インディカー最終戦詳報:ディクソンが6度目のシリーズチャンピオン獲得。琢磨は自己最高ランキングを更新

 10月25日にセント・ピーターズバーグで開催された2020年NTTインディカー・シリーズの最終戦。逆転チャンピオンを狙ったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が勝利を果たすも、ランキングトップのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が3位に入り、6度目のシリーズチャンピオンを獲得した。

 13番手から最終戦に挑んだ佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)は、ぺナルディで最後尾に沈むも、10位でフィニッシュし、自己最高位となるランキング7位で2020年シーズンを終えた。

 10月末になるもフロリダはまだ夏。週末の最高気温は摂氏30度に届いた。開幕戦としての開催はできなかったセント・ピーターズバーグだったが、最終戦として復活。アメリカは今週末にCOVID-19感染者数が全国的に急増しているが、観客を迎え入れての華やかなレースを行うことができた。

 予選ではウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がキャリア62回目、セント・ピーターズバーグでの9回目となるポールポジションを獲得。レース序盤もリードした。

ウィル・パワーを先頭に2020年の最終戦がスタート
ウィル・パワーを先頭に2020年の最終戦がスタート

 今シーズンもいろいろな不運に見舞われた彼が、圧倒的パフォーマンスで勝利を制し、来シーズンに向けた勢いを手にするかと思われた。

 しかし、パワーはシフトダウンにトラブルを抱え、5周も走らないうちにトップを明け渡す。そして、9周目には単独クラッシュをしてリタイアとなった。

 これでトップ3はアレクサンダー・ロッシ、コルトン・ハータ、ジェイムズ・ヒンチクリフのアンドレッティ軍団となり、2005年のトップ4独占以来となる完全勝利が、またしてもセント・ピーターズバーグで実現されるかと思われた。

 提携チームのメイヤー・シャンク・レーシングで走るジャック・ハーベイが4位に浮上する可能性もあった。

 ところが、ハータはブレーキミスで後退。ヒンチクリフはイエロー中にクラッシュを喫し、ハーベイのマシンを傷めてしまう大失態。そして、ロッシはトップを走行中にドライビングミスによる単独クラッシュを演じてしまった。

 今シーズン唯一のストリートレースは、トップに立ったドライバーが、次々と姿を消す荒れた展開となる。

 そして、100周のレースが80周目を迎えた時、リスタート直後の巧みな走りでジョセフ・ニューガーデンがハータ、アレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴウ)の2台を一気にパスしてトップに躍り出た。

一気にハータとパロウを交わしトップを奪うジョセフ・ニューガーデン
一気にハータとパロウを交わしトップを奪うジョセフ・ニューガーデン

 ポイントリーダーのスコット・ディクソンと、ニューガーデンの差は32点。ニューガーデンが優勝し、ディクソンが12位以下でのゴールとなれば、ニューガーデンが大逆転で2年連続、3回目のチャンピオンになれるという状況。しかし、ニューガーデンは予選を失敗し、8番手からのスタート。優勝する可能性はかなり低いと見られていた。

 逆転タイトルが実現可能なところまで這い上がったニューガーデン。その戦いぶりは見事としか言いようがない。しかし、ディクソンは更に上手だった。11番手からのスタートだった彼は、ニューガーデンがトップに立った背後で3番手に浮上。そのままゴールまで走り切り、6回目の王座に手を届かせた。

 ニューガーデンはディクソンと並ぶシーズン4勝目、通算18勝目、セント・ピーターズバーグ2連勝を飾った。しかし、ディクソンは537点、ニューガーデンは521点。16点差でディクソンがチャンピオンとなり、チップ・ガナッシ・レーシングにとっては13回目のシリーズタイトル獲得だ。

「チームのおかげだ。今年は開幕戦で優勝してポイントリーダーになり、そのままずっとポイントトップで最終戦まできた。こんなことは自分としても初めてで、今までとは全然違ったプレッシャーがかかり続けていた」

「今年は多くのレースでよい走りができたが、予選でのパフォーマンスがよくなかった。ひとつの部分がよくなっても、他の部分をより伸ばす必要が出てくる。競争の激しいインディカーシリーズで勝つのは本当に難しい」

「チームの総合力、エンジニアからメカニックまで、優秀な人材が揃っているチップ・ガナッシ・レーシングだからこそ、私はまたチャンピオンになることができた」とディクソンは話した。

健闘を称えうスコット・ディクソンとジョセフ・ニューガーデン
健闘を称えうスコット・ディクソンとジョセフ・ニューガーデン

 2位でゴールしたのはパトリシオ・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)。最終戦はシボレーのワン・ツー・フィニッシュとなった。これで7勝目。優勝数はホンダとシボレー、どちらも7勝でタイ。

 しかし、マニュファクチャラーズ・チャンピオンシップでは、ホンダが1122ポイント、シボレーが1099ポイントで、ホンダが3年連続での王座獲得を達成した。

 2020年のホンダはドライバーズ・タイトル(ディクソン)、マニュファクチャラーズ・タイトル、インディ500優勝(佐藤琢磨/レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)の三冠制覇を果たした。これは2005年以来のことだ。

 佐藤琢磨は13番手スタートから10位でゴールした。レース終盤に6番手を走行。さらに上位を狙ってアタックしたが、ジャック・ハーベイ、マルコ・アンドレッティとの接触があり、ペナルティを科せられ、トップ5入りのチャンスを失った。

 レース後にインディーカーのスチュワードのところへ琢磨が話をしに行くと、「ちょっとペナルティが厳し過ぎた」とオフィシャル側は反省しきりだったという。

「確かにマシン同士による接触は少しあったけれど、こちらだけペナルティ。トップ10でのゴールにはなりましたけれど、残念」とレース後の琢磨は悔しがる。

「今年のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはオーバルでのスピードが上がったけれど、ロード/ストリートでのパフォーマンスが今ひとつでした。このオフにそこを改善しないと」とも、今週末に来年度の契約を発表した彼は話していた。

 RLLRでの3年連続、4シーズン目となった今年、琢磨のシリーズランキングは7位と自己ベストとなった。

最終戦を10位で終えた佐藤琢磨
最終戦を10位で終えた佐藤琢磨

 今年もルーキーをはじめ若手が大健闘を見せた。参戦2年目のハータは1勝を挙げ、ランキング3位でシリーズを終了。オーワードも優勝こそできなかったがランキング4位につけた。

 そしてルーキー・オブ・ザ・イヤーは、ランキング14位となったリナス・ヴぃーケイ(エド・カーペンター・レーシング)のものとなった。

 2021年のインディカー・シリーズは、最終戦と同じセント・ピーターズバーグで3月7日に開幕を迎える予定だ。