『走行ゼロ周』で予選アタックして3番手獲得の牧野任祐。チャンピオン争いで鍵を握るRAYBRIGとMOTULの予選2列目

 チャンピオン争いが佳境に入ってきたスーパーGT第7戦もてぎ。残り2戦となり、チームにもドライバーにもプレッシャーが大きくのし掛かってくるなか、別な要因で今回、もっとも大きな重圧を感じていたと言えるのがRAYBRIG NSX-GTの牧野任祐だった。午前中のフリー走行で駆動系トラブルが発生してしまったRAYBRIGは、予選までにマシンを修復して山本尚貴がQ1を3番手で突破。そして、それまで周回数ゼロの牧野がいきなり予選Q2アタックに臨むことになったのだ。

「ゼロ周での予選は初めてです。2016年のタイのデビュー戦の時もぶっつけ本番でしたけど(フリー走行を経て予選2番手獲得)、その時とはワケが違いました」

「前戦もあまり走れずに予選Q2を走ったんですけど(結果8番手)、前戦はウエイトがマックスで厳しいだろうなという中で今回は状況が違いました。尚貴さんがQ1で素晴らしいアタックでクリアしてのQ2で、クルマの状況も調子良さそうだったので正直、プレッシャーというか、Q2は自分にとっては厳しい予選になるのかなと思っていました」と牧野。

 大きなプレッシャーを感じながらも、すぐにマインドチェンジができるのも牧野の強みのひとつだ。

「まあ、あまり考えても仕方ないし、『とりあえず行ってまえ!』みたいな感じでアタックした感じですね。特に何も考えずに行ったという感じです」

 そのアタックで、見事3番手タイムをマーク。RAYBRIG NSX-GTにとっては今季予選最高位からのスタートポジションを得たが、牧野のアタック自体はとても納得できるものではなかったようだ。

「アタック自体はもちろん、まとまらない(苦笑)。ほぼ全コーナーで行きすぎたり、ブレーキで余ったり、バラバラでまとめきれなかった。ただまあ、いずれにしてもポールは厳しかったかなと。それでも3番手は決して悪くない位置ですし、明日のことを考えてもいい予選だったかなと思います」と牧野。

 前回の第6戦鈴鹿では悔しい思いも経験した。

 牧野がステアリングを握ってピットインする際、ピットロード手前のブレーキングでKeePer TOM’S GRスープラのニック・キャシディからの追突を受け、RAYBRIGはリタイアに終わってしまっていた。牧野に非はないにしても、レースで結果を出せなかったことに対して牧野も苦しい時間を過ごした。

「さすがにあの当日は落ち込んだりしました。ただ、もう考えてもしかたないですし、吹っ切れる感じというか、幸いランキングも上との差が少ないので、残り2戦に向けて逆に切り替えられました。何が何でも残り2戦を獲るという気持ちにチームのみんなも切り替わったと思うし、そういう意気込みで今回来ています。朝トラブルが出た時には正直、まだ前戦の流れを引きずっているのかなと思ったりもしましたけど、予選で前の方に行けたので明日、しっかりとトップを獲りたいと思います」と、決勝への期待を話す牧野。

 後輩でもある牧野の今回の活躍を、山本尚貴も手放しで讃える。

「今日は僕の走りよりも、やっぱり牧野選手の走りだと思います。1周も走っていないなかで、いきなりウォームアップの2周でクルマの限界点を探ってアタックするというのはもう、過酷以上のなにものでもない。かなりキツかったと思いますけど、それでも(3番手タイムの)1分36秒7で帰ってきてくれた。今日はクルマをきちんと直してくれたメカニック、そして牧野選手の頑張りに感謝しないといけないですね」と山本。

 もちろん、山本にとっても今回のもてぎ戦はシーズンを考えても重要な一戦になる。RAYBRIGは今季のスーパーGTでは表彰台が1回の成績で、ドライバーズランキング7位でチャンピオンの可能性が残っているとはいえ、ここまでとても満足できるリザルトではない。

「予選で3番以内に入ったのは今年初めてなんですよね。ようやくここに来て2列目からスタートできますし、まわりの状況を考えても、レースで分があるのかなと思っているので明日は絶対に勝ちたいですね。前回の借りもしっかりと返したいと思います」と山本。

 ランキング7位のRAYBRIG NSX-GTの今回の成績次第では、例年以上に僅差のチャンピオン争いがさらにカオスな状況となる。同じくタイトル候補の予選上位陣としてはMOTUL AUTECH GT-Rが4番手グリッドを獲得しており、RAYBRIGとMOTUL、2列目の2台のゆくえが今季のチャンピオン争いに大きな影響を与えそうだ。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ予選日MOTUL AUTECH GT-R
スーパーGT第7戦もてぎ予選で4番手を獲得したMOTUL AUTECH GT-R。予選Q1を担当した松田次生