【ブログ】全日本ロード:ホンダのJSB1000マシンのコンセプトを追う/“ヘンタイ”カメラマン現地情報(1)

 レース界のマニアック“ヘンタイ”カメラマンこと鈴木紳平氏がお届けする全日本ロードレース選手権ブログ。今回は、10月17~18日に行われた全日本ロードレース選手権の第4戦もてぎで取材したJSB1000クラスのホンダCBR1000RR-Rについて迫ります。

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 みなさま、変わりなくお過ごしでしょうか。

 全日本ロードレースは早くも残すところあと1ラウンド(MFJグランプリ第5戦鈴鹿)。ここまでは3号車 ヤマハ・ファクトリー・レーシングの野左根航汰が6戦全勝とシリーズを席巻。その後をホンダ勢のニューマシン、CBR1000RR-R を駆る17号車 ケーヒン・ホンダドリーム・SIレーシングの清成龍一が追う展開となっています。

 ではここまでHONDA CBR1000RR-R JSB1000仕様はどのようなコンセプトで、どのように進化を遂げ、現状どうなっているのか、本ブログで掘り下げていきたいと思います。ただ現場での関係者の口は一様に重たい事もあり、数少ない証言と装着されているパーツなどから一部推察するしかない部分がある事をご了承頂ければと思います。それではHONDA CBR1000RR-R JSB1000仕様ブログ、いってみましょう。

ニューマシン、ホンダ『CBR1000RR-R JSB1000』仕様であります。全日本を戦う車両はいわゆるファクトリーマシンではなくHRC(株式会社ホンダ・レーシング)が販売するキット車両。価格はST1000仕様で約260万円。ここから様々なパーツが変更されJSB1000仕様となる。漏れ伝わってくる情報を集約すると最大の開発ポイントは、“エンジン性能向上に見合ったトラクションの向上”にあるようだ。

タイヤ含め開発は、主に634号車 ムサシ・RT ハルクプロ・ホンダと17、33号車のケーヒン・ホンダドリーム・SIレーシングが進めているようだ。

では、車両前部から順番に見ていこう。メーター周りは、市販車部品を継承。その周りにラヂエーターなどのコレクタータンクが設置される。

634号車のみコレクタータンクの形状、材質が異なる。

ハンドル周辺のスイッチ類も市販車部品を使用。

タコメータ表示も市販車と同様となる。

フロントフォークとフレームを接合するトップブリッジと呼ばれる部分は、材質をアルミから鉄へ変更。さらに厚みを薄くすることであえて剛性ダウンを図り堅牢性と軽量化、そしてしなやかな動きの両立を目指しているようだ。

33号車にはフロントブレーキのストローク量を計測するセンサーを搭載。

フロントサスペンションはショーワとオーリンズが確認されている。

フロントブレーキキャリパーに関しては、ニッシン、ブレンボが使用されている。
ブレーキローター径に関しては、ストレートスピードの向上から基本的にはどのサーキットでも最大径のローターを使用しているようだが、まだ容量不足という情報もある。また常に最大径のローターは重量という面ではやや不利か。

ニッシン製でも634号車は17号車と異なる仕様のキャリパーを使用。


同じニッシン製でも72号車はブレーキホースのクイックリリースがついた耐久仕様と思われるフロントキャリパーを装着。

36号車に装着されたブレンボ製フロントブレーキキャリパー。

ブレーキの仕事量が増えれば冷却は必須。車両違反となってしまったがフロントブレーキの冷却ダクトを見てみよう。まずは17号車から。材質はアルミ、二分割からの溶接のようだ。冷却効率、キャリパーの位置を考慮するとこの形状がベストか。

最大の特徴はブレーキパッド部までダクトの一部が延びておりキャリパー表面だけでなく、パッド部も冷却が出来るようになっていること。

僚友の33号車も見てみよう。こちらはキャリパー部のみを冷却する形状。

ラヂエーター、オイルクーラーはチームによって選択が異なる。社外品(イタリア タレオ製)、社外品(日本 コーヨーラヂエーター勢)、純正品の3パターンが確認されている。

634号車、72号車などが使用するのはタレオ製。

090号車はスーパーバイク世界選手権用に開発されたコーヨーラヂエーター製を使用。

オイルクーラーのみ純正品、という組み合わせも存在する。

最も多く使用されているのが純正品で一番のメリットは軽量であるという点のようだ。CBR1000RR-Rは前後バランスに敏感な車両と言われており、そのため最も軽量な純正品を選択するが多いようだ。冷却性能も問題無いようで改めて市販車の完成度の高さがうかがえる。ちなみにFIM世界耐久選手権、ルマン24時間においても優勝したTSRはノーマルラヂエーター、ノーマルエンジンだったとの情報もある。

※現地情報(2)に続く