相次ぐアクシデント。原因はさまざまも、気になるタイヤウォーマー初導入との関連性【鈴鹿第5&6戦】

 スーパーフォーミュラ第5戦で3位に入り、今年初表彰台を獲得した国本雄資(carrozzeria Team KCMG)。翌日の第6戦でもタイヤ交換後、実質4番手を走行して連続表彰台も見えたが、19周目のS字でタイヤアクシデントでリタイア。第6戦も前日の第5戦と同じくタイヤだけでなく、さまざまなアクシデント発生し、セーフティカー導入が多いレース展開となってしまった。

 第5戦、第6戦の国本は予選ではQ3に残れなかったものの、決勝では次々と順位を上げていった。第5戦では見事3位表彰台を獲得し、第6戦でもセーフティカー明けの各車タイヤが温まり切っていないリスタート後のオーバーテイクが何度も決まった。

「セーフティカー明けのオーバーテイクは狙っていました。OTS(オーバーテイクシステム)の使いどころが鍵なので、駆け引きがうまくいきましたね」と国本。しかし、順調に順位アップしていた矢先の19周目のS字ひとつ目でクラッシュしてしまった。

「走行しているデータを見たら、1コーナーの時点で右リヤタイヤの内圧が落ちてきていて、何かを踏んでスローパンクチャーだったようです。その時のフィーリングではスローパンクチャーの感じはわからなくて、そのままS字に入った時に突然、スピンしてしまいました。バーストではなくて、スローパンクチャーが原因でタイヤがリムから外れてしまいました」

「3位にいけるんじゃないかなという雰囲気があっただけに残念ですけど、走れば走るほどデータの解析が進んでクルマが良くなっている実感があるので、これを続けていきたいですね。やっぱり、こういうポジションでレースをし続けることが優勝のチャンスを大きく広げることになるので、めげずに頑張りたいです」とレース後の国本。

スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
第5戦に続いての表彰台の可能性もあっただけに悔しいリタイヤとなった第6戦の国本雄資(carrozzeria Team KCMG)

 前日の第5戦に続いて、第6戦のレースでもタイヤアクシデントが多かったが、そのなかの1台、9周目に中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)も右リヤタイヤがアクシデントに見舞われ、緊急ピットインすることになった。中嶋一貴の担当、大立健太エンジニアが話す。

「タイヤがパンクしてしまいましたけど、原因はおそらくシケインの他車(サッシャ・フェネストラズ/KONDO RACING)のクラッシュのデブリを拾ってしまったのだと思います。タイヤに大きな穴が空いていたので、ヨコハマタイヤのスタッフさんにも確認してもらいましたが、何かを拾ってしまったという不運なアクシデントだったと思っています」と大立エンジニア。

 第6戦の上記の2件に関してはデブリが原因のようだが、今回の鈴鹿戦からタイヤウォーマーが導入されることになり、そのウォーマーの使用法が要因となって構造の劣化やトレッド面の剥離など、アクシデントやトラブルを招いてしまったことが確認されている。

スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
グリッドで話す中嶋一貴と担当の大立健太エンジニア(VANTELIN TEAM TOM’S)第6戦ではタイヤアクシデントで緊急ピットイン

スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
第5戦鈴鹿、今季初表彰台となった2位の中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)と3位の国本雄資(carrozzeria Team KCMG)

 今回導入が認められたタイヤウォーマーは各チームが自作で制作したものがほとんどで、その運用や管理もチームが行っており、使用機器やウォーマー内の構造などはチームごとに異なっている状況だった。

 ヨコハマタイヤのスーパーフォーミュラの責任者でもある、MST開発部の髙口紀貴氏が話す。

「今回、我々が把握しているタイヤウォーマーの取り扱いが原因のトラブルは(金曜)フリー走行時の2件と認識しています。2件ともジェットヒーターで温めた200度近い熱がサイドウォールの1箇所に当たってしまっていて、RR(右リヤ)の内側のその箇所が壊れてしまったという状況です」と髙口氏。

 他にもいくつか熱劣化などの症状も見られたが、「トラブルまでは発展していないですし、チームさんも理解はされていると思います」と髙口氏。これまでにも発生することのあったブリスターやトレッド面のささくれなどと同じレベルの症状という認識だ。

 今年使用されているワンメイクタイヤは、ジェットヒーターを使った温め方を想定して製造されたものではなく、理想的な温め方としては「50~60度の低温で2~3時間かけて温めてほしい」(髙口氏)のが本音だ。

 しかし、実際チームが使用しているのは200度近いジェットヒーターで30分程度で温めるという急速加熱状態で、理想の温め方とは異なり、内圧にもムラが出てしまう。当然、チーム側もその状況を受けて改善し、ジェットヒーターの熱が直接当たらないようにウォーマー内部の構造を変えるなど、運用面のノウハウで対応し始めている。

スーパーフォーミュラ第6戦鈴鹿
ジェットヒーターを使用したタイヤウォーマー。ほとんどのチームがこのような形を採用していた

「タイヤウォーマーの運用に関しては、この温度だと行きすぎで、この温度だと足りないなど温度設定で少し苦労しましたが、鈴鹿に関してはある程度見えてきたところはあります。次の富士は1周の距離が短いですし、ダウンフォースレベルも違うので、そのあたりがどう作用するのかなと思います」と話すのはトムスの大立エンジニア。

 今回、タイヤウォーマーによるトラブルが出てしまったものの、第5戦、そして第6戦も予選では2セットのニュータイヤを導入できることになり、セッション中のアタックタイミングもチーム、ドライバーに分かれて戦略性が高まるなど、タイヤウォーマーの導入で今まで以上にスリリングになり、予選中の赤旗中断などのアクシデントは劇的に低下した。

 その一方、タイヤウォーマーの機材はチーム側の自作で、ウォーマー内のタイヤの管理もチーム任せの面が多い状況でもある。今回は2レースそれぞれ決勝30周という短いスプリント勝負となったことで、ドライバーも今まで以上にアグレッシブになった面もあるが、2戦とも理由は違えどタイヤアクシデントが多く、セーフティカー導入が多くなったことは事実でもある。

「それぞれのアクシデントの原因はわからないけど、この鈴鹿も次の富士もハイスピードでハイロード(タイヤへの攻撃性が高い)コースなのでドライバーの安全面、そしてクラッシュによるチーム側の負担を考えるとスーパーフォーミュラの問題として緊急的にミーティングをしたいですね」と話すのはBuzz Racing with B-Maxの本山哲監督。

 ヨコハマタイヤとしても、富士に向けてウォーマーを使ってのタイヤの温め方について、各チームに理想的な温め方についてのマニュアル的な要素を文書などで改めて伝える予定だという。

 予選の濃密さを活かしながら、レースでのタイヤなどのアクシデントを減少させるために、最終戦の富士に向けてチーム/ドライバー、そしてヨコハマタイヤと主催のJRP(日本レースプロモーション)がまずは連携してお互いの理解を高めることが第一歩となる。

 平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)と山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が同点で挑む、最終戦富士のチャンピオン争い。レースにトラブルは付きものではあるが、それでもやはりトラブルやアクシデント、そしでセーフティカーの導入タイミングで決まるような展開は、なんとか避けてほしい。