世界から注目される全日本スーパーフォーミュラ選手権。女性ドライバー目線でレポート! 【2020年 第1/2戦】

2020 SUPER FOMULA Rd.1 / Rd.2

2020年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第1/第2戦

今年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は過密日程でスタート

コロナ禍により大幅な遅滞及び縮小を迫られた2020年のモータースポーツシーン。このままではモータースポーツそのものが消滅しそうな危機に対し、レースを愛する人々が奮闘努力して徐々に各地・各カテゴリーにおいて開催されるようになった。全日本スーパーフォーミュラ選手権もそのひとつだ。コロナに負けず熱い戦いが繰り広げられている全日本スーパーフォーミュラ選手権を、ドライバーとして参戦していた経歴をもつ女性ドライバー、三浦 愛選手によるピットレポートをお届けする。

全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

2020年シーズンを三浦 愛選手がレポート

GENROQ Web 読者の皆様、はじめましてレーシングドライバーの三浦 愛です。

私にとって初めての執筆活動となりますが、GENROQではなかなか馴染みのない日本最高峰フォーミュラカーレース「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の魅力をこれから5回にわたり、2020ピットレポーターとしてドライバー目線でお届けさせていただきますので、どうかお付き合いのほどよろしくお願い致します。

それでは早速本題へ・・・。

全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

そもそもスーパーフォーミュラとは何か?

皆様「全日本スーパーフォーミュラ選手権」をご存知でしょうか?

F3000に続く国内トップフォーミュラとして少しずつカタチを変えながら、現在ではF1やインディにも引けを取らない世界中から注目を集めているレースです。

シャシーは、2014年からイタリアDallara社製のSF14を採用。2019年にSF19へとアップデートされ、ドライバーの頭部を守るヘイローも採用されました。最低重量はドライバー込みで660kg、クイック&ライト(素早く&軽快)をコンセプトに設計されたSF19は、ドライバーの技量やマシンのセットアップがタイムに反映されやすく、とてもシビアである意味おもしろいクルマなのかもしれません。エンジンは、2.0リッター直列4気筒直噴ターボ。トヨタ、ホンダの2メーカーにより供給されています。タイヤは2020年現在、横浜ゴムのワンメイク、ワンスペックで統一。燃料流量を一時的に増加させエンジン出力を50馬力程度上げるオーバーテイクシステムの導入によりレースの見所を作っています。

全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

スーパーフォーミュラの戦績がトップドライバーの評価基準に

SF19完成直後、初ドライブしたドライバー達が口を揃えて「楽しい」というコメントをしていたのがとても印象的でした。そして、そんな魅力的なマシンを操るドライバーラインナップがこれまた素晴らしい。F1経験者をはじめ、世界で活躍する日本人トップドライバー、F1候補生の外国人若手有望株も数多く参戦しており、過去にはスーパーフォーミュラ参戦翌年にF1フル参戦を果たしたドライバーも。スーパーフォーミュラでの活躍がトップドライバーとして一つの評価基準となっていることは間違いないでしょう。

そんな「全日本スーパーフォーミュラ選手権」も今年は新型コロナウイルスの影響を受け、レースの延期やレギュレーションの大幅な変更を余儀なくされたものの、遂に8月30日(日)ツインリンクもてぎで開幕。路面温度40度を超える灼熱のもてぎで4801km×35周の決勝レースが行われました。新型コロナウイルス感染予防を踏まえ1day開催となり、予選終了3時間後には決勝レースがスタートするという超ハードスケジュール。

決勝中のタイヤ交換義務なし、燃料補給禁止という新レギュレーションのもと、ほぼスプリントレースとなりオーバーテイクが難しいとされるツインリンクもてぎでは、予選順位(スターティンググリッド)を1つでも上げること、「一発の速さ」の追求が各チームにとっての最重要課題となっていたように思います。

