目指したのは「地上最速のラグジュアリーサルーン」。2世代目ポルシェ パナメーラを海外試乗! 【Playback GENROQ 2016】

Porsche Panamera

ポルシェ パナメーラ

最速狙いの真相。

相変わらずこの技術屋集団は自信に溢れているようだ・・・。何しろ自ら“地球上で最も速いラグジュアリーサルーン”と豪語する。しかもその速さだけではなくパッケージングをも直したことによって、パナメーラの価値自体が見直される可能性すら秘めている。その真相と印象をお伝えする。

ポルシェ パナメーラターボのリヤスタイル

「軽量化策と4Dシャシーは効果絶大!!︎ 確かに最速を謳うだけのことはある」

7年ぶりに姿をみせた新型パナメーラのトピックは、大きく以下の5つに分けられる。

ひとつめは、5ドア・クーペという基本形は継承しつつも、より911に近くなった流麗なボディスタイル。2つめはポルシェが開発を担当し、この後VWグループ内で活用されることになるMSBと呼ばれる新しいプラットフォーム。3つめはPASMやリヤアクスルステアなど各種シャシーシステムをネットワーク化し、統合制御する4Dシャシーコントロール。4つめは一新されたパワートレイン。そして5つめはポルシェ・アドバンストコクピットと呼ばれる高解像度ディスプレイを活用した新世代のインフォテイメント・システムの採用である。

現時点でラインナップされているのは、4.0リッターV8ツインターボを搭載するフラッグシップのパナメーラターボと、2.9リッターV6ツインターボを積むパナメーラ4S。そして4.0リッターV8ディーゼルターボを搭載するパナメーラ4Sディーゼルの3種類。いずれも駆動方式はAWDでトランスミッションは8速PDKのみの設定となるのだが、今回我々に用意されていたのは、日本市場に導入されるパナメーラ4Sとパナメーラターボの2種類だった。

ポルシェ パナメーラターボのフロントシート

「リヤシートは成人男性でも寛げる空間を手に入れた」

いざ、その実物を目の当たりにしてみると、サイズ的には先代とほとんど変わっていない(全長で34mm、全幅で6mm、全高で5mm拡大)にも関わらず、ひと回り近く大きくなったような印象を受ける。

そう感じさせる要因のひとつが、30mm延長されたホイールベースだ。これにより前輪がフロント側に移動し、ロングノーズ&ショートデッキのプロポーション(ルーフ後端が20mm低くなったことも大きい)を得たことで、より伸びやかで堂々としたスタイルとなった。またLEDデュアルヘッドライトを配したフロントマスクや、3Dアクセント・ストリップをもつリヤビューなど、近年のポルシェのデザインアイコンを取り入れたことで、911や718ボクスター&ケイマンとの連続性が感じられるデザインとなった。

さらにこのロングホイールベース化は、先代の弱点のひとつであったリヤのフットスペース拡大にも貢献している。併せて着座位置が低められたことで、充分なヘッドクリアランスも確保。適度なホールド性をもつ疲れにくいバケットシートも相まって、成人男性でも寛げる空間を手に入れたことは特筆に価する。

ポルシェ パナメーラターボのインテリア

「インパネの大部分を占めるディスプレイが新鮮」

一方、ドライバーズシートに乗り込んでまず目に飛び込んでくるのは、インパネの大部分を占めるディスプレイだ。PCMをはじめとしたシステム自体は、すでに911などでお馴染みのもので、情報の豊富さや視認性などに問題はない。しかしながらナビやオーディオをセンターのタッチスクリーンで操作する場合、どうしても視線を移さざるを得ないのは少々煩わしい。またセンターコンソール中央のエアベントのみ、タッチパネルでルーバーの操作ができるようになっているのだが、これは実用性云々より、一種のアトラクションと捉えたほうがいい。

そんな新しいパナメーラで個人的に印象に残ったのは、550psの4.0リッターV8ツインターボを搭載したパナメーラターボの見事な仕上がりだった。

まず走り出して感じるのは、その身軽さだ。スペック上では先代に比べ15kgほどしか軽くなっていないのだが、アルミの使用量を増やし70kgも軽くなったホワイトボディや、アルミ製クランクケースなどの採用により9.5kg軽量化された新開発のV8エンジンなどの採用で、重量バランスが最適化されていることが影響しているのだろう。

