「これがY31セドグロの究極形態だ!」グロリアロイヤルリムジンロイヤルセレクションの勇姿【ManiaxCars】

Y31セドグロをなんと600mmもストレッチ!

これぞ世界を相手にできる国産車唯一の本格的リムジン

日本がバブル景気に突入し、国内では国鉄分割民営化やNHK衛星放送開始、海の向こうではブラックマンデーやソ連のペレストロイカ導入など、何かと大きな出来事が重なった1987年の12月、PAY31改セドリック/グロリアロイヤルリムジンが発売された。

ベースは、その半年前にデビューしたY31セドリック/グロリアのセダンブロアムVIPで、ロイヤルリムジンは設立されたばかりの特装車両部隊、オーテックジャパンが初めて自社で開発、設計、生産を行った記念すべきモデルなのだ。

最大の見どころは、ベース車に対して600mmもストレッチされた全長。「日本のトップエグゼクティブを象徴する最高級車」というコンセプトを掲げていただけあって、時代的にイケイケだった日産の思い切りの良さは相当なものだ。

しかも! 極めて変態度が高いモデルだけに、当然グレードはひとつしかないと思いきや、実は5人乗りのロイヤルセレクションIと、4人乗りで装備違いのロイヤルセレクションII&IIIが存在していたのだから恐ろしい。

さらに言えば、新車価格は下位グレードのロイヤルセレクションIで998万円、最上級グレードのロイヤルセレクションIIIに至っては、当時のメルセデスベンツのフラッグシップモデル、560SELより100万円以上も高い1498万円!だったのだから、もはや開いた口が塞がらない…。

実車を前にして思ったのは、“細長いクルマ”ということに尽きる。全長は5460mmもあるのに、全幅が5ナンバーに毛が生えた程度のたった1720mmしかないのだから当然。クルマとしての縦横比が明らかに破綻しているのだ。

フロントグリルはロイヤルリムジン専用品。カタログによると「端正で気品のあるデザインが、洗練された趣きをかもし出しています」…とのことだ。

Bピラー部には専用エンブレムが装着される。しかも、オプションでオーナーの名前やサイン、家紋(!)などをあしらうことも可能だったというから普通ではない!

トランクリッドの中央に設けられたオーテックのエンブレム。回転させるように開くとキーシリンダーが姿を現すという、この時代に流行ったギミックをもれなく採用。

デザイン自体はベース車と同じだが、センターキャップが異なるホイール。オーナーは、なんとこのクルマでスノボに行くそうで、スタッドレスタイヤが装着されていた。

内装を見ていく。まずは今回の取材メイン車両であるロイヤルセレクションIからだ。ダッシュボードは、まるでひさしのようなメーターナセルが特徴的。ミッションは4速ATのみの設定で、ステアリングスポークにはオートクルーズのスイッチが、センターにはオーディオ関係のスイッチがそれぞれ設けられている。

上段にオートエアコンの操作パネル、下段に純正AM/FMチューナー付きカセットデッキが並ぶセンターコンソール。その右側(ステアリングコラム左側)には、ATのモード切り替えスイッチも確認できる。

クッションの厚みがたっぷりあって、フカフカという表現がぴったりの前席。ワインレッドの内装色は80年代における高級セダンの証だ。

足元の広さがハンパではない後席。乗車定員は5名だが、フロアに2人座れるから実質的には7人乗りに相当する!? また、座面&背もたれは6:4分割で、それぞれ電動調整式のリクライニング機構も与えられている。

続いて比較のために用意してもらった4人乗りロイヤルセレクションII/III。牛革にクルミの木目をあしらった豪華なセンターキャビネットを持ち、センターにリヤオーディオ&ビジュアルシステムを標準装備。その右側にはアイスメーカー付き冷蔵庫が、左側にはグラスボックスが設けられるという贅沢ぶり。さらに、ロイヤルセレクションIIIは自動車用ファクシミリまで装備する。

本革シートで巨大なセンターアームレストがロイヤルセレクションIとの大きな違い。センターアームレスト前方のフタを開くとリヤオーディオ&ビジュアルシステム、後席専用エアコン、電動センターパーテーションガラスのスイッチがズラリと並ぶ。

ちなみに、搭載されたエンジンはグレードに関係なくVG30ETで195ps/30.0kgmを発揮。それに組み合わされるミッションが4速コラムATのみというところに、「日本のトップエグゼクティブを象徴する最高級車」を標榜した日産の自信がよく見て取れるのだ。

■グロリアロイヤルリムジン ロイヤルセレクションI
車両型式:PAY31改
全長×全幅×全高:5460×1720×1400mm
ホイールベース:3335mm
トレッド(F/R):1445/1460mm
車両重量:1630kg
エンジン型式:VG30ET
エンジン形式:V6SOHC+ターボ
ボア×ストローク:φ87.0×83.0mm
排気量:2960cc 圧縮比:8.3:1
最高出力:195ps/5200rpm
最大トルク:30.0kgm/3200rpm
トランスミッション:4速コラムAT
サスペンション形式(F/R):ストラット/セミトレーリングアーム(エアサス)
ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(FR):205/65-15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:オートプロデュースアクセス 群馬県伊勢崎市五目牛町318-2 TEL:0270-75-3400