かつてない超接戦。チャンピオン候補チームのドライバーが振り返る第7戦もてぎ戦、それぞれの事情

 スーパーGT第7戦もてぎではポイントランキング上位チームがそれぞれ思うような結果を残すことができず、チャンピオン争いはかつてない超接戦となった。

51点 KEIHIN NSX-GT
51点 KeePer TOM’S GRスープラ
49点 MOTUL AUTECH GT-R
49点 RAYBRIG NSX-GT
48点 ARTA NSX-GT
47点 WAKO’S 4CR GRスープラ

 数字上は上位10台に可能性があるという混沌状態だが、大事な今回の第7戦でそれまでのチャンピオン候補たちはなぜ、期待したように順位を上げることができなかったのだろう。各チームのドライバーたちに聞いた。

●山下健太 37号車 KeePer TOM’S GRスープラ:6位
 予選でQ1ノックアウトで13番手スタートとなってしまったKeePer TOM’S GRスープラとニック・キャシディの代役参戦となった山下健太。37号車は土曜練習走行~専有走行で5~6番手のタイムをマークしていたが、予選に向けてのセットアップ変更が裏目に出てしまった形となった。

 だが、決勝に向けてクルマを作り直し、スタートを担当した山下は同門のDENSO KOBELCO SARD GRスープラ、WAKO’S 4CR GRスープラ、そしてau TOM’S GRスープラをオーバーテイクし、ランキングトップの17号車KEIHIN NSX-GTにもサイド・バイ・サイドを挑む積極的なドライビングで順位を7番手まで上げ、平川亮にステアリングを渡した。第2スティントを担当した平川もMOTUL AUTECH GT-Rをオーバーテイクして37号車は6位フィニッシュ。17号車とポイントが並んだ。

「(6位の結果に)ほっとしました。昨日の予選のこともあって自分で取り返すしかないなと思っていたので、いつも以上に頑張りました。だいぶリスクはありましたし、他のクルマとも結構ぶつかったり、強引に行った部分もあるんですけど、とりあえず7~8番手くらいまで上げられたので最低限の仕事はできたかなと思います」

「クルマのフィーリングも昨日よりもよくて、周りと比べても普通に戦えるクルマにしてくれました。去年、37号車を見ていたら予選でダメだなと思ったときも決勝では上がってきていた。やはり、この部分はチームの強みなんじゃないですかね」(第1スティント担当:山下健太)

●松田次生 23号車 MOTUL AUTECH GT-R:7位
 前戦の第6戦鈴鹿を劇的なテール・トゥ・ウインで制し、ランキング3位で迎えた第7戦もてぎのMOTUL AUTECH GT-R。予選では4番手を獲得して、チャンピオン候補のなかでもっとも優位なポジションからスタートすることになったが、第1スティントの中盤から徐々に順位を下げてしまう。第2スティントでも後続を抑える苦しい展開となり、結局7位フィニッシュ。それでもトップと2ポイント差でランキング3位をキープし、ニッサンGT-R陣営唯一のチャンピオン候補として最終決戦に望みをつないだ。

「スティントの最初はタイヤのウォームアップが良くて後ろとのギャップを稼げて、このままいけるかなと思っていたんですけど、相手(17号車、37号車)の方が堅いタイヤを履いていたようで保ちは向こうの方がよかったですね。でも、10周くらい抑えることができて、そこはドライバー冥利ですね。魅せておかないと(苦笑)。そのなかでやれるだけのことはやれたと思います。最終戦のチャンピオン争いまで来れてよかったです」

「クルマとしてはセットアップが決まってきているのが一番大きいですね。単独で走れたらいいフィーリングがある。ですがレースではGT300に引っかかったときなど、要所要所の加速のヨーイドンのところで辛かったですね。どうしてもキツくなってしまう。タイヤのパフォーマンスもそこまで負けてはいなかったと思うんですけど、後半はちょっと厳しくなってきていてピックアップもきていました。今回はなかなかピックアップが取れませんでしたが、相手(ブリヂストン勢)も結構、キツそうでしたね」(第2スティント担当:松田次生)

2020年スーパーGT第7戦もてぎ決勝
セーフティカー開けに一斉にピットインし、アウトラップに向かうGT500マシンたち

●坪井翔 14号車 WAKO’S 4CR GRスープラ:12位
 ランキングトップで迎えた第7戦もてぎ戦だったが、予選ではわずか0.03秒差で9番手に終わり、Q2進出を逃してしまう。決勝では第1スティントでひとつ順位を下げてしまい10番手に後退、ピットストップ後は一時14番手まで順位を下げてしまうも、そこから第2スティントを担当した坪井がオーバーテイクを魅せ、11番手まで順位を上げたが最後はひとつ順位を下げて12位フィニッシュ。大事な1戦で0ポイントに終わってしまい、ランキングトップから6位に順位を下げてしまった。

