豪州SC:王者マクラフランとともにチーム・ペンスキーもシリーズ離脱。DJRは新体制へ

 VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでシリーズ3連覇を決めた王者スコット・マクラフランとともに、黄金時代を築き上げたDJR Team Penske(ディック・ジョンソン・レーシング・チーム・ペンスキー)は、北米インディカーでの本格キャリアを開始したチャンピオンとともに、チーム・ペンスキーの離脱を正式に発表。

 2021年に向け再びディック・ジョンソン・レーシング(DJR)としてスタートを切るチームは、2台のフォード・マスタングにエレバス・モータースポーツから移籍のアントン・デ・パスカーレと、シリーズ復帰組のウィル・デイビソンを起用するとアナウンスした。

 また、2020年からフォード陣営の一角に加わったケリー・レーシングのエース、リック・ケリーがフル参戦ドライバーとしてのキャリアを終え、レギュラーシートから降りる決断を下している。

 言わずと知れた名門チーム・ペンスキーは、フォード・ファルコンFG-X、そしてシリーズを席巻し続ける“ポニーカー”マスタングで、2015年以来3つのドライバー&チームのチャンピオンシップタイトルを獲得した。そんな成功体験を共有したDJRとの6年間の関係を終え、マクラフランのシングルシーター・キャリア本格支援のため2020年限りでオーストラリア大陸から去ることを決めた。

 自身も5度のドライバーズチャンピオン獲得経験を持つDJR代表のディック・ジョンソンは、マクラフランを「世代を超えた才能」と称賛し、新たな大陸での成功を祈念するとともに、2021年の祭典『バサースト1000』で再会できる日を「楽しみにしている」と語った。

 一方、チーム・ペンスキーの創設者兼最高経営責任者であるロジャー・ペンスキーは、56度の優勝と62回のポールポジションを獲得したチームとの協力関係を解消するにあたり「素晴らしい6シーズンを過ごせたことに心から感謝したい」と、DJRに惜別の辞を送った。

「ディック・ジョンソンや敏腕ディレクターのライアン・ストーリーとともに、オーストラリアとニュージーランドでのイニシアチブ拡大に貢献する大成功を収めることができた。しかし残念ながらCOVID-19パンデミックの結果、2021年のすべてのビジネス計画を見直す必要に迫られたんだ」と明かしたペンスキー。

「DJRのメンバー全員が、私たちとの素晴らしい経験をもとに、今後もシリーズで成功を収めていくものと確信している」

 これにより、来季はDJRとして再スタートを切るチームだが、10月末には長くマクラフランの僚友を務めたファビアン・クルサードの放出を発表。そして11月6日にはホールデン陣営で光るスピードを見せていたパスカーレの起用と、2020年は開幕直後にCOVID-19の影響で23レッド・レーシングが参戦休止に陥ったことにより、自身のレースシートを喪失していたデイビソンの再加入をアナウンスした。

チーム・ペンスキーの創設者兼最高経営責任者であるロジャー・ペンスキー(右)と、6年間の成功をともにしたDJR代表のディック・ジョンソン(左)
チーム・ペンスキーの創設者兼最高経営責任者であるロジャー・ペンスキー(右)と、6年間の成功をともにしたDJR代表のディック・ジョンソン(左)
成長著しいアントン・デ・パスカーレと、シリーズ復帰組のウィル・デイビソンを起用する
成長著しいアントン・デ・パスカーレと、シリーズ復帰組のウィル・デイビソンを起用する

■2021年は「とてもワクワクしている」と新加入のパスカーレ

「これは本当に素晴らしい組み合わせになったと思う。彼らはともに速いドライバーで、選手権に挑戦する準備ができている。ディック・ジョンソン・レーシングとシェルV-パワー・レーシング・チームにとって、非常に頼もしい戦力になるだろう」と期待を込めたDJRマネージングディレクターのストーリー。

 2020年開幕前のeスポーツ・シリーズでも活躍し、現実のドライバーズランキングでも8位となったパスカーレは、マスタングをドライブする2021年に「チャンピオンシップの候補になることを熱望している」と語った。

「僕はエレバスでの時間を本当に楽しんでいたし、まるで大きな家族のようだった。しかしメインゲームに挑戦する機会を与えてくれたDJRには深く感謝している。ウィル(・デイビソン)とともに戦うシーズンを前に、とてもワクワクしているよ」

 一方、このDJRからシリーズフル参戦を開始したキャリアを持つデイビソンは、先日の『バサースト1000』で6号車のモンスターエナジー・レーシング、キャメロン・ウォーターズと組んで2位に入った成功を「常態化したい」と意気込む。

「キャリアが始まった場所に戻ることに大きなモチベーションを感じているし、2020年最終戦の成功を引き継ぎたい。再びマスタングとともに走れるのが楽しみだし、アントンと緊密に協力することにも喜びを感じるよ」

 一方、フォード陣営への加入初年度でマスタングの開発にも参画したリック・ケリーは、兄のトッド・ケリーとともに興したケリー・レーシングでの戦いを振り返り「今がメリーゴーランドを降りる適切な時期だと感じた」と、フルタイムのキャリアに終止符を打つ意思を示した。

「カストロールのサポートを得て、フォードのマシンを走らせるのを本当に愛していた。今季はおとぎ話のような結末にはならなかったが、いつかはこうした時期が来る。過去10年間、ニッサンとともに収めたケリー・レーシングの成功を誇りに思うし、20年間のドライバーキャリアは本当に幸せだった。すべてのメンバーに感謝を捧げたい」

 リックのチームメイトを務めてきたアンドレ・ハイムガートナーはチームに残留し、空いたシートに座るドライバーは近日中に発表される予定だ。

「もちろん寂しい気持ちでいっぱいだ」とスコット・マクラフラン。しかし2021年の『バサースト1000』参戦を明言している
「もちろん寂しい気持ちでいっぱいだ」とスコット・マクラフラン。しかし2021年の『バサースト1000』参戦を明言している
2013年からニッサン・アルティマで戦い、2020年はフォード・マスタングをドライブしたリック・ケリーが、キャリアを終える決断を下した
2013年からニッサン・アルティマで戦い、2020年はフォード・マスタングをドライブしたリック・ケリーが、キャリアを終える決断を下した