予選で確かな速さを示した中上貴晶。初優勝に期待がかかる残り3戦/MotoGP第12戦テルエルGPレビュー

 モータランド・アラゴンで開催された2020年第12戦テルエルGPのMotoGPクラスの予選で中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)がポールポジションを獲得した。

 中上にとって初のMotoGPクラスでのポールポジション、クラス通算45戦目での初ポール獲得となった。日本人ライダーにとってMotoGPクラスでのポールポジション獲得は、2004年最終戦バレンシアGPの玉田誠(ホンダ)以来、16年ぶり。500ccクラスも含めた最高峰クラスでは、日本人ライダーとして通算8人目となるポールポジション獲得となった。

 2018年よりMotoGPクラスに参戦している中上は、3年目の今シーズン、開幕前のテストから順調に調整を進めていた。昨年はシーズン中盤のオランダGPの決勝でバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)の転倒に巻き込まれて右肩を負傷。手術と療養のためにシーズン終盤の欠場を強いられたものの、右肩の問題を解消した中上は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、7月からの再開となった今シーズン、MotoGPクラスの第1戦目となる第2戦スペインGPからトップ10フィニッシュを続け、2戦目となるアンダルシアGPではグランプリベストとなる4位に入賞。表彰台はもちろん、優勝も見える位置でレースを重ねてきた。

 前週の第11戦アラゴンGPでは最終ラップにフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)を交わしてインディペンデントトップの5位に入賞するなど、最後まであきらめない勝負強さを見せていた。そして、迎えたテルエルGPでは、初日のFP1で2番手、FP2でトップタイムを記録し、総合トップで初日を終えると、2日目のFP3でも2番手につけ、フリー走行総合2番手で予選Q2に進出。

 予選直前のFP4を2番手で終えると、予選Q2ではラストアタックで1分46秒882を記録して、ポールポジションを獲得した。このタイムは前戦アラゴンGPでファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が記録したポールタイムの1分47秒076を更新、昨年のアラゴンGPでマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が記録したポールタイムの1分47秒009を上回るもの。モーターランド・アラゴンのMotoGPクラスのオール・タイム・ラップレコードは、2015年にマルク・マルケスが記録した1分46秒635だが、これはブリヂストンタイヤ時代に記録されたもので、参考タイムとなる。

「とてもいいラップを刻むことができました。セクター1は0.1秒遅かったのであまりいい走りではありませんでしたが、最後のアタックだったので、ベストをつくしました。そしてセクター2でばん回し、セクター3と4でさらに速く走ることができました。1分47秒を切ったとは知りませんでした。なぜならトラックにモニターがなく、ポールポジションなのかどうかも分かりませんでした。でも最後にピットレーンに戻ると、クルーがP1を見せてきたので、やっとポールポジションを獲得したことを知りました。最高の気分です。いい仕事をしてくれたチームに感謝したいです。でも最も重要なのは明日です。集中して、方向性を見失わないようにしたいです。PPを獲得したことをとても誇りに思います。集中力をキープして、明日のレースもがんばります」と中上は予選を終えてコメント。

2020年MotoGP第12戦テルエルGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2020年MotoGP第12戦テルエルGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)

 そして、迎えた決勝日、朝のウォームアップセッションでも中上はトップタイムを記録。決勝に向けて期待が高まった。決勝スタートではライバルを抑え込んで1コーナーにトップで飛び込み、レースをリードする。しかし、1周目の5コーナーの進入で転倒を喫してしまった。5コーナー進入がわずかにオーバースピードだったようで、ブレーキングでフロントから転倒し、残念ながらここでリタイアとなった。

「まずはチームのすべての人たちに謝罪したいです。今週末はすべてのセッションでとても力強い走りができました。日曜日にすばらしい結果を残す準備ができていたのですが、1周目のスタート直後に小さなミスをしてしまい、転倒してしまいました。このような形でレースが終わってしまい、とても残念です。でも今週末は速さがあり、ポテンシャルを見せることができたので、ポジティブに考えたいです。とにかく次のバレンシアに向けて仕事に集中したいです。再び連戦があります。強くなっていい週末にしたいです。僕をサポートしてくれたすべてのファンに本当に感謝しています」

 初表彰台、初優勝に向けての大きなプレッシャーが、わずかなミスを誘ってしまったようだ。今シーズン初となるノーポイントレースを喫してしまったが、前戦アラゴンGPまではただひとり、中上は全戦でトップ10フィニッシュという着実な結果を残している。テルエルGP前には来季以降のHRCとの契約更新も発表。よりレースに集中できる環境が整ったことが、テルエルGP各セッションでの快走につながった。初表彰台、初優勝は次戦以降に持ち越しとなったが、今シーズンの残り3戦の活躍にかかる期待は高い。

2020年MotoGP第12戦テルエルGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)
2020年MotoGP第12戦テルエルGP 中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)