BTCC第8戦:タイトル候補カローラはクラッシュ。BMWの王者連勝で選手権首位に返り咲き

 シーズンも大詰めを迎え、タイトル戦線が白熱するBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の2020年第8戦が10月24~25日にスネッタートンで開催され、初開催の予選“トップ10ショーダウン”でポールポジションを得た王者コリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ/チームBMW)が、週末2戦を制覇し選手権首位に返り咲いた。

 一方でチャンピオン候補たちには試練が降りかかり、最終ヒートのレース3ではスピードワークス・モータースポーツのトム・イングラム(トヨタ・カローラBTCC/TOYOTA GAZOO Racing UK・ウィズ・ギンスターズ)とロリー・ブッチャー(フォード・フォーカスST/モーターベース・パフォーマンス)がファイナルラップにクラッシュ。ともにポジションを失い、事実上タイトル挑戦が遠のく結果となってしまっている。

 シリーズを運営するTOCAは、カレンダー発表当初から最終戦前にあたるこの第8戦で、来季以降を見据えた予選トップ10シュートアウト方式のトライアルを実施すると明言していた。

 そのため通常30分の計時予選は25分間に短縮され、そのセッション上位タイム10名が“トップ10ショーダウン”に進出。通常予選で最速を記録していたブッチャーや、2番手アダム・モーガン(メルセデス・ベンツAクラス/カールーブ・トリプルRレーシング・ウィズ・マックツールズ)らを退け、ウエスト・サリー・レーシング(WSR)のエース、ターキントンが幸先よく最前列を確保した。

 明けた日曜朝のレース1は、そのターキントンがFRのトラクションを活かしてホールショットを決めると、フロントロウ2番手に並んでいたイングラムがオープニングラップを通じて猛攻を仕掛けていく。

 しかし左ヘアピン“Agostini(アゴスティーニ)”で、アウトサイドを回ったカローラを出口で狡猾に締め出したBMWはそのまま首位を固め、イングラムのカローラは3番手につけていたFK2シビックのジェイク・ヒル(ホンダ・シビック・タイプR/MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)とのバトルに巻き込まれていく。

 レースを通じて再三の接触バトルを演じたカローラとシビックの2台は、終盤の右コーナーで後方のヒルがノーズをねじ込み、カローラはハーフスピン状態で真横を向く事態に。しかしヒルは自主的にポジションを戻してカローラを先行させ、そのままのオーダーで12周のチェッカー。

 ターキントンがポール・トゥ・ウインで週末初戦を獲り、イングラム、ヒルの並ぶポディウムに。その背後にはグリッド位置をキープしたフォードのブッチャーと、チーム。ダイナミクスのダン・カミッシュ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/ハルフォーズ・ユアサ・レーシング)をパスした2017年王者アシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/レーザーツールス・レーシング)が続き、タイトルコンテンダーたちが初戦から熾烈なポジション争いを繰り広げた。

 続くレース2はその選手権トップ5の面々がレースの大半で先頭集団を支配すると、終盤のセーフティカーで“ファイナルラップ・スプリント”が演出され、ここで大きくポジション変動が発生する。

 まずフォードのブッチャーが2番手イングラムに仕掛けると、これを合図に集団バトルが発生し、その隙に乗じたインフィニティQ50BTCCが間を縫うように3番手へと進出。そのブッチャーは最終の左90度コーナー“Murrays(マーレイズ)”でカミッシュとのサイド・バイ・サイドを演じるもなんとか3番手を死守し、一方でわずかに失速したFK8シビックのカミッシュは、コントロールライン手前でFK2型のヒルにわずか0.047秒差で先行され無念の6位に。

 前方では2連覇中の王者ターキントンが2戦連続のライト・トゥ・フラッグを決め、イングラムも連続2位表彰台を獲得。3位にサットンが続き、タイトル候補たちがきっちり上位独占を果たしている。

2020年ドライバーズチャンピオンを賭けて挑む主要コンテンダーたち。コリン・ターキントン(右)が制すれば自身通算5度目、そして3連覇の偉業となる
R1ではトヨタvsホンダの死闘を制したトム・イングラム(トヨタ・カローラBTCC/TOYOTA GAZOO Racing UK with Ginsters)が2位を手にし、R2でも同様のリザルトで喰い下がる展開に
しかしディフェンディングチャンピオンのBMWが2戦連続の完勝を決め、最終戦を前に選手権首位に返り咲く

