タイトル争いに影響するキャシディの裁定。富士最終決戦、エンジン交換でペナルティ対象となるのか

 前戦のスーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿の決勝、ポールポジションからスタートしてトップを守っていたものの、1コーナーでエンジンからスモークを上げてリタイアとなってしまったニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)。チャンピオン候補のひとりであったキャシディの決勝はノーポイントに終わった。しかも、最終戦はエンジン交換が必要になるためペナルティの可能性が想定されたことからも、タイトル争いについて「終わった」とコメントしていたキャシディだったが、まだペナルティ回避の可能性が残されている。

 第6戦レース直後のキャシディは落胆した表情ながら、メディアのインタビューに答えた。

「(リタイアの原因は)正確にはわかっていないけど、ストレートでパワーを失ってしまった。何が起きたのかわからない。チャンピオンシップは実質、終わったね。今日のペースだと楽に勝てる展開だった。予選からクルマは速かったし、決勝でもいいペースだった。チームは完璧な仕事をしてくれていた。このクルマだったら、次のレースでも楽に勝てると思う。でも、それは難しくなってしまったね」と話すキャシディ。

 今季のキャシディはシーズンが進むにつれてパフォーマンスが向上し、予選で低迷しても決勝で確実に順位を上げるスタイルで第3戦SUGOで今季初優勝。第6戦ではついに予選でポールポジションを獲得し、その速さと第5戦まで毎戦入賞を果たす安定感が大きな武器になっていた。

「チームはハードワークをしてくれた。今のトムスチームは強い状況で、とてもいいコンビネーションだと思っている。去年は少しスピードが足りなかったけど、今年はレースを重ねるごとに予選の速さを改善することができた。その良くなってきた過程をとても実感しているよ。だけど今日はほんの少し、アンラッキーだった。それが今日の結果だよ」と、エンジントラブルでのリタイアを悔やむキャシディ。

 スーパーフォーミュラの規則では、年間のエンジン使用基数は1基。2基目の使用には10グリッド降格などのペナルティが課されることになる。第6戦鈴鹿を終えたキャシディはトップから有効ポイントで9ポイント差のランキング4位でまだ逆転タイトルの可能性を残すが、最終戦では10グリッド降格を覚悟していた。

「次の富士はおそらくエンジン交換のペナルティを受けることになるから、それでチャンピオン争いは実質おしまいだね。それでも最後のスーパーフォーミュラになるので、なんとか楽しめるようにしたいけど、まあ、残念だね」と来年、フォーミュラEにシーズン参戦するため、次の富士がスーパーフォーミュラでの最後のレースになることを示唆するキャシディ。

2020年スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
第6戦鈴鹿の予選でポールポジションを獲得して3ポイントを獲得したキャシディ

 第6戦のレース直後、最終戦の富士でのグリッド降格ペナルティを覚悟していたキャシディ。しかしその後、レギュレーションの解釈よってエンジン交換のペナルティに関しての事態が少々、複雑になってきた。

 まずは、2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権統一規則の『第24条車両とエンジン2.4)』の項目を見てみよう。

『公式車両検査開始前までのエンジン交換:決勝レースのグリッド位置を公式予選結果から10グリッド降格される。ただし、当該年の前大会の決勝レースにおいて、エンジン破損により本規則第7条2.1)に定めるドライバーに対する得点を得ることが出来なかった車両は、この限りではない。』

 ここでの『本規則第7条2.1)』は『得点は各認定レースの総合順位に基づき、下記の得点基準に従い授与される。』との内容で、つまりはエンジン破損によるリタイヤでレースでノーポイントの場合は次のレースでペナルティは課されないが、ポイントを獲得していた場合はペナルティ対象となってしまうということ。

 ここで複雑なのが、キャシディの第6戦でのポイント獲得が予選で獲得したポールポジションの3ポイントであることだ。今季から導入された予選でのポイント付与が上記の『得点を得る』に該当するのかどうか。

『決勝レースにおいて〜』と第24条2.4)にあることから予選は該当しないようにも思えるが、関係者の話を統合すると、最終的にはペナルティの有無は第7戦富士大会の審査委員会で結論付けられることになるという。

 自力チャンピオンの可能性が残っていないながら、シーズン後半の勢いを考えればレースで優勝できる速さは十分で、タイトル獲得に向けて大逆転の可能性もゼロではないキャシディ。富士大会の審査委員会の裁定次第では2020年最終戦の優勝争い、そしてチャンピオン争いにも大きな影響を及ぼすことになる。