DTM第9戦:ニコ・ミューラー、王者ラストとの一騎打ち制しタイトル獲得に望みつなぐ

 シリーズタイトル争いが佳境を迎えている2020年シーズンのDTMドイツ・ツーリングカー選手権は11月7日、ホッケンハイムリンクで最終ラウンドとなる第9戦のレース1が行われ、ニコ・ミューラー(アウディスポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)が逆転戴冠に望みをつなぐ勝利を挙げた。

 新型コロナウイルス“パンデミック”の影響で、無観客での開催となった第9戦ホッケンハイム。2020年シーズンのチャンピオンが決定するこのラウンドのレース1予選で速さをみせたのは、ゾルダーでのベルギー4連戦をすべて制し、ランキング首位で今戦に乗り込んできた王者レネ・ラスト(アウディスポーツ・チーム・ロズベルグ)だった。

 フロントロウ2番手はランキング2番手につけるミューラーが獲得。ベテランのマイク・ロッケンフェラー(アウディスポーツ・チーム・ロズベルグ)が3番手に続き、シェルドン・ファン・デル・リンデ、フィリップ・エングのBMWチームRBM勢が4、5番手に。タイトル獲得の可能性を残すロビン・フラインス(アウディスポーツ・チーム・アプト・スポーツライン)は8番手と上位進出には少々厳しい位置からのスタートとなった。
 
 レースウイークの金曜日にお披露目されたフル電動デモカー『Eカー』によるデモラン後、決勝レース1は1周のフォーメーションラップを経てスタートを迎える。タイトルを懸けたラストとミューラーの直接対決はシグナル消灯直後から激しくバトルが行われ、まずはミューラーが1コーナーでラストのインを強引にこじ開けて首位を奪取。先行逃げ切りを図る。

 しかし、後方ではその1コーナーでマルコ・ウィットマン(BMWチームRMG)とハリソン・ニューウェイ(アウディスポーツ・チームWRT)、ロバート・クビサ(BMWチームRMG)が絡むアクシデントが発生し、クビサ以外の2名がタイヤバリアにクラッシュしてしまう。このためレースはオープニングラップからセーフティカー(SC)が入り、フォーマットも55分+3周に変更された。

 レースは6周目に再開。予選8番手から10番手に沈んでいたフラインスはこの周にピットインを行い奇跡の大逆転を待つ作戦をとる。
 
 トップ争いが動いたのは9周目。DRSを使ってミューラーに接近したラストがヘアピンでライバルを逆転する。抜かれたミューラーは一時差を広げられたものの、13周目からふたたびギャップを詰めていく。
 
 17周目、ミューラーがアンダーカットを狙ってピットへ。3番手につけるグリーンも同時に入った。トップを走るラストはこれに反応して翌周にピットイン。しかしタイヤ交換に時間がかかり、ピットアウト後にはミューラーとラストだけでなく、フラインスにも前を行かれてしまう。

 だが、ディフェンディグチャンピオンはすぐさま逆襲を開始。すでにタイヤのピークを過ぎたフラインスを簡単に料理すると、僚友グリーンも抜き去り2番手に浮上する。そして26周目からミューラーの背後につくと、その2周後にはふたたびミューラーを交わして首位を奪い返してみせた。

スタート前にデモランを行った完全電動のレーシングカーのデモカー『Eカー』
スタート前にデモランを行った完全電動のレーシングカーのデモカー『Eカー』
2020年DTM第9戦ホッケンハイム レース1 スタートシーン
2020年DTM第9戦ホッケンハイム レース1 スタートシーン
ニコ・ミューラーを追撃するレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)
ニコ・ミューラーを追撃するレネ・ラスト(アウディRS5 DTM)

■まさかの周回数“勘違い”

 
 この直後、ティモ・グロックがストップしレースは2度目のSCランに。32周目、仕切り直しのリスタートが切られると、今度はDRSを得たミューラーがラストに襲いかかる。粘るラストだったが、34周目のヘアピンでついにミューラーが再逆転に成功する。
 
 ファイナルラップでの両者のギャップは0.622秒。みたびのオーバーテイクの可能性も残されていたなか、ミューラーがラストを追撃を振り切ってトップチェッカー。タイトル獲得の可能性をレース2につなげてみせた。3位はグリーン、4位にロイック・デュバル(アウディスポーツ・チーム・フェニックス)が入り、ロッケンフェラーが5位に。フラインスは7位フィニッシュとなりタイトル獲得の可能性が消滅している。
 
「壮絶なレースだった! 接戦になることは分かっていた。この勝利にはチームが大きな役割を果たしてくれた。ピットストップも戦略も完璧だったよ」と勝者ミューラー。

 敗れたラストは「まだ13ポイントのリードがある。その観点から言えば、このレース後もすべてが順調であると言える。日曜日に表彰台を獲得することでタイトルを獲得するには充分だ」と余裕も感じさせるコメントを残した。

 その一方でレース中は周回数を間違えていたことを明かしたラスト。

「終盤に向けて、周回数をカウントダウンし最終ラップに決定的なアタックを仕掛けたいと思っていた。4、3、2……と思っていたら、もうチェッカーフラッグが出ていたんだ。驚いたよ」

「念の為レースコントロールを訪れたが、トップ車両がフィニッシュラインを通過すると自動的にラップが表示される、と説明を受けた。おそらく僕が(トップと)近すぎて最終ラップの表示を見ていなかったのだと思う」

 このレース1を終えてラストの獲得ポイントは325ポイントに。対するミューラーは312ポイントとなった。レース2の最大獲得点数はポールポジションの3ポイントを含めて28点。ラスト優勢であることに変わりはないが、ミューラーの逆転戴冠も充分に可能だ。レース2決勝は11月8日(日)日本時間21時30分にスタートを迎える。

トップチェッカーを受けたニコ・ミューラー(アウディRS5 DTM)
トップチェッカーを受けたニコ・ミューラー(アウディRS5 DTM)
レース終了直後に言葉を交わしたレネ・ラスト(左)とニコ・ミューラー(右)
レース終了直後に言葉を交わしたレネ・ラスト(左)とニコ・ミューラー(右)
BMW最上位は6位のジョナサン・アバディーン(BMW M4 DTM)
BMW最上位は6位のジョナサン・アバディーン(BMW M4 DTM)