【F1第16戦無線レビュー(4)】「なんて言っていいかわからない」最後尾から初優勝を挙げたペレスが感無量

 2020年F1第16戦サクヒールGPでは、スタート直後のアクシデントを乗り越え、レーシングポイントのセルジオ・ペレスがF1初優勝を飾った。さらにチームメイトのランス・ストロールも3位に入賞し、レーシングポイントは初めてのダブル表彰台。2位にはルノーのエステバン・オコンが入り、こちらは初の表彰台獲得となった。

 一方、ルイス・ハミルトンの代役としてメルセデスのマシンをドライブしたジョージ・ラッセルは2度も優勝のチャンスを逃す結果に。それぞれのドライバーの模様を、無線とともに振り返る

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 メルセデスのまさかの大失態にも助けられて、大波乱のサクヒールGPでトップでチェッカーフラッグを受けたのは、1周目にシャルル・ルクレール(フェラーリ)に追突されて最後尾まで脱落していたセルジオ・ペレス(レーシングポイント)だった。この勝利は、レーシングポイントにとっても、2011年にF1デビューしたペレスにとっても初めてだった。

レーシングポイント:イエス、チェコ、P1、イエス!!
ペレス:ウウッ(泣き声)
レーシングポイント:ランスも3位に入ったよ
ペレス:(大きく深呼吸して)フーーーッ。なんて言っていいかわからない。
レーシングポイント:できれば、先頭のままで戻ってきてほしい
ペレス:みんなよくやってくれた。Luis, asegurate que Checo esta viendo la carrera, por favor(スペイン語で「ルイス、チェコのレースを見ていてくれたかい」)

セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2020年F1第16戦サクヒールGP F1初優勝を飾ったセルジオ・ペレスをレーシングポイントのクルーが祝福。その奥ではアルファロメオのクルーも『PER』と書かれたボードを掲げている
セルジオ・ペレス(レーシングポイント)
2020年F1第16戦サクヒールGP セルジオ・ペレス(レーシングポイント)

 2位に入ったのは、ルノーのエステバン・オコン。オコンにとっても、表彰台はこれが初めてだった。

ルノー:P2、エステバン。ワォォォ。ファンタスティック、ファンタスティック
オコン:みんなありがとう……(泣き声)。ワォォォ。イエーーース!! アアアッ

 フランス人ドライバーのオコンに、同郷のシリル・アビテブール(マネジングディレクター)も無線で祝福する。

アビテブール:最高だったぞ、エステバン、ブラボー!! ブラボー、ブラボー、ブラボー、お見事!!
オコン:メルシー、シリル。メルシーボークー(フランス語で「本当にありがとう」)。みんな本当にありがとう。厳しいシーズンだったけど、ようやく目標を達成できたよ。みんなのハードワークに感謝したい。そして、僕を信じてくれてありがとう

エステバン・オコン(ルノー)&アラン・プロスト
2020年F1第16戦サクヒールGP エステバン・オコン(ルノー)&アラン・プロスト

 一方、楽勝で1-2フィニッシュだったはずのレースが、8位と9位に終わったメルセデス。特に、今回ハミルトンの代役として初優勝の絶好のチャンスだったラッセルは、落胆が大きかった。チェッカーフラッグ後、まずラッセルに無線で言葉をかけたのは、ハミルトンのレースエンジニアで、今回代役のラッセルを担当していたボノこと、ピーター・ボニントンだった。

ボノ:OK、ジョージ、本当にすまなかった。今日の君はものすごく速かった。なのに、こんな結果になって、申し訳ない。でも、ポイントは獲れた。いかに君が強いかを証明したよ。
ラッセル:なんて言っていいかわからない。2回もチャンスを奪われたんだからね。****本当に。今日は本当に楽しかったよ。マジで最高だった。いま、本当にがっかりしている。本当に本当に、がっかりだよ。またチャンスを与えてほしい。もう一度、チャンスを与えてくれることを祈っている。ありがとう。
ボノ:よくやった。君は今日、強いドライバーだということを見せつけたよ。そして、いい仕事をした。

 緊急ピットインを指示したチーフレースストラテジストのジェームス・ヴァレスも無線で謝罪する。

ジェームス:ジョージ、ジェームスだ。こんな状況になってしまったにも関わらず、本当によくやった。でも、君はその都度、しっかりと挽回してくれた。よくやった。

 さらにチーム代表もトト・ウォルフも割って入ってきた。

ウォルフ:ジョージ、申し訳ない。今日の君は光り輝いていたよ。最高の走りだった

 それをパルクフェルメへ向かうラップで聞いたラッセルはバイザーを開けて、手袋で涙を拭いながら、最後にこう言った。

ラッセル:ありがとう……