フォルクスワーゲン、社内再編とリソース集中のためモータースポーツ活動の終了を発表

 フォルクスワーゲンは12月1日、プレスリリースを発行し、2020年12月31日をもって企業再編や電気モビリティへのリソース集中の一環として、モータースポーツ活動に終止符を打つと発表した。半世紀以上にわたりドイツ国内をはじめ、世界のモータースポーツ活動を支えたフォルクスワーゲンの名がサーキットやラリーフィールドから消えていくことになりそうだ。

 長年モータースポーツの世界では当たり前の存在だったフォルクスワーゲンは、近年では2013~16年にかけてWRC世界ラリー選手権でセバスチャン・オジェがポロR WRCで4年連続チャンピオンを獲得するなど活躍。WRCの活動終了後は世界ラリークロス選手権にスイッチし活躍したほか、ダカールラリー等ラリーレイドでも実績を残した。

 またヨーロッパを中心に50年にわたり、フォーミュラ・ケーニヒやフォーミュラVW、ADACフォーミュラマスターズやF3等のジュニアフォーミュラのエンジンサプライヤーとして、当時無名の数多くの青少年ドライバーを支えたほか、日本を含む世界中でツーリングカーのワンメイクレースを開催。近年でもDTMチャンピオンのレネ・ラストや、GT3レースで活躍するケルビン・ファン・デル・リンデはフォルクスワーゲンのワンメイクレース出身だ。

 そんなフォルクスワーゲンは2016年に活動50周年を祝ったが、近年は少しずつワークスのモータースポーツ活動は縮小されており、2019年11月22日には電気自動車のモータースポーツ活動へスイッチすることを発表。今回、すべてのモータースポーツ活動を終えるとする発表がなされた。

「フォルクスワーゲンブランドは、持続可能なEモビリティのリーディングプロバイダーになりつつある。この地位を確立し、集中するためにモータースポーツ活動を中止することを決定した」と開発担当取締役のフランク・ベルシュ博士は語った。

 今後はEモビリティに重点を置き、『パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム』で一躍世界の注目を浴びたID.Rプロジェクトから得た多くのノウハウを活かし、量販車のIDモデルの開発へと活かすという。

 また、「フォルクスワーゲン・モータースポーツチームは、長年に渡り世界中で数多くの勝利を挙げ、タイトルを獲り記録を作り続け、VWブランドとしてモータースポーツでの成功を収めてきた。すべての従業員に心から感謝をする」と人事取締役員のウィルフリート・フォン・ラースはコメントをしている。

 今後北ドイツのハノーファーに拠点を置くフォルクスワーゲンGmbHは解散され、従事していた169名の社員はボルフスブルグの本社へと移籍することになる。また現在、世界のカスタマーチームで活躍するポロGTI R5とゴルフGTI TCR用のスペアパーツの供給は今後も長期的に確保され、カスタマーチーム用のポロGTI R5のラリー車両の生産は2020年末に終了するという。

 フォルクスワーゲンは量販車部門では2019年度には5年以内に5〜7000名の人員削減策を打ち出していたが、新型コロナウイルス禍の6月には、さらに業務用車両を生産するハノーファー工場の人員を2029年までに約5000名リストラすることを発表するなど、不況の波に逆らうことは困難だったのかもしれない。

松本武士(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)
松本武士(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)
セバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)
セバスチャン・オジエ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)