ポルシェ パナメーラターボのエンジン

「素晴らしい仕上がりをみせた4.0リッターV8ツインターボ」

また2つのターボチャージャーをVバンクの中に収め、シリンダーと距離を近くしたことでスロットルレスポンスを向上させたという、ブランニューの4.0リッターV8ツインターボ・エンジンは、1960rpmから770Nmの最大トルクを発揮。スムーズな8速PDKの素晴らしいマナーと、電子制御式マルチプレートクラッチをもつ盤石なフルタイムAWDシステムを介して最大550psのパワーを路面に伝えてくれる。

そんなパナメーラターボの印象をさらに良くしているのが、4Dシャシーコントロールの元で制御された足まわりだ。

試乗車は21インチのピレリPゼロと、フロント10ポット(!)、リヤ4ポットのキャリパーをもつPCCB、リヤアクスルステアなどのオプション装備を満載した個体だったが、この新型から採用された電動パワステ、ターボにのみ標準装備となる3チャンバー式のアダプティブ・エアサスペンションといったアイテムの個性を、4Dシャシーコントロールが見事に調和させていた。そのお陰でバケツをひっくり返したような大雨に見舞われてもパナメーラターボは、高速では地面に吸い付くような高いスタビリティを示し、タイトなワインディングでは、ロングホイールベース化されたとは思えないほど、よく曲がるのである!

ポルシェ パナメーラ4Sの走行シート

「あらゆる部分で確実に先代を上回っていることに疑いの余地はない」

一方、440psを発揮する2.9リッターV6ツインターボを積むパナメーラ4Sの出来もまた素晴らしいものだった。無論ターボのようなパンチにこそ欠けるものの、車両重量が125kgも軽いこともあって、侮れないパフォーマンスを発揮する。

いずれにしろ新しいパナメーラが、あらゆる部分で確実に先代を上回っていることに疑いの余地はない。さすがは開発陣が“地球上で最も速いラグジュアリーサルーン”と胸を張るだけのことはある。

REPORT/藤原よしお(Yoshio FUJIWARA)
PHOTO/Porsche AG

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ パナメーラ ターボ

ボディスペック:全長5049 全幅1937 全高1427mm
ホイールベース:2950mm
トレッド:前1657 後1639mm
車両重量:1995kg
車両総重量:2585kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHC32バルブ+ツインターボ
総排気量:3996cc
ボア×ストローク:86×86mm
圧縮比:10.1
最高出力:404kW(550ps)/5750-6000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/1960-4500rpm
トランスミッション:8速PDK
駆動方式:AWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
キャリパー:前6ピストン対向式アルミニウム製モノブロック 後4ピストン対向式アルミニウム製モノブロック
ディスク径:前410×38 後380×30mm
タイヤサイズ(リム幅):前275/40ZR20(9.5J) 後315/35ZR20(11.5J)
最高速度 PDK:306km/h
0-100km/h加速 PDK:3.8秒
0-100km/h PDK スポーツ・プラスモード時:3.6秒
燃料消費率 PDK(EU複合):9.4-9.3リッター/100km
CO2排出量 PDK(NEDC複合):214-212g/km
車両本体価格:2327万円/税込

ポルシェ パナメーラ4S

ボディスペック:全長5049 全幅1937 全高1423mm
ホイールベース:2950mm
トレッド:前1671 後1651mm
車両重量:1870kg
車両総重量:2495kg
エンジンタイプ:V型6気筒DOHC24バルブ+ツインターボ
総排気量:2894cc
ボア×ストローク:84.5×86mm
圧縮比:10.5
最高出力:324kW(440ps)/5650-6600rpm
最大トルク:550Nm(56.1kgm)/1750-5500rpm
トランスミッション:8速PDK
駆動方式:AWD
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
キャリパー:前6ピストン対向式アルミニウム製モノブロック 後4ピストン対向式アルミニウム製モノブロック
ディスク径:前360×36 後330×28mm
タイヤサイズ(リム幅):前265/45ZR19(9J) 295/40ZR19(10.5J)
最高速度 PDK:289km/h
0-100km/h加速 PDK:4.4秒
0-100km/h PDK スポーツ・プラスモード時:4.2秒
燃料消費率 PDK(EU複合):8.2-8.1リッター/100km
CO2排出量 PDK(NEDC複合):186-184g/km
車両本体価格:1591万円/税込

※GENROQ 2016年 11月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。