DTM最終戦:ミューラーの挑戦退け王者ラストがポール・トゥ・ウイン。通算24勝目で3度目の戴冠決める

 11月8日、ドイツ・ホッケンハイムリンクでDTMドイツ・ツーリングカー選手権第9戦ホッケンハイムの決勝レース2が行われ、ディフェンディグチャンピオンであるレネ・ラスト(アウディスポーツ・チーム・ロズベルグ)が、逆転タイトルを狙うニコ・ミューラー(アウディスポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)とのバトルを制してポール・トゥ・ウインを達成し、自身3度目のDTMドライバーズチャンピオンを獲得した。

 前日に実施されたレース1の結果、チャンピオン候補がミューラーとラストの2名に絞られた2020年シーズンのDTM。今シーズンラスト、そしてクラス1規定車での最後の予選となったレース2クオリファイでは、現王者がポールポジションを獲得。ドライバーズポイントを3点追加し、328ポイントとする。

 一方、挑戦者であるミューラーは4番手に留まりポイントを加算できず。両者の差は16ポイントに開き、スイス人ドライバーのタイトル獲得には決勝レースを2位以上で終えることが絶対条件となった。

 運命のレース2は定刻13時30分にフォーメーションラップが開始され、こちらも最後となるスタンディングスタートで戦いの火蓋が切られた。スタート直後、2番手グリッドから好ダッシュを決めたマイク・ロッケンフェラー(アウディスポーツ・チーム・フェニックス)がラストを交わして首位に躍り出ると、セカンドロウスタートのミューラーも3番手のジェイミー・グリーン(アウディスポーツ・チーム・ロズベルグ)の前に出る。
 
 ポールシッターのラストは2番手に後退し、その背後にミューラーがつけたことでまたしても“直接対決”の構図となった。

 上位陣に動きがあったものの、後方でも目立ったアクシデントはなく比較的静かだったスタートから2周を経て迎えた3周目、ラストがロッケンフェラーに襲いかかり、これをオーバーテイク。トップに立った翌周には1.1秒のリードを築いてみせる。

 一方、王者を追いかけるミューラーは7周目、前を走るロッケンフェラーに接近すると、8周目のヘアピンでベテランを攻略し2番手に順位を上げた。

 11周目、チャレンジャーであるミューラーがラストに接近し、その差は0.7秒に。しかしラストもそう簡単にはポジションを譲らない。ライバルの猛追に反応してペースを上げギャップを約2秒に広げる。

 このタイミングでアウディスポーツ・チーム・アプト・スポーツラインはミューラーをピットに呼び寄せ、前日のレース1と同様にアンダーカットを狙う戦略に打って出る。

 これに対して首位を走るラストは、ミューラーから3周遅い17周が終了したタイミングでピットへ飛び込む。ラストのコース復帰はミューラーの後方。アウトラップでペースの上がらない王者を尻目にミューラーがギャップを広げていく。

2020年DTM第9戦ホッケンハイム 決勝レース2 スタートシーン
2020年DTM第9戦ホッケンハイム 決勝レース2 スタートシーン
一度はポジションを下げるも持ち前のスピードを活かして再逆転し、ポール・トゥ・ウインを飾ったレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)
一度はポジションを下げるも持ち前のスピードを活かして再逆転し、ポール・トゥ・ウインを飾ったレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)

■セッティング変更が裏目に出たミューラー

 全車が義務付けのピットインを済ませた時点でトップに立ったのはミューラー。約4秒後方の2番手にラスト、さらに4秒遅れてロッケンフェラーが続き、4番手フラインス、5番手グリーンというトップ5オーダーとなってレースは後半戦に突入する。

 アウディ勢が上位を独占するなか、トップ2台のタイム差が徐々に詰まってくる。23周目にはギャップは1秒を切り、その翌周のパラボリカでラストがミューラーに接近すると、あっさりと再逆転に成功した。

 時を同じくして、審議が行われていたラストのピット作業時におけるジャッキアップ中のタイヤ空転については、白黒旗の裁定が出たことでレース、タイトル争いへ影響はないままにレースは終盤へ。

 そのレース終盤、ミューラーのペースが上がらず対ラストのタイム差は33周目時点で約10秒にまで広がり、この時点で勝負あり。37周目にファイナルラップを迎えたラストが危なげなく今季6度目となるトップチェッカーを受け2年連続、自身3度目となるシリーズチャンピオンタイトルを手にした。

「僕のクルマはまるで飛んでいるようだった。信じられないほど決まっていて速かったんだ」と直接対決を制したマシンを評したラスト。

「ドライブしているほとんどの間は集中するのが大変だった。いろいろなことが頭をよぎってね、何度も何度も新しいノイズが聞こえてくるんだ。僕はひたすらクルマが最後まで保つことを祈っていたよ」

 レース後、「今日はレネ(・ラスト)に挑戦するのに充分な速さがなかった。役立つと思った変更が明らかに間違った方向に進んでしまったんだ」と語るとともに、「レネの素晴らしいシーズンを祝福したい。彼は偉大なチャンピオンだ」とライバルを讃えたミューラーが2位。中盤から長らくベテラン同士のバトルを繰り広げ、最終盤にロッケンフェラーを交わしたグリーンが3位表彰台を獲得している。

 チャンピオンシップの最終的な結果は、ラストが353ポイントを獲得して王座防衛に成功。ミューラーが330ポイントでランキング2位に。レース1開始時点まではタイトルの可能性が残っていたフラインスは279ポイントで3位となった。

 チームタイトルはアウディスポーツ・アプト・スポーツラインが獲得し、マニュラクチャラーズタイトルは2020年シーズンを席巻したアウディの手に渡っている。

 既報のとおり今シーズン限りでクラス1規定車での戦いが終了し、2021年はFIA-GT3規定マシンを用いた新シリーズとなるDTM。大きくその姿を変える選手権が、欧州で行われている他のGT3カテゴリーに対していかに差別化を図り、地元ドイツのファンや世界中のモータースポーツファンを魅了していくのか注目したいところだ。

2020年DTMシリーズチャンピオンを決めるトップチェッカーを受けるレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)
2020年DTMシリーズチャンピオンを決めるトップチェッカーを受けるレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)
互いの健闘を称え合うニコ・ミューラー(左)とレネ・ラスト(右)
互いの健闘を称え合うニコ・ミューラー(左)とレネ・ラスト(右)
レース1に続きレース2でもアウディ勢が表彰台を独占。年間タイトルもアウディの3冠となった。
レース1に続きレース2でもアウディ勢が表彰台を独占。年間タイトルもアウディの3冠となった。
BMW勢のランキング最上位はティモ・グロック(BMW M4 DTM)の4位
BMW勢のランキング最上位はティモ・グロック(BMW M4 DTM)の4位