カウンターを当てるほど「攻めた」初F1テスト。それでも見据えるのはF2の最終2連戦【角田裕毅独占インタビュー】

 イモラサーキットでのF1初テストを無事に終え、予定を超える352kmを走破した角田裕毅。イギリスに戻った翌々日、自宅からあらためてリモート取材に答えてくれた。

 イモラという難易度の高いサーキット。しかもウエット路面から徐々に乾いていくという難しいコンディションのなかでは、タイヤがオーバーヒートしたために「午前中のセッション終了直前には、コースオフを喫した」という秘話も明かしてくれた。

 それでもその後は「ドライ路面でもカウンターを当てまくるほど、かなり攻めた」というほどF1マシンに習熟。「楽しく、充実したテストでした」と、総括してくれた。

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──テストから2日が経ちましたが、あらためて思うことなどはありますか。

角田:いえ、特には。F2のレースが終わったあと、レースの翌日と同じような感覚というか。特別な思いはないですが、少しだけ首の筋肉痛が残っていますね。

──300kmという距離目標は無事に達成しました。

角田:そこはまずホッとしてます。ウエットとドライの両方のコンディションを体験できて、そのうえで合計352km走れた。チームとホンダに感謝しています。

──テスト時のコンディションは具体的にどんな状況だったのでしょうか。

角田:当日は朝から霧が濃くて、湿気を肌で感じました。サーキットに到着したら路面は濡れていて、テスト前に乗用車で2周ほど走った時点で「ウエットタイヤだろうな」と思いました。本来ならインターミディエイトを履くぐらいの状況でしたが、(テストではウエットタイヤしかないので)ウエットタイヤでテストを始めました。初めてのF1テストのスタートという意味では少し難しいコンディションでした。

イモラサーキットにて、F1初テストを行った角田裕毅
イモラサーキットにて、F1初テストを行った角田裕毅

──アクセルを踏み込みにくいコンディションだったわけですね。

角田:はい。でもタイヤウォーマーで温めていたこともあって、インスタレーションからグリップは感じました。なので裏のストレートで軽くエンジンを全開にしてみたのですが、率直に「ものすごいパワーだな」と感じました。ウエットコンディションでグリップがないはずなのに、その状態でパワーを感じるのはすごいなと。

──スピンなどはすることもなく?

角田:ウエット路面でのコントロールには自信があるので大丈夫でした。その後、13周ぐらい連続走行したときも、カウンターを当てたりしながら結構楽しめました。

──F1マシンでは減速Gもとても高く感じたのではないですか?

角田:連続周回のときからブレーキングポイントを少しずつ詰めていたのですが、ウエット路面ですし、グラベルに埋まってテストが中断することだけは避けたかった。だから、あまり無理をしすぎない程度で走っていました。それでも少しずつ奥まで突っ込むことができるようになると、ウエット路面でもすでにF2のドライ路面ぐらいの減速Gを感じましたね。

──お昼前にはドライタイヤに履き替えたそうですね。

角田:はい。その時点ではまだ路面は濡れていましたが、ウエットタイヤで走っていた終盤にはかなりタイヤがオーバーヒート状態になっていて、ブレーキでリヤをロックさせてしまい、コースアウトしました。コースには復帰して走り続けましたが、リヤタイヤがパンクしてしまっていたので、もう替えるべきだろうと。

角田:タイム的にはまだウエットコンディションでしたが、その頃にはマシンにも慣れていたのでドライタイヤで行きました。でも、セクター2、3はまだ濡れてましたね(苦笑)。じつは最初は少し怖いなと思っていましたけど、なんとか走れました。コントロールのいい練習にもなったと思います。

──テストを取材した熱田護カメラマンが、角田選手はとても楽しそうだと言ってました。今回のテストと、初めてのF1マシンの印象を総括するとどんな感じだったのでしょうか?

角田:乗ってるときはいつも通りリラックスして、自分の感覚を信じて、できるだけ早くマシンに慣れることだけを考えていました。1周ごとに自分の成長を実感することができたと思います。そういう意味ですごく楽しかったです。コースオフを喫したときも、コントロールできていたのでスピンまで行かずにコースに戻ることができた。楽しくて、とても充実したテストでした。

300km走破という目標をクリアし、合計352kmを走り切ることができた
300km走破という目標をクリアし、合計352kmを走り切ることができた

──F1に参戦したいという気持ちはテストを終えてより一層強くなったのでは?

角田:より一層というより、前からの気持ちと変わらず強いです。ただ、まだF2レースが残っています。もちろんF1に出たい気持ちはありますが、とにかくいまはF2をいい形で終わりたい。そこに集中しようと思ってます。選手権3位とか4位でスーパーライセンスを取るというよりは、次のバーレーンで1コーナーのブレーキングをどうするか。1周ごとに集中して行こうと思ってます。

──角田選手の夢は単にF1に行くことではなく、そこで勝つことだと思います。今回初めてテストを行ってみて、いいマシンに乗ることができればその夢を達成できると思いましたか?

角田:そこはまだ分からないです。F1で実際にレースしてみないと。もちろん2018年のSTR13も本当にいいマシンだと思います。でもメルセデスがいま、どの次元で走ってるのかは全然分からない。

角田:F1はいいマシンを手にできれば好成績を出せる確率ははるかに高くなる。でも、いいチームのいいマシンに乗るためには、それ以前の段階でしっかり結果を出さないといけない。それができないと声がかからないですからね。夢を達成するためにもまずはいまを頑張ることが第一です。

イモラサーキットにて、F1初テストを行った角田裕毅
イモラサーキットにて、F1初テストを行った角田裕毅