「大人のハチロクは快適性を徹底重視!」峠を気持ちよく走るためのパーフェクトメイキング

やり過ぎないフルチューン仕様こそ令和の峠仕様!

イージードライブできる快速マシンを目指したAE86!

「このハチロクはサーキット仕様ではなくて“峠”仕様かな。だから快適装備を残して、外装も派手にはしてない。あと、乗るためにあのスイッチを入れて、これをしないといけないとか、煩わしいことをしなくても気軽に乗れる工夫もしているよ」。そう語るのは、ハチロクをはじめとするライトウエイトスポーツのチューニングを得意とするテクノプロスピリッツ熊倉さん。

究極のタイムを求めるサーキット仕様のような過激な雰囲気は一切無い。しかしながら、その中身はワインディングを快適に走るために、ほぼ全パートに手が加えられたフルチューンスペックなのだ。

エンジンは戸田レーシングの鍛造ピストンや強化コンロッドこそ組み込んでいるものの、高回転まで気持ち良く回るようにするため、あえて排気量を1.6Lのままとされた200馬力仕様。AE101純正の4連スロットルに加え、304度というハイカムを入れているが、フリーダムECU(フルコン)ならアイドリングは問題なく安定するという。

4連スロットルの下から伸びる赤いホースの先に負圧のコレクタータンクを設置して吸気の脈動を消している。これによってエアコンを入れてもアイドリングは乱れず、ブレーキのブースターも正常に機能する。「サーキット仕様ではやらないことだけど、こういう細かいのがストリート仕様では大事なんだよ」とは熊倉さん。

フルチューンのNAエンジンを搭載するとなると、電動ファン化が定番チューンとも思える。しかし、起動にはドライバーがスイッチを動かす必要があるなど煩わしい面もある。そのため、この車両は純正のカップリングファンを使って快適性を優先したメイキングが行われている。

峠レベルを楽しく走る程度ならブレーキはパッド交換のみで問題ないという。しかしながら、街乗りとは比較にならない負荷がかかることは事実。そこでブレーキパッドは、プロジェクトミューの適正温度が高いMAX900を装備している。

車高調はトキコ製ショックをベースにしたテクノプロスピリッツオリジナル。スプリングレートはフロント8kg/mm、リヤ6kg/mmの設定だ。この辺りが乗りやすさと走行性能のバランスに優れているそう。

また、足回りではブッシュの強化(TRD製)も平行して実施。「特にリヤのリンク類のブッシュを強化品に交換すると、路面のアンジュレーションを掴み取りやすくなる」とのことだ。

ホイールはボルクレーシングTE37Vをセット。サイズは15インチで前後共に8.5Jプラスマイナス0だ。駆動系はTRDの機械式LSD+4.5ファイナルの組み合わせだ。定番のクロスミッションは、実用性が大きく損なわれるとの理由から導入されていない。

室内はエアコンもオーディオも内装パネルもきちんと残っていて、もちろん全てが機能する。センターコンソール脇に貼り付けてあるブリッド製のニーパッドは、適切なドラポジをキープするための定番アイテムだ。

シートは高いホールド性を誇るレカロのSP-Gに交換。助手席やリヤシートは純正をそのまま残している。

おとなしめの外観を保ちながらも、おさえるところをキッチリとおさえて仕上げられた大人のハチロク。程度の良い個体が壊滅しつつある今、こうしたチューンドの輝きは増すばかりだ。
 

●取材協力:テクノプロ・スピリッツ 埼玉県川越市小中居945-1 TEL:049-235-4886