ブガッティ史上最速のサーキット専用車「ボリード」。最新コンセプトモデルが採用したデザインの秘密に迫る

ブガッティ史上最速のサーキット専用車「ボリード」。最新コンセプトモデルが採用したデザインの秘密に迫る

Bugatti Bolide

ブガッティ ボリード

1800ps超を誇るサーキット専用ハイパーカー

ブガッティが2020年10月に発表したコンセプトカー「ボリード(Bolide)」は、超軽量ボディに8.0リッターW型16気筒ユニットを搭載したサーキット専用モデルだ。「bolide」は火球を意味し、転じてフランス語では広義で「高速で走るレーシングカー」を意味する。

ブガッティ ボリードはその名に恥じぬパフォーマンスを実現するべく、最高出力1850ps/最大トルク1850Nmを標榜。チタン製中空薄肉のパーツを多用することで乾燥車重はわずか1240kgを実現し、パワーウェイトレシオは1psあたり0.67kgを達成する計算だ。

ブガッティ ボリードのフロントイメージ

ニュルでは5分23秒1の記録を達成

生産化についてはいまだ言及されていないものの、最高速度は500km/h超、サルト・サーキットは3分07秒1、ニュルブルクリンク・ノルトシュライフェは5分23秒1というタイムを記録しているという。

この驚異的なコンセプトモデルのデザインを手掛けたのは、ブガッティがスペシャルプロジェクト部門のヘッドに据えた期待の若手デザイナーだ。

ブガッティ ボリードのレンダリングイメージ。俯瞰

「形態は性能に従う」

ボリードはブガッティのデザイン精神「形態は性能に従う」に基づきながら、現時点で実現可能な「もしも」をすべて叶えたカタチを提案する。デザインを担当したのはニルス・サジョンズ(Nils Sajonz)。若手の気鋭デザイナーは、2018年に発表したディーヴォ、2019年3月のラ ボワチュール ノワール、同年8月のチェントディエチといった近年の重要なプロジェクトにも携わってきた。サジョンズは語る。

「ボリードをデザインできたことは、大変素晴らしい経験でした。我々デザインチームの表現がそのままほとばしり形づくられたもの、それがボリードです。このサーキット専用ハイパーカーは、ブガッティにとって最高の次の一歩といえるでしょう。同時にボリードは、我々のデザイン原則を見事に体現しています。究極であり、革新的、かつ現代的であるということは、ブガッティの原点です。ブガッティは立ち止まりません。私達は常に次なる刺激的なゴールを探し続けています」

ブガッティ ボリードのデザインイメージ

タイプ35や57SCがもつ色褪せぬ引力

サジョンズはインターンとして2015年にブガッティのデザインチームへ参加。大学では自動運転のブガッティレースカーのスタティモデルについて論文を書いている。若くしてスペシャルプロジェクト部門のチーフに就任したサジョンズは、ブガッティの近未来を写し出すコンセプトモデルを手掛けている。デザインディレクターのアキム・アンシャイトが直属の上司だ。

「少年時代からずっと、デザイン、そして物質の美は私の人生を形づくってきました。ブガッティのヘリテージは私を共感させ、タイプ35やタイプ57SC アトランティークといった傑作レーシングカーの歴史にも大きなインスピレーションをもらっています。ブガッティが築いてきたレースの伝統は、すべてのモデルに息づいています。もちろんボリードにも」

ブガッティ ボリードのデザイナーイメージ

「X」モチーフがもつ2つの意味

ボリードの車高はわずか995mm。これはタイプ35と同じ数値であり、現代ハイパーカーとしても異例の低さを実現している。ルーフ上には画期的な可変エアスクープを設置し、速度域に応じてアクティブに形状を変え、空気の流れを最適化する。低速ではスムーズな表面は、スピードが上がるにつれてカタチを変化させて、空気抵抗を10%低減するとともに揚力も17%抑え込むという。

ボリードのデザインについてサジョンズは次のように説明する。

「機能的であるということと同時に、中央に重心を置いている点も重要です。航空史に登場するいわゆる“Xプレーン”を思わせるデザイン要素を採り入れ、どの角度からも“X”のモチーフが目に入るようになっています。さらに、“X”のモチーフはブガッティのサーキット史にも通じるアイコンともいえます。過去のレーシングカーは衝突時の散乱を防ぐべく、ヘッドライトカバーにテープで“バッテン”をしていましたから。そしてすべての要素はボリードのダイナミクス、そしてパフォーマンスに直結しています」

ブガッティ ボリードの正面イメージ

クルマ好きを引きつける強烈な磁力

ボディにはカーボンファイバーを多用。炭素繊維の引っ張り強度は6750N(1平方ミリメートルあたり)。1立方ミリメートルあたりの剛性は35万N。航空宇宙産業レベルのクオリティを確保している。

また、サーキットで最高のパフォーマンスを実現するべく、水冷式インタークーラーの代わりに冷却スプレー機能付き空冷式インタークーラーを採用。F1の流儀に則り、2基のウォータークーラーはフロントアクスル前方に設置、冷却効率を最適化した。また、ホイールに装着された新開発の「ハイブリッド・カーボン・チタン・ターボファン・ラジアルコンプレッサー」は、高性能セラミックブレーキシステムの熱換気と冷却を行う。

ブガッティ ボリードのデザインスケッチ

現時点で市販の告知はされていないが、F1マシンの知見を採り入れた現代最高峰のパフォーマンスと、ブガッティの伝統と哲学を継承し組み合わせたボリードという提案は、多くのエンスージアストを惹きつける強烈な磁力をもっていることは間違いない。

【SPECIFICATIONS】

ブガッティ ボリード

ボディサイズ:全長4756 全幅1998 全高995mm

ホイールベース:2750mm

オーバーハング:前963 後1040mm

地上高:75mm

車両重量:1240kg

エンジン:W型16気筒ガソリン

総排気量:7993cc

最高出力:1361kW(1850ps)/7000rpm

最大トルク:1850Nm/2000-7025rpm

パワーウェイトレシオ:0.67kg/ps

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:AWD

サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ(ミシュラン・レーシングスリック):前30/60R18 後37/71R18

0-100km/h加速:2.17秒

0-200km/h加速:4.36秒

0-300km/h加速:7.37秒

0-400km/h加速:12.08秒

0-500km/h加速:20.16秒

0-400→0km/h:24.64秒

0-500→0km/h:33.62秒

ル・マン・サルト・サーキット:3分07秒1

ニュルブルクリンク ・ノルトシュライフェ:5分23秒1

最大横G:2.8g