)が開催されるというタイトなスケジュールで慌ただしい週末となりました。そして、気温と路面温度の低下に伴い今回から新たに導入されたタイヤウォーマーの存在がチームとドライバーを翻弄させ、最後の最後まで何が起きるかわからない波乱の展開となりました。

そんな中、第5戦を制したのは #5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 山本尚貴選手でした。「鈴鹿といえば山本」というくらい、過去のレースを見ても彼と鈴鹿の相性は良い。どんなドライバーにも「得意ではないが相性は良い」というサーキットがあったりしますが、彼にとって鈴鹿は得意で相性がよく大好きなサーキットと言えるのかもしれません。

予選から上位陣にマシントラブルが多発し、決勝では三度のセーフティカーが導入される大荒れのレースとなったにも関わらず、山本選手は運も味方につけ危なげなく見事ポールトゥウィン。まさに山本選手のためのレースと言える展開でした。2位にはWEC参戦で欠場が続いていた #36 VANTELIN TEAM TOM’S 中嶋一貴選手、3位にはここ最近ぐんぐん調子を上げている #18 carrozzeria Team KCMG 国本雄資選手と、スーパーフォーミュラチャンピオン経験者の3名が表彰台に並びました。

2020スーパーフォーミュラ第5/6戦

第6戦はスタートから上位陣が続々リタイアの展開

ここでチャンピオンに王手をかけた山本選手だったのですが、第6戦でその勢いを封じたのが #1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手です。第6戦のポールポジションに加え、コースレコードまでも塗り替える始末。チャンピオン候補の一人としてその存在感を見せつけてくれました。

──と思ったのも束の間、なんと決勝スタート直後から波乱の展開に・・・。トップを走行していたニック選手にまさかのエンジントラブルが発生。前戦で表彰台を獲得した中嶋選手と国本選手にはタイヤトラブル、そしてポイントリーダーの山本選手までもがまさかのスローダウンと上位陣が続々リタイアに。そんな中、今季6人目のWinnerに輝いたのが今季初参戦の大物ルーキー #65 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手。

2020スーパーフォーミュラ第5/6戦

今シーズンから参戦し涙の初優勝を飾った大湯都史樹選手

暴れん坊のイメージが強い彼ですが、プレッシャーに耐え最終ラップまでしっかりトップを守り切り嬉しい涙の初優勝となりました。2位には天性の速さを持ち合わせながらも今季は不運が続いていた #6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住仁嶺選手、3位にはどんな状況でも決して諦めなかった熱い男 #19 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 関口雄飛選手が入りました。3選手ともに今季初のお立ち台です。

ここで、チャンピオン争いの行方が気になるところですが・・・。なんと #5山本尚貴選手(ホンダ)と #20平川 亮選手(トヨタ)が同ポイントで最終戦(富士スピードウェイ)を迎えることになりました。そして、第3戦の勝者 #1ニック・キャシディ選手(トヨタ)と第4戦の勝者 #16野尻智紀選手(ホンダ)もチャンピオンの可能性を残し最終戦に挑みます。ドライバー同士のガチンコバトルに加え、チーム(メーカー)同士の戦いにも注目です。

レポートを務める三浦 愛選手

スーパーフォーミュラに参戦するには?

こうして国内最高峰レースとして日本を代表する自動車メーカーと共にトップドライバー、トップチームが競い合う「全日本スーパーフォーミュラ選手権」ですが、さて一体どのようなドライバーがこの舞台に立てるのか・・・。

私自身もF1やスーパーフォーミュラといったモータースポーツピラミッドの頂点を目指し、レーシングカートからフォーミュラの入門カテゴリーであるFJやミドルフォーミュラのF4、F3とステップアップを重ねてきましたが、国内外に問わず幼い頃からカートでレースの基礎を学んだ後、フォーミュラを軸にツーリングカーなど多種多様なドライビングを身につけながらステップアップを図るのが王道かと思われます。

ただ、F3(現スーパーフォーミュラライツ)でチャンピオンを獲ればスーパーフォーミュラに参戦できるという保証があるわけではなく、プロスポーツである以上、資金力だけで決まるわけでもない。もちろん過去の経歴は考慮されますが、自動車メーカーの育成プログラム(レーシングスクール)を首席で卒業したからと言って必ずしもスーパーフォーミュラへの道が約束されるとは限りません。では、一体どんなドライバーがスーパーフォーミュラの舞台に立てるのか・・・。

スーパーフォーミュラに参戦していたときの佐藤琢磨選手

技術や人間性はもちろん、何より“旬な人”が選ばれる世界

私の経験から辿り着いた答えは、プロと認められる最低限の技術と人間性を兼ね備えていることを大前提に“旬な人”が今この舞台に立っているのではないかと感じています。この狭き門を潜り抜けるにはタイミングも重要です。そして今、最前線で戦い続けるドライバーたちは、波はあれども「自分が“旬”であり続けるための努力ができる」力を兼ね備えているのだと私は思っています。きっと、それがプロフェッショナルというものなのだと。

スーパーフォーミュラの限られたシートを手にするキッカケや方法は、ドライバーによって全く違う上に正解があるわけではありません。ただ、リザルトだけでは判断できない“旬”なドライバーたちに私たちは期待をしてしまうのかもしれませんね。

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【プロフィール】

三浦 愛

12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。