全日本スーパーフォーミュラ選手権レポート

第1戦の勝者はスーパーGTでも活躍している平川 亮選手

そんな中、見事ポールポジションを獲得したのが#20 ITOCHU ENEX TEAM IMPAL 平川 亮選手。彼自身がもてぎを得意としていることもあり、前日のフリー走行から頭ひとつ抜け出す速さを持っており、関係者の中でも「平川」の名前をよく耳にする週末となりました。

そして、スタートを卒なく決めトップの座を一度も明け渡すことなく圧巻の走りで平川選手が優勝。オフシーズントレーニングで鎖骨を骨折し、復帰した直後に大きな勝利を手にした彼の表情からその誠実さと信念、ただならぬ努力を垣間見た気がします。

とは言え、平川選手が独走していたわけではありません。レースが大きく動くことは無かったものの、2位チェッカーを受けた#3 KONDO RACING 山下健太選手は最終ラップ最後の最後まで平川選手を追い詰め、#4 KONDO RACING サッシャ・フェネストラズ選手は、ルーキーながら安定した走りで3位表彰台を獲得。0.001秒が勝敗を分ける「全日本スーパーフォーミュラ選手権」は、今年もサーキットにその緊張感と熱気を取り戻してくれました。

2020全日本スーパーフォーミュラ選手権、第2戦

第2戦の岡山国際サーキットは強風に各チームが翻弄される

続く第2戦の舞台は岡山国際サーキット。決勝レース距離は3703km×51周。開幕戦との大きな違いは、決勝中のタイヤ交換義務化。今季は1スペックのみタイヤ選択が無いため、程度の良いタイヤに履き替えるだけの作業ではあるものの、少なからずチーム戦略の幅が広がり、本来、スーパーフォーミュラにおいて当たり前だったはずの光景もコロナ渦ではとても新鮮に感じました。

そして、この日ドライバーたちを悩ませたのが風。空力マシンのSF19にとって厄介者でもある風が吹き荒れる中、今回も速さを見せたのが開幕戦ウィナーの平川 亮選手。2番手に0.3秒の大差をつけポールポジションを獲得。2番手には、中嶋一貴選手の代役として初参戦となった#36 VANTELIN TEAM TOM’S 宮田莉朋選手。スーパーフォーミュラライツ(2019年までの全日本F3選手権)でも活躍している宮田選手がフロントローにつけ、しっかりと存在感をアピールしました。3番手には開幕戦3位表彰台を獲得したサッシャ・フェネストラズ選手。KONDO RACINGの安定した速さも今シーズン目が離せないところです。が、レースは何が起きるかわかりませんね。

2020全日本スーパーフォーミュラ選手権、第2戦

アクシデントを乗り越え、坪井選手がスーパーフォーミュラ初勝利を掴む

なんとスタート直後のアクシデントによりSC(セーフティカー)が導入され上位勢を見てみると、平川選手を先頭に大きくオーダーが入れ替わり、後方からスタートした選手のジャンプアップが続出。そして再スタート後、各チームの戦略が分かれる中レース折り返し地点で実質トップに立ったのは、なんと予選単独クラッシュにより不完全燃焼で8番手スタートとなった #39 JMS P.MU/CERUMO・INGING 坪井 翔選手。最後まで危なげない走りでトップを守り切った坪井選手が大どんでん返しでスーパーフォーミュラ初優勝を飾りました。

2位には坪井選手のチームメイト#38 石浦宏明選手。3位には昨年のチャンピオン#1 VANTELIN TEAM TOM’S ニック・キャシディ選手と中団からの追い上げ組が名を連ねる結果となりました。誰も予想できなかったであろう、チームで掴み取ったCERUMO INGING 1-2フィニッシュでした。

コロナに負けず、繊細な技術と熾烈なバトルで私たちを魅了してくれる全日本スーパーフォーミュラ選手権。一体、今年は何人のウィナーが誕生するのでしょうか。

REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【プロフィール】

三浦 愛

10代前半よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでは優勝も獲得。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラス優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たす。