スーパーGTと同じようなタイミングで鳴った松下の電話。フォーミュラに乗れる喜びはあるものの、2年間近くのブランクが不安要素か

 11月14、15日に大分県のオートポリスで開催される全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦。Buzz Racing with B-Maxから参戦予定だったセルジオ・セッテ・カマラが急きょ欠場となり、代役として松下信治がステアリングを握ることとなった。

 スーパーGTでの代役参戦もレースウイークの直前に決定したが、今回のスーパーフォーミュラへの参戦も、まったく同じような展開で決定。当然、チームのレーシングスーツを用意する暇はなく、今年の9月まで参戦していたFIA F2のMPモータースポーツのスーツに身を包んだ松下に、今週末の意気込みを聞いた。

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 松下はスーパー耐久第3戦岡山で負傷した高木真一の代役として11月7、8日に行われたスーパーGT第7戦に参戦していたが、今回の代役参戦の話がきたのはそのレース後、火曜日の朝のことだったと言う。

「今からシート作ってくれる?」

 チームからの突然の電話だったが、松下はふたつ返事でチームのファクトリーに向かい、シート合わせを行った。ただ、その時点ではセッテ・カマラ側の契約の問題もあり、まだ代役参戦は決定ではなかった。

「電話をいただいてから、すぐにファクトリーに行きました。でも決定ではなく、その時点では『まだ分からない』と言われていた。最終的に(参戦することが)決まったのは、その日の午後でした」

 松下は今シーズン参戦していたFIA F2選手権を9月末でチームから離脱することになってしまい、今シーズンはフォーミュラへ乗るチャンスはないかと思われていた。しかし、これまでフォーミュラひと筋でやってきた松下にとってこれ以上ないチャンスが巡ってきた。

「スーパーフォーミュラに乗れるのはすごくうれしいです。今まで乗ってきたシングルシーターですしね。とにかく、うれしい。それに尽きますね。あと、このチーム(Buzz Racing with B-Max)は外国人のエンジニアもチームに迎え入れて、ここ最近すごく力を入れて取り組んでいる。ミーティングもしましたが、すごくいいチームだと感じました」

 とはいえ、やはり突然の代役参戦となれば、不安要素もある。松下は2019年12月に鈴鹿サーキットで行われたルーキーテストに参加し、SF19のドライブは経験済み。しかし、実践のレースとなると、2018年にフル参戦していたとき以来だ。実質2年間近くのブランクを抱えて今回の第4戦に挑むことになる。

 さらに、松下は全日本F3選手権を戦っていた2013、2014年とオートポリスでのレースが行われていなかったために、2018年のスーパーフォーミュラが公式戦で初めてオートポリスでのレースを行える機会だった。しかし、そのチャンスは『悪天候により中止』という結末を迎えてしまったため、フリー走行と予選だけしか走れず、レースはできていない。

「ここはいいサーキットなので楽しみですけど、やってみないと分からないのが正直なところ。まずは予選が大事だと思うので、それまでになんとかこのブランクを埋めたいですね。早めに自分のポテンシャルを全部出せるようにしたいと思っています。それが一番大事だし、それができれば結構いい順位も望めると思いますよ」

 松下が言うようにポテンシャルを出し切り、いい結果を残すことができれば、それは来シーズンにもつながることは確実だろう。さらに、今シーズンの残り3戦もセッテ・カマラが参戦できない場合、再びシートに収まる機会も巡ってくるはずだ。ただ、その問いかけに松下は「今はそこまで考えていない」と言う。

「来年に関しては全然違う話だと思っています。このあとのレースについても今はまだ何も決まっていません。もちろん自分のベストを尽くすことが来年にもつながるとは思うけど、それはあまり考えていないです。とにかく、まずは今週末、ベストを尽くすことだけです」

「まずは今週末、ベストを尽くすことだけです」と語った松下信治(Buzz Racing Team with B-Max)
「まずは今週末、ベストを尽くすことだけです」と語った松下信治(Buzz Racing Team with B-Max)