アウディe-tron Sportbackは、EVらしくアクセル操作に即座に反応する豪快な加速フィールと高い静粛性が自慢

■大人4人がゆったり座れる車内、広々した荷室による高い実用性も光る

アウディが日本市場に初めて送り出したEVのe-tron Sportbackは、同ブランドの電動化攻勢の口火を切るモデルになります。

価格は「Audi e-tron Sportback 1st edition」が1327万円、「Audi e-tron Sportback 1st edition バーチャルエクステリア ミラー仕様」が1346万円。95kWhの大容量を誇る駆動用バッテリーを搭載し、一充電あたりの航続可能距離は最大405km(WLTCモード)、急速充電を使うと117km(30分)となっています。

アウディ イートロン スポーツバック
Audi e-tron Sportbackの走り

駆動方式は、前後に1つずつモーターを積む電動4WDのquattro(クワトロ)で、通常時は、主にリヤのモーターを使って走行抵抗を低減し、電気の消費を抑制。急加速時や滑りやすい路面、コーナリング時など4WDにより高い走行安定性が必要とシステムが判断すると、フロントモーターも駆動。

システム最大出力は300kWで、0-100km/h加速は5.7秒(Sモードのブースト時。Dレンジでは6.6秒)となかなかの俊足ぶりです。0-100km/h加速でいえばe-tron Sportbackよりも速いモデルはアウディにいくつもありますが、全長4900×全幅1935×全高1615mmという大きめのボディに2565kgという重量級を間髪入れずに豪快に加速させていくのは、EVならではの利点を存分に感じさせます。

アウディ イートロン スポーツバック
e-tron Sportbackのインパネ

しかもアクセルを深く踏み込まなくても十分な速度が得られますから、高速道路の巡航はとても楽で快適。

回生具合は、パドルシフトで強めにするとそれなりの減速感が得られますが、通常のハイブリッドやガソリンエンジン車と同じ程度のフィーリングで驚くほどの減速Gは得られません。また、ワンペダルで停止まで至らないため、ドライバーがブレーキをきちんと踏む必要があります。EVに初めて乗る人でもそれほど違和感なくすぐに慣れることができそうです。

速度に合わせて車高を自動制御するエアサスペンションにより、良好な路面や高い速度域では、上質な乗り心地を示す一方で、荒れた路面だと重量級らしい、車重による揺れはそれなりに伝わってきます。「ノーマル」モードでもやや硬めで、「ダイナミック」にすると、シーンによっては揺さぶられることも。また、床下にバッテリーを敷き詰めたことで、重心の低さを感じさせるハンドリングが美点で、ボディサイズを感じさえ内フットワークを堪能できます。

アウディ イートロン スポーツバック
Audi e-tron Sportbackの走行イメージ

さらにEVらしく、騒音対策にも注力されているのがうかがえます。

高速道路でも前後席で大きな声を出すことなく会話も可能で、ロードノイズ、風切り音の遮断、抑え込みも巧みにされています。タウンユースから高速道路巡航まで車内は非常に静かで、1300万円を超える高級車にふさわしいクオリティを抱かせます。

車内に収まると目を惹く「バーチャルエクステリアミラー」は、視認性は十分に高いものの、装着位置が低いのか、カメラの画角の問題なのか、上下(天地方向)が少し狭く感じられます。高速道路への合流時や車線変更時などには、いつも以上に振り返って目視する必要を感じました。

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e-tron Sportbackの「バーチャルエクステリアミラー」

個人的には、レクサスESやHonda eではそこまでは感じられなかったので、少し気になる点。ほかにも巧みなパッケージングにより、後席の床面にもEVにありがちな「上げ底」感がほとんどなく、きちんとした姿勢で座れるのも特徴といえます。

同クラスのEVであっても後席のフロアが高く、床面から座面までの高さが不足しているように感じられるモデルもある中、長身の方を含めて大人4人がきちんと座れるEVに仕上げられています。なお、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めた後ろの席には、膝前にこぶし2つ半強、頭上にこぶし1つと手の平1枚程度の余裕が残ります。

アウディ イートロン スポーツバック
荷室容量は616L(VDA)と大容量

さらに荷室容量も616Lとかなりの広さで、地上から荷室下側までの開口高は801mmと少し高めである点をのぞけば、実用性もきちんと担保されています。

(文/塚田勝弘・写真/井上 誠)