自己最高のランキング7位でインディ11年目を終えた琢磨「来年は新しいエンジニア体制になる」

 2020年のNTTインディカー・シリーズは、このセント・ピータースバーグで最終戦を迎えることになった。

 従来であれば開幕戦にスケジュールされていたが、レース開催前日に突如延期となり、紆余曲折を経て10月の最終戦として組まれることになった。

 スケジュール自体は早く発表されたものの、コロナの感染者数の多いフロリダ州で開催されるかどう疑問視する声も多かったが、前戦のハーベストGPでインディカーはあえて開催の念押しをするような発表を行い、20000人の観客を動員して無事に開催されることになった。

 レースはダブルヘッダーではなく、1レースではあったが、2デイとなり土曜日にプラクティスと予選、日曜日に決勝を行うスケジュール。

 土曜の午前中に吉報が届いた。レイホール・レターマン・ラニガンのチームが佐藤琢磨の2021年の残留を発表したのである。

 前日にはペンスキーが来季スコット・マクラフランの加入を発表し、日曜日にはチップ・ガナッシがジミー・ジョンソンの加入会見や、エド・カーペンターがルーキーのリナス・ヴィーケイの残留を発表するなど、発表ラッシュに。

 琢磨は「2021年もRLLRとともに戦えることにワクワクしています。今季はいくつかの理由で忘れがたいシーズンとなりました。世界中がコロナ禍で大変な中ですが、チームは競争力を上げるべく努力していますし、今年勝ち取ったインディ500の栄冠は特別なものでした。チームに感謝したいです‥‥」と綴っている。

 琢磨は2018年にRLLRに戻って以来、4年目のシーズンを迎えることになるが、キャリア6勝のうち4勝をRLLRで挙げており、もちろん琢磨残留の要因がインディ500の勝利であることには間違いなく、RLLRとしても来季はタイトル争いに加わりたいだろう。その意味でもこのセント・ピータースバーグの最終戦は大事なレースになるはずだ。

 来季の体制が決まって琢磨も上機嫌なのか、笑顔で初日のプラクティスを迎えた。しかもそこでは4番手と好調な出だしを見せている。過去2戦はロードコースで苦戦していたが、今年最初で最後となるストリートのセント・ピータースバーグでは過去の相性もあってか順調だった。

 しかし、予選では僅差で後方に沈むことになる。Q1でブラックからレッドタイヤに履き替えた琢磨は、アタックラップで壁にわずかに接触しタイムロス。グループ1で7番手となり、Q2進出を逸した。6番手のアレクサンダー・ロッシとの差は100分の5秒とごくわずかだった。

 13番手で決勝レースをスタートした琢磨は、1周目のポジション争いで12番手となりラップを重ねた。

「今回はちょっと厳しいけど2ストップで思ってました。だからイエローが出てくれるまでは、少し燃料をセーブしていました‥‥」という琢磨。レースが動き出したのは、琢磨が66周目に二度目のピットインを済ませた後だった。

コナー・デイリーを抑えレース序盤を戦う佐藤琢磨
コナー・デイリーを抑えレース序盤を戦う佐藤琢磨

フェルッチとバトルする佐藤琢磨
フェルッチとバトルする佐藤琢磨

 この日、4度目のイエローコーションとなるとライバルがどんどんとピットインする間に、琢磨はポジションを上げていく。

 75周目にレースが再開された直後にアクシデントが起こる。琢磨が前のジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク)をターン5で抜こうと仕掛けた時に、さらにアウト側からマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ)が前をよぎり、琢磨の左フロントとマルコの右リヤタイヤが接触。マルコはパンクチャーを起こしてスピンしてしまう。

 この接触でペナルティを取られた琢磨はイエローコーション中に最後尾の15番手までポジションを下げられてしまった。

 無線では納得しかねていた琢磨だが、ジャッジが覆ることもなくレースは続行。琢磨はレッドタイヤの勢いもあって、猛追を始める。

 80周目にはターン10で一気にオリバー・アスキュー(アロウ・マクラーレンSP)をかわし、その後もじわじわとポジションを上げて94周目には10番手まで返り咲いた。

 そして、そのまま100周目のチェッカーを受け、2020年最後のレースを終えた。シリーズランキングは合計348点を獲得し7位となった。

 今季はインディ500の1勝とWWTRでの2位表彰台、ポールポジションもWWTRで獲得し、全14戦中トップ5が2回、トップ10が8回だった。

「世界中がコロナ禍で大変で、レースができるかどうかもわからなかった中で、こうしてレースが開催されて、シーズンの最後にはファンも戻ってきた。インディカーには感謝しかないですね」

「いろいろな意味で2020年は忘れられないシーズンでしたけど、インディ500で勝てたのはチームと関係者、それとファンの皆さんのおかげです。今週は来季の発表をすることもできましたし、もう来季に向けて準備も始まっています」

「残念なことに僕のエンジニア、エディ・ジョーンズが今年限りで引退してしまうので、彼とは最後のレースでした。彼はドライバー出身で本当にドライバーの気持ちをよくわかってくれるし、思い出もいっぱいあります」

「彼と最後の年にインディ500で勝てて良かったと思います。彼には本当に感謝しています。来年に向けて、新しいエンジニア体制になると思いますが、来年もこのチームと頑張っていきます!」

 琢磨のインディカーシリーズ11年目最後のレースはこうして終わった。そして早くも12年目のシーズンに向けて準備が始まっている。

2021年もレイホール・レターマン・ラニガンからインディカー12年目を戦う佐藤琢磨
2021年もレイホール・レターマン・ラニガンからインディカー12年目を戦う佐藤琢磨