「琴線に触れる3ローターの美音!」13Bでは達成不可能なパワーフィールをFD3Sで堪能する

チューンドロータリーの究極形態!気になる製作費は・・・

搭載位置まで拘った至宝の3ローターNA仕様

思わず聞き惚れてしまうほどの美音を奏でるこのFD3Sは、“RSパンテーラ”による3ローターNAエンジン搭載のコンプリート仕様だ。「FD3Sには常に熱問題が付きまといます。それを根本から解決するためのチューニングアプローチですね」とはRSパンテーラの佐藤代表。

そう、ロータリーエンジンのターボチューンは、パワーを引きだすことは難しくないが、エンジンからの発熱量も多くなることがネック。相当な冷却チューンを施しても、多くの車両が1ヒート連続の全開走行を行うのは難しい。

だからと言って、ターボシステムを撤去した2ローターのNA仕様ではパワー不足が否めない。そこで浮上したのが3ローターNAという選択枝だったわけだ。

エンジン搭載位置はフロント側を13Bとプーリー位置で合わせることによって、フロントミッドの重量バランスをキープ。バルクヘッドやプロペラシャフトは、1ローター分のスペースを確保するために加工済みだ。

また、重心を下げるためにエンジン搭載位置を下げ、さらにインマニもショート化して再構築するなど、動力性能をスポイルしないように徹底的に手が入れられているのだ。

FD3S用のフロントカバーを加工流用することで、パワステやエアコンなどの快適装備がそのまま使える点も見逃せない。搭載スペースの都合もあり、あえてグループ点火にしているとか。

エンジン本体はコスモの20Bユニットだが、NA化にあたってRX-8用の高圧縮ローターやオリジナルのシール類を組み込み、最高出力は332ps&34kgmを発揮。ちなみに、このマシンはサイドポート仕様となるが、ユーザーの好みに応じてブリッジポート加工などを施し、モアパワーを狙うことも可能だ。

エンジンマネージメントには信頼性が高いF-CON Vプロを使用し、ダイナパックで緻密な現車合わせセッティングを施す。パワーバンドは4000rpm〜8000rpmと幅広く、回転上昇とパワーがリンクするため非常に扱いやすいのもNAロータリーならではの魅力だ。

排気系でのトピックは、レイアウトに拘り抜いたオリジナルの3-1EXマニだ。薄肉の材料を使ってR部はプレス整形などを駆使、集合の角度や形状にも拘ることで軽量&ハイレスポンスを実現する。

ストリートからサーキットまでオールマイティに楽しめるというコンセプトで製作されているため、サスペンションにはHKSのハイマーマックスMAX IIIスポーツをチョイス。スプリングレートは吊るしのままで、前後とも14kg/mmとなる。

ブレーキは様々な組み合わせをテストした結果、純正キャリパー(+17インチローター)にIDIパッドを組み合わせたバランス重視の仕様で落ち着いたそう。

室内には安全面に配慮してロールケージを装着するが、サイドバーを追加することで富士スピードウェイの100Rのライン取りが変わるほどの効果が得られたという。ミッションはFD3S用の5速を使うが、シフト位置がズレないようリンクを加工しているため操作性に違和感はない。

「以前は300万円でメニュー化(公認取得まで含む)していましたが、20Bエンジン自体が入手困難だったり、マツダの純正部品が値上がりしていたりで450万円くらいかかりますね。ただ、インマニを鋳物にしてインジェクターを9本ドライブするなど制御面も進化させているんです。そういう意味では、ストリート3ローター仕様としては完成系に近いと言えますよ」。

老舗“RSパンテーラ”が、走りの楽しさを追い求めた末に辿り着いた3ローターNAという選択。各パーツのレイアウトはエアコン等の快適パーツ装着を前提とし、もちろん保安基準にも合わせられるよう配慮されているため、ストリート仕様ともしても存分にマルチローターを楽しむことができる。非常に高価なメニューだが、それだけの価値は間違いなくある。

●取材協力:RSパンテーラ(佐藤商会) 静岡県富士宮市北山5220-2 TEL:0544-58-4837