2020-21日本・カー・オブ・ザ・イヤー選出の『スバル・レヴォーグ』斎藤聡、松田秀士が受賞理由を語る

 2020-2021年第41回日本・カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)のイヤー・カーに『スバル・レヴォーグ』が選出された。全33台のノミネート車から、最終選考会に進んだ上位10台の“10ベストカー”を選出。その中から、自動車評論家、ジャーナリストなど60名で構成される選考委員による各車の試乗、評価をベースとし、最終選考投票が行なわれる。

 大賞となるカー・オブ・ザ・イヤーを選出するほか、インポートカー、デザイン、テクノロジー、パフォーマンス、そして軽自動車のKカーの各部門で、カー・オブ・ザ・イヤーの受賞車を決定するのも特徴だ。ちなみに、今回、最終選考会は新型コロナウイルス感染症対策のため、初の試みとなるオンライン形式にて開催された。

◆最終選考会に進んだ“10ベストカー”はこちら

下馬評では、「スバル・レヴォーグ、トヨタ・ヤリス3兄弟(ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス)、ホンダ・フィットの三つ巴の争いか」と言われていた。予想どおりこの3台が上位を占めたものの、結果的には、レヴォーグ437点、フィット320点、ヤリス3兄弟300点と、スバル車が他車2台に100点差以上をつけての圧勝となった。

◆2020-2021日本・カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)の選考結果はこちら

 では、スバル・レヴォーグは他車と比べて、具体的に何が優れていたのか? オートスポーツWEB推薦の選考委員であるモータージャーナリストの斎藤聡さんと、同じくモータージャーナリスト兼レーシングドライバーである松田秀士さんに、レヴォーグの評価を伺った。

スバル・レヴォーグ
スバル・レヴォーグ

■モータージャーナリスト 斎藤聡
<スバル・レヴォーグ評価コメント>

「レヴォーグはとても完成度の高いクルマだと感じました。プラットフォームを熟成し、ボディを堅牢に作ったことで、フリクションを低減したサスペンションを設計値どおりに動かことができるようになっています」

「その結果、上質な乗り心地や欧州プレミアムカーに匹敵する操縦性と安定性を実現しています。そうやってボディや足まわりをしっかり作り込んだことが、“アイサイトX”による先進安全機能を精度の高いものにしているのだろうと思います」

「レーンキープアシストのセンターリングの精度の高さ、とくに高速域の(システムの)安定性は驚きを覚えるほどです。何よりもそうしたクルマ造りは、技術を誇るのではなく、ユーザーのために作り込まれているということです。今年もっとも感銘を受けたクルマでもあります」

■モータージャーナリスト/レーシングドライバー 松田秀士
<スバル・レヴォーグ評価コメント>

「スバルといえばぶつからないクルマ。アイサイトが真っ先に思い浮かぶが、今回“アイサイトX”として大きく進化している」

「詳細地図情報などを含めたレベルの高いADAS(運転支援機構)を構築。高速道路でのACC(アダプティブクルーズコントロール)+LKA(レーンキープアシスト)による高度な運転支援を実現している。この機能の中には方向指示器を操作するだけで自動的に車線変更をし、追い越しが可能となるものもある」

「インナーフレーム構造と呼ばれる新たな製造法によりスバルのSGPプラットフォームを使いながらより高剛性で衝突安全性の高いボディーを実現した。その走りは非常にスムーズ。サスペンションの躍動感があるファン(Fun)なドライブフィールでした」

スバル・レヴォーグ
スバル・レヴォーグ

 今回、スバル・レヴォーグが最終的に圧勝した勝負の分かれ目は、最終選考会直前に行なった公道試乗会ではないかと思う。軽井沢~東京間の高速道路の走行を中心に開催されたこの試乗会は、先進運転支援システム、アイサイトXの“出来の良さ”を遺憾なくアピールしたからだ。

