【F1第14戦無線レビュー(1)】「焦ってインターにするのはやめようぜ」タイヤ交換に慎重だったフェルスタッペン

 2020年F1第14戦トルコGPの決勝レースは、ウエットコンディションで行われた。グランプリ開催直前に路面の全面舗装が行われたことや、雨の影響により、非常に難しい状況でのレースとなった。そんなトルコGPの決勝レースを無線とともに振り返る

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 第14戦トルコGPは、スタート前に降っていた雨で、ガレージを出てグリッドに向かうまでのインスタレーションラップから波乱が続出。アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)が4コーナーでコースアウトしてタイヤバリアにヒット。ジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)は、ピットレーン入り口で取り切れずにクラッシュし、フロントウイングを壊してしまった。

スタート前
ラッセル:クラッシュしちゃった。ちょっと間抜けだったね(笑)

 雨は上がったものの、路面は完全にウエットコンディションのなかでスタートが切られた。7番手からスタートしたエステバン・オコン(ルノー)が絶好のスタートを見せて1コーナーでは3番手まで浮上するが、直後にルイス・ハミルトン(メルセデス)とダニエル・リカルド(ルノー)が接触し、その玉突き事故をもらい、スピン。オコンの直後にいたバルテリ・ボッタス(メルセデス)はそれを避けようとしてスピンした。

 スピンしたオコンとボッタスはともにレースに復帰するが、オコンはボッタスに追突されたと勘違いしていた。そして、1周目の12コーナーで今度はボッタスと接触したため、こう叫ぶ。

オコン:*****。ボッタスが2度も突っ込んできた。信じらんない!!

2020年F1第14戦トルコGP スタート直後、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とエステバン・オコン(ルノー)に挟まれる形になったダニエル・リカルド(ルノー)
2020年F1第14戦トルコGP スタート直後、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とエステバン・オコン(ルノー)に挟まれる形になったダニエル・リカルド(ルノー)

 雨は止んでいたため、路面はラップを重ねるごとに徐々に乾き出していく。ハミルトンが6番手、ボッタスは後方に沈んだ状態となっていたため、メルセデスはタイヤ交換のタイミングをうかがう。

ボッタス:集団に捕まっているから、何かほかに方法はあるかな

ハミルトン:インターのほうがいい?

 どちらも無線の後、フルウエットタイヤからインターミディエイトタイヤに交換した。しかし、前日の予選でインターミディエイトにあまり良い感触を得ていなかったレッドブル・ホンダは慎重だった。

フェルスタッペン:焦ってインターに交換するのはやめようぜ

 しかし、レッドブル・ホンダを除く上位勢が10周目までにインターミディエイトに交換して、しかもラップタイムが速いことを確認すると、レッドブル・ホンダも11周目にフェルスタッペンを、そして12周目にはアレクサンダー・アルボンを相次いでピットインさせる。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第14戦トルコGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 この日のレッドブル・ホンダの2台はインターミディエイトに履き替えても戦闘力が落ちることなく、前を追っていく。そのプレッシャーに負けたのか、15周目にはハミルトンがブレーキングで走行ラインを外れ、アルボンにオーバーテイクされる。

ハミルトン:ブレーキが機能していない

 フェルスタッペンは2番手のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を猛追。18周目の9コーナーのブレーキングでペレスがミスすると、フェルスタッペンは10コーナーをテール・トゥ・ノーズで立ち上がっていき、11コーナーでオーバーテイクを仕掛けるも失敗。スピンしてしまう。

フェルスタッペン:フラットスポット
レッドブル・ホンダ:ピットインしろ

 これで5番手に上がったハミルトンだが、前を走るベッテルをなかなか抜けない。

セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2020年F1第14戦トルコGP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

ハミルトン:すごく時間を失っている

 しかし、メルセデスはこの状況にチャンスを見出していた。

メルセデス:路面がドライになるまで、このインターミディエイトでできるだけ長く走れば、チャンスになる
ハミルトン:わかった。でも、ドライになるのはまだまだ先だよ

 スピンして、8番手までポジションを落としたフェルスタッペンとレッドブル・ホンダもメルセデスと同じことを考えていた。

レッドブル・ホンダ:路面状況を確認したい
フェルスタッペン:最終セクションがまだウエットだ

 すると、28周目にフェルスタッペンのタイヤが、そして29周目にはアルボンりタイヤが音を上げる。

フェルスタッペン:右フロントが終わった。アンダーステアがひどい
レッドブル・ホンダ:このまま雨は降らないから、次はドライタイヤだ。そこまでもう少しがんばってくれ

アルボン:フロントタイヤが完全に終わった

 インターミディエイトに苦しんでいたのはレッドブル・ホンダだけではなかった。トップを走っていたランス・ストロール(レーシングポイント)もインターミディエイトタイヤが厳しい状況になっていく。

ストロール:タイヤの摩耗がひどい
レーシングポイント:わかった。我々はこれからドライタイヤにしようと思っているから、もう少し辛抱してくれ

2020年F1第14戦トルコGP ランス・ストロール(レーシングポイント)
2020年F1第14戦トルコGP ランス・ストロール(レーシングポイント)

 インターミディエイトタイヤに苦しむライバル勢とは対照的に、ハミルトンはチームからの指示どおりタイヤをマネージメントしながら走行していた。ラップタイムの推移を見ているチームから、31周目にドライタイヤへ変更するタイミングになったと知らされるも、時期尚早だと拒否する。

メルセデス:いまドライへの交換時期だ
ハミルトン:いや、まだまだ

 33周目、レーシングポイントもストロールに確認する。

ストロール:ラインは乾いているけど、まだ少し濡れている

 33周目に前を走っていたベッテルがピットインするとハミルトンがピットへ確認の無線を入れる。

ハミルトン:ピットへはまだ入らないからね。ところで、このタイヤはどれくらいまで行けるのかな?
メルセデス:わからない

 こうしてレースは後半へ突入する。

ルイス・ハミルトン(メルセデス)
2020年F1第14戦トルコGP ルイス・ハミルトン(メルセデス)

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(2)へ続く