「スティント前半で36号車を抜くのに時間が掛かってしまって、最後はタイヤもきつかったですね。もっとゆっくり、軽くなったところで勝負すればよかったです。(ガソリンが)重い時に抜かなければいけないクルマの量が多くて大変でした。予選でQ1通らなかったのが痛かったですね」(第2スティント担当:坪井翔)

■ホンダNSX史上初のトップ5独占のなか、ARTAに優勝を奪われた同じブリヂストン勢のKEIHINとRAYBRIG

●塚越広大 17号車 KEIHIN NSX-GT:5位
 第4戦のもてぎ戦で優勝を飾っているKEIHIN NSX-GT。このもてぎでも優勝候補の1台に挙げられていたが、予選ではまさかの10番手でQ1ノックアウトを喫してしまう。他のホンダNSX勢が予選上位を獲得していただけに、開催時期の違いやウエイトハンデの影響で厳しい予選となってしまった。

 しかし、決勝では序盤から第1スティントを担当したベルトラン・バゲットがアグレッシブなドライブで着実に順位を上げて6番手まで浮上。乗り変わった塚越広大もMOTUL AUTECH GT-Rをかわして5位フィニッシュ。ホンダ勢史上初のトップ5独占の一翼を担った。KEIHINはポイントランキングもKeePerの平川亮と同ポイントながらトップとなり、もっともチャンピオンに近い位置で最終戦を迎えることになった。

「満身創痍なレースで、なんとか5位になることができて、ホンダのトップ5に貢献ができてよかったです。ランキングもとりあえずトップに立ったので、それはよかったと思います」

「ただ、本当に今回は流れに乗れないレースでした。予選はもともともてぎはウエイトが厳しいサーキットで僅差の戦いになりますので、ウエイトなりだったのかなと思います。レースは展開的に僕らは上に行かなければいけない状況で、いろいろバトルをしていて第1スティントのバゲットがあちこちぶつかって、クルマのパーツも壊れたりボロボロにしてしまった状態だったので、そういった部分も後半スティントで厳しかった原因のひとつだと思っています」

「僕自身も残り10周くらいで16号車(Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT)に追いつくことができたんですけど、残り10周は結構、力尽きてしまった感じです。レース前半に接触でいくつかエアロパーツがなくなってしまっていて、クルマのバランスが当初から全然変わっていて、無茶苦茶オーバーステアな状態でした。その状況で23号車とかと戦わなければいけない状況で、すごく厳しかったです。そういったものが何もなければ、展開的には3番手には行けていたと思います」(第2スティント担当:塚越広大)

●牧野任祐 100号車 RAYBRIG NSX-GT:3位
 練習走行の走り出しから上位タイムをマークして好調な週末をスタートしたかに見えたRAYBRIG NSX-GTだったが、その練習中に駆動系のトラブルからコースサイドにマシンを止め、チームは修復作業に追われた。予選では直ったばかりのクルマで山本尚貴が3番手タイムをマークしてQ1突破。Q2担当の牧野任祐はこの週末、初めての走行でいきなり予選アタックを行い、見事に3番グリッドを獲得した。

 レースではスタートから3番手をキープして前の2台を追走していたが、前の2台のピットインした際にセーフティカーが入り、RAYBRIG NSX-GTはルーティンのピットインがこれからの13台のトップに。セーフティカー明けの2周目にピットインして、3番手でコースに戻り、そのまま3位チェッカー。今季2度目の表彰台を獲得するとともにポイントランキングで同ポイントの4位に上がり、タイトル争いに加わることになった。

「スタート直後はウォームアップがあまり良くなくて、途中で前に追いついたりもしたのですけど、スティントの後半のペースがかなり厳しかった。フロントの摩耗とリヤのピックアップでバランスがかなり難しくて厳しい部分があった。自分のスティントであれだけ苦しかったので、後半の尚貴さんは、周回数も長いしもっと厳しかったと思います」

「(前の2台がセーフティカーで利を得たことはいつ聞いたのか?)セーフティカーに捕まってからですね。『誰か入りましたか?』と聞きました。『やられたな』と思いましたね。ただ、2台と聞いたときはまだ良かったなと思いました。僕はもっと多くのチームが入ったと思っていたので、そこは本当に不幸中の幸いだったと思います」

「今日は8号車(ARTA NSX-GT)が速かったですし、普通にレースをしていたら2位だったかもしれないですけど、もう少し決勝のレース、ベースというかクルマ作りの部分でもうひと押しいるかなと思いました。ただ、いろいろなことが起きるなかで3位という結果で戻ってこれてポイントもきちんと取れましたし、チャンピオンシップも全然チャンスはあると思うので、最終戦に向けてチーム一丸となって頑張りたいと思います」(第1スティント担当:牧野任祐)