■グラベルで留まりきれず側面衝突

 そして運命の最終レース3は、リバースポール発進のクリス・スマイリー(ヒュンダイi30 ファストバック Nパフォーマンス/エクセルラー8・モータースポーツ)がシグナルグリーンと同時に続々と後方集団に飲み込まれ、代わってモーターベース・パフォーマンスのオリー・ジャクソン(フォード・フォーカスST)とメルセデスのモーガンが激しい首位攻防を繰り広げる。

 軽いコンタクトを繰り返しながらアウトサイドのラインから首位浮上に成功したジャクソンは、その後もメルセデスの封じ込めに全力を注ぐ展開が続いていき、迎えた最終ラップに思わぬドラマが発生する。

 メルセデスの背後3番手を走っていたブッチャーのテールにカローラのイングラムが迫り、再三のフェイントで仕掛けのタイミングを伺うと、最終手前の右ロングコーナー“Coram(コーラム)”を横並びで回った2台は、アウトサイドのフォードがトラックからわずかに外れ、カローラが先行して最終の左90度コーナー“Murrays(マーレイズ)”のブレーキングに入っていく。

 すると、グラスエリアから復帰して速度を殺しきれなかったブッチャーのフォーカスSTが、左へターンインを開始していたカローラのボディサイドに激しくヒット。そのままカローラは霧揉み状態でスピンオフし、2台ともにランオフへと弾き出されると、なんとかコース復帰したブッチャーは5位、イングラムも8位までポジションを落としてフィニッシュラインへ。

 これで自身初勝利のシルバーストンからキャリア2勝目を飾ったジャクソンと、2位モーガンに続いて、3位ポディウムにはまさに漁夫の利を得たBMWのターキントンが入り、4位にサットンが続くリザルトに。これで大量ポイントを失ったイングラム、ブッチャーともに、続く最終戦でのタイトル挑戦に黄色信号が灯るアクシデントとなった。

「本当に残念で、可能ならこうしたアクシデントは回避したかった」と、状況を振り返ったブッチャー。

「お互いコンタクトを繰り返しながらコーラムを回り、僕は外側で続く最終への位置取りを考えていたが、グラスエリアに押しやられ、そこからは“乗客”になった。コースに戻って彼にヒットしたくはなかったが、どうにもできなかったんだ」

 一方のイングラムも「彼が強制的に僕を撃墜したように映像では見えるだろうが、そうではない」と、バトルの末の結末だったことを強調した。

「9番手発進から4番手まで進出し、クルマはとても速かった。ロリーに近づき、ファイナルラップではパッシングを浴びせながら追いかけたんだ。これで少しエキサイトしたかもしれないね」と続けるイングラム。

「コーラム突入でもう一度ライトをフラッシュさせ、彼のフォーカスがスライドしていくのが見えた。僕はまだそこで動く気はなく最終立ち上がりでのクロスラインを狙っていたけど、ギャップを詰めて空いたインサイドに入った。その時点で彼のフォードは僕の左後ろの位置になり……あとはご覧のとおりさ」

 これでポイントリーダーのターキントンに対し9点差でサットン、25点差でカミッシュが続き、数字上の権利を残すイングラムは34点、ブッチャーは63点後方に。2020年シーズンフィナーレのBTCC第9戦は、11月14~15日にブランズハッチのインディ・サーキットで争われる。

この週末最終ヒートのR3は、リバースグリッドの上位に並んだMotorbase Performanceのオリー・ジャクソン(フォード・フォーカスST)がキャリア2勝目を飾った
「R3ではあらゆるマシンにヒットされた」と語るアシュリー・サットンだが、この週末でインディペンデント部門の制覇を決めている
3戦連続の6位フィニッシュと、ここまでの勢いからは奮わなかったダン・カミッシュ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/Halfords Yuasa Racing)。ランキング3位で昨季の雪辱を期す最終戦へ挑む