【今週の気になるニュース】ニキータ・マゼピン起用の発表を急いだハースF1の事情

 F1第16戦サクヒールGPを前に、ドライバーのシートに関するさまざまなニュースが飛び込んできた。次戦サクヒールGPではメルセデスが新型コロナウイルス感染症の検査で陽性となって欠場するルイス・ハミルトンに代わって、ウイリアムズのジョージ・ラッセルを起用。ウイリアムズはリザーブドライバーのジャック・エイトケンを起用する。

 ハースは2021年の新しいドライバーラインアップを発表した。12月1日のニキータ・マゼピンに続いて、12月2日には7冠王者のミハエル・シューマッハーの長男、ミック・シューマッハーと複数年契約を結んだことを発表した。

 この一連のニュースの中で、気になったのは『ハースF1、2021年シーズンはロシア人ドライバーのニキータ・マゼピンを起用へ』というマゼピンに関するものだ。というのも、サクヒールGP前の時点で、マゼピンはまだスーパーライセンスを取得するために必要なスーパーライセンスポイントを獲得していない。

 スーパーライセンスは、FIAが定める各ジュニアカテゴリーに付与されたポイントのうち過去3年で40ポイント以上を獲得したドライバーだけが、スーパーライセンスの発給を申請できることになっている。

 しかし、コロナ禍にともない、FIAはこのスーパーライセンスの発給システムを見直し、『スーパーライセンスポイント30』という新たな救済措置を設け、FIA F2は年間ランキング上位4位以内、F3はチャンピオンを獲得すれば、30ポイント以上でスーパーライセンスの発給を申請できる。

 また、『スーパーライセンスポイント30』にも、これまでは直近3年間の合計が対象とされていたが、適用範囲を1年広げ、直近4年のうちの3年で獲得したポイント数を有効とすることになった。
 では、マゼピンの状況を整理しよう。

2017年 FIA-F3ヨーロピアン選手権 10位(1点)
2018年 GP3 2位(20点)
2019年 FIA-F2 18位(0点)

 つまり、有効なポイントは21点なので、あと19点が必要となる。現在、マゼピンはF2で選手権3位なので、このままの順位なら、30点を追加することができ、問題なくスーパーライセンスの発給を申請できる。

 しかし、ランキング3位のマゼピンからランキング8位の周 冠宇までは36.5点と接近しており、今週末バーレーンで開催される最終戦の成績次第で、どうなるかわからない。というのも、F2は1大会で最大48点を獲得することが可能だからだ(レース1の優勝25点、ポールポジション4点、ファステストラップ2点、レース2の優勝15点、ファステストラップ2点)。

 現在F2で首位に立つシューマッハーは205点を保持し、4位のロバート・シュワルツマンが159点のため、3位以内が確定しており、すでにスーパーライセンスの発給を申請できる条件は整っているが、現在21点しか保持していないマゼピンは、最終戦を5位(20点)以上で終えなければならない。

 したがって、ハースは今週末に行われるF2の最終戦を待ってからでも、マゼピン起用の発表は遅くなかった。にもかかわらず、ハースはシューマッハーよりも先に発表した。

 そこにどんな狙いがあるのか。確実にスーパーライセンスを発給できる秘策があるのか。そこが気になる。