ホンダ勢が表彰台独占。山本の猛追を振り切って野尻が今シーズン初ポール・トゥ・ウイン【第4戦オートポリス決勝】

 11月15日(日)、2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦決勝レース(41周)が行われ、ポールポジションからスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)が山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)との目に見えないバトルを制し、シーズン初勝利を飾った。3位には牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が入り、予選に続いてホンダエンジンユーザーがトップ3を独占し、第4戦を完全制覇した。

 公式通知でも発表があったとおり、当初42周の予定だった決勝レースはフォーメーションラップを2周に増やしたことにより1周減算の41周で争われることになった。そのフォーメーションラップに向かうところで、5番手スタートの大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)がエンジンストール。

 その後、エンジンはかかり、フォーメーションラップの間に自身のグリッドまで戻ってスタートを切った。しかし、これがスタート手順違反の裁定を受け、後にドライビングスルーペナルティを受けることになってしまい、残念ながら上位争いから姿を消してしまうことになった。

 2周のフォーメーションラップの後に決勝スタート。フロントロウの2台は順当に1コーナーへと入っていくが、3番手スタートの山本はスタートでやや出遅れ、後続の坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、松下信治(Buzz Racing with B-Max)にかわされて5番手に後退。後方ではQ1でクラッシュを喫してしまい、19番手グリッドに沈んでいた平川が抜群のスタートを決め、7ポジションアップに成功していた。

 オープニングラップでは多少の順位変動があったものの、上位陣は膠着状態で4周目までが過ぎていく。しかし、突然サッシャ・フェネストラズ(KONDO RACING)がスローダウン。左のリヤタイヤが外れてしまっており、フェネストラズのマシンはジェットコースターストレートの先でストップ。

 車両を回収するために、7周目にセーフティカー(SC)が導入された。10周目にレースが再開すると、その周を終えたところで牧野がいち早くピットイン。その翌周には坪井、大湯の2台がタイヤ交換作業に向かった。

 坪井は牧野よりも前でコースに復帰するが、アウトラップで左リヤタイヤのパンクチャーに見舞われ、第1ヘアピンでストップしてしまう。同じタイミングでトップを走行していた野尻がピットイン。牧野の前でコースに復帰した。

 しかし、野尻はコールドタイヤでのアウトラップ。当然先にタイヤを変えていた牧野のほうがペースに勝り、2台は急接近。SHOWAコーナー(第1ヘアピン)ではテール・トゥ・ノーズにまで迫り、牧野がオーバーテイクを仕掛けるかと思われたその瞬間、2度目のSCボードが提示される。坪井のマシンを回収するためで、牧野はこれで野尻を攻略するチャンスを失ってしまった。

 SCボードの提示を見て、各チームが一斉に動きを見せる。13周を終えるところで多くのマシンが一斉にピットイン。ステイアウトを選択したのは山本、ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)、笹原右京(TEAM MUGEN)の3人で、トップの野尻は見た目上、4番手につけた。

 5番手の牧野の後ろには11番手スタートの国本雄資(carrozzeria Team KCMG)が。国本はピット作業で福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)や松下らをかわして事実上の4位にポジションアップしていた。

 15周を終えてレースは2度目のリスタートを迎える。ここからは、見た目上トップを行く山本と、事実上のトップである野尻による、目に見えないタイムバトルが始まる。作業時間を含めて30秒以上のマージンを築ければトップを守れる山本は、クリアラップで猛プッシュ。この時点でのファステストラップとなる1分28秒157をマークすると、その後も1分28秒台のラップタイムを並べていく。

 一方の野尻は1分29秒台半ばから後半のタイムにとどまり、両者の差は1周で1秒以上広がっていった。20周目には10.4秒、29周目には20秒と、山本がレースをリードしていくが、タイヤの消耗も進んできたか、31周目のタイムは1分29秒675と一気にダウン。

 逆に野尻は1分29秒522と、わずかながら山本との差を削ってきた。山本も踏ん張るがピットのロスタイム分である30秒以上の差を広げることはできず、両者の差は38周目で25.4秒が限界。残り周回数を考えても野尻に優位な展開となった。

 山本は39周を終えたところでピットイン。チームも山本の激走に応えるべく、6.6秒という素早い作業でコースに送り出すが、すでに野尻のマシンは1コーナーを回った後。山本は牧野の前、2位でコース復帰となった。

 ファイナルラップに入るところで野尻と山本の差は3.7秒──。山本はオーバーテイクシステムを使いながらフレッシュタイヤで一気に野尻に詰め寄るが、野尻も残しておいたオーバーテイクシステムを使用して応戦する。

 山本はセクター2だけで1.2秒のギャップを削ってくると、最終コーナーではテール・トゥ・ノーズにまで迫ったが、この猛追を振り切った野尻がトップチェッカー。スーパーフォーミュラでは昨年の最終戦以来となる自身3勝目を飾った。

 惜しくも0.664秒及ばなかった山本は2位。3位表彰台には終盤に国本からのプッシュをしのぎ切った牧野が今シーズン初表彰台を獲得した。ピット作業で国本にかわされたものの、松下は6位でフィニッシュし、チームにポイントを持ち帰ることに成功。

 宮田も8位フィニッシュでポイント獲得した。スタートで大きなポジションアップを見せた平川は、SCの影響で再び順位を落とし、最終的には12位で入賞に届かず。このレースをノーポイントで終えることになった。

 次回は12月5、6日に鈴鹿サーキットで第5、6戦の2連戦が行われる。

2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
アウトラップで先にタイヤを交換していた牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)の抑え切り、セーフティカーのタイミングにも助けられた野尻智紀(TEAM MUGEN)
アウトラップで先にタイヤを交換していた牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)の抑え切り、セーフティカーのタイミングにも助けられた野尻智紀(TEAM MUGEN)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 表彰台の様子
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 表彰台の様子
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス ノーポイントに終わった平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
2020年スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス ノーポイントに終わった平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)