 アイサイトXは、独自のステレオカメラの画角を2倍、イメージセンサー(CMOS)の画素数を2.3メガピクセルに高解像度化するなどベース性能をあげながら、ミリ波レーダーを追加して機能の拡張を行なって進化させた。また、3D高精度地図データと、準天頂衛星『みちびき』を使った高精度GPSを活用することで自車位置を正確に把握。より安全で高度運転支援システムを実現している。
 
 それにより高速道路における車線変更アシストや、渋滞時ハンズオフアシスト(50km/h以下)を実現しているのだが、新しい機能・技術をただ搭載するだけでなく、制御により自然なフィールを損なわないように仕立てていた。ACCを使った走りでは、前車と絶妙な距離を保ちながら(近すぎず離れすぎずの距離感が意外と大事)、加減速では滑らかに走り、滑らかに減速する。この自然なフィールをチューニングしたのは実験部隊の仕事だ。
 
 このようなシステムはドライバーが違和感を感じると信頼度が揺らいで最悪使ってもらえなくなる。運転支援の機能は使ってもらってなんぼ、ということをわかっている証拠だろう。

 スバルは、8月にJARI(日本自動車研究所・城里テストコース)、10月には袖ヶ浦フォレストウェイサーキットで、COTY選考委員向けにプロトタイプ(ほぼ実車)の試乗会を開催し、その素性の良さはすでに確認していたが、アイサイトX試乗後、選考委員からは「最高得点(10点)を他車から変更した」という声が、実際に聞こえてきたのは事実だ。

大型センターインフォメーションディスプレイや、12.3インチのフル液晶メーターで構成された先進的なデジタルコックピット
大型センターインフォメーションディスプレイや、12.3インチのフル液晶メーターで構成された先進的なデジタルコックピット

■レヴォーグ以外なら……両氏のイチ推しは?

 それでは、大賞に輝いたスバル・レヴォーグ以外に、10ベストカーのなかで印象に残ったクルマ【イチ推しカー】を、先述の選考委員おふたりに伺った。

■モータージャーナリスト 斎藤聡
【イチ推しカー】トヨタ GRヤリス

「車種でいえばホンダ・フィットが良かったと思います。ただし、グレードまで仕分けると個人的にはGRヤリスを無視することはできません」

「電子制御多板クラッチを使った現在では、比較的オードソックスな4WDシステムですが、堅牢なボディと多板クラッチユニットと、おそらくはリヤデフの容量が1ランクか2ランク大きく、その結果きっちりと駆動トルクが後輪に伝わる、コンペティティブな4WDマシンとなっています」

「エンジンも新設計。これもコンペティションユースを念頭に置いているのですから、すぐにでもモータースポーツシーンで華々しい活躍が見られるに違いありません。国内のさまざまなモータースポーツシーンで、そしてWRC世界ラリー選手権でどんな活躍を見せてくれるのか今から楽しみです」

GRヤリス
GRヤリス

■モータージャーナリスト/レーシングドライバー 松田秀士
【イチ推しカー】マツダMX-30

「私は、マツダMX-30に10点(最高得点)を入れました。これまでマツダのデザインは引き算の美学という、武士の時代を思わせるとても日本的なものが主流だったが、MX-30はそこに今度は足し算の楽しさを吹き込んだように思える。このデザインは素晴らしい」

「しかもインテリアのデザインもこれまでの日本車にはなかったシンプルでいて飽きのこないものだ。センターディスプレーをダッシュボード上面の遠目にセットし、ドライバーの視線移動を抑えて、なおかつ焦点距離を稼ぎ目の疲労を抑える設計だ」

「ADAS機能も充実していてACC+LKAで疲労を抑えながら高速走行ができる。またドライブフィールがとても楽しく、スムーズなホイールトラベルで乗り心地とスポーティーさとの棲み分けができている。所有することが楽しくなる久々の日本車だと思う」

デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したマツダMX-30
デザイン・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したマツダMX-30