STCC最終戦:ロブ・ハフがシリーズ初勝利から2勝を挙げ、参戦初年度でチャンピオンに

 全4戦へと規模が縮小されたSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権の最終戦が10月10~11日にリング・ クヌットストープで開催され、3ヒート決戦でシリーズ初優勝から2勝を飾ったロブ・ハフ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/レストラップ・レーシング)が、大逆転でシリーズチャンピオンを獲得。2012年WTCC世界ツーリングカー選手権王者の実力を遺憾なく発揮し、デビューイヤーでの見事なタイトル獲得劇を演じて見せた。

 TCRスカンジナビアへと変貌した2017年と、2019年のドライバーズチャンピオン2冠を誇るロバート・ダールグレン(クプラ・レオン・コンペティションTCR/PWRレーシング)や、今季好調のアウディRS3 LMSを走らせる2019年チームチャンピオン、ブリンク・モータースポーツのトビアス・ブリンクらが選手権を牽引してきた2020年のSTCCもいよいよフィナーレに。

 その争いは予選から熾烈を極め、Q1トップタイムのダールグレンと2番手ハフのタイム差はわずかに0.052秒で、トップ10圏内が0.6秒差。続くQ2も最速のダールグレンに対し、2番手のブリンクは0.073秒差につけ、60kgのコンペンセイションウエイトを搭載するアウディが僅差で喰い下がる緊迫の展開に。

 このポールポジション獲得で選手権ポイント5点を上積みしたダールグレンは、157点の首位ブリンクの背後、141点のハフと同ポイントに並んで勝負のレース1を迎えた。

 するとスタートを前にトラック上は降雨に見舞われ、全長2.079kmのサーキットは完全なウエットコンディションに。この状況を味方につけたのがフロントロウ2番手発進のハフで、スタートで早々にダールグレンを仕留めて首位浮上に成功すると、そのまま19周のレースを独走状態に持ち込んでいく。

 一方のポールシッターはハフの僚友となる若手有望株のオリバー・セーデルシュトレーム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/レストラップ・レーシング)にもかわされ3番手で序盤を進め、4番手発進のブリンクはレインセットがうまくいかず6番手にドロップする厳しい展開となる。

 ダールグレンはタイヤの発動以降なんとかペースを上げ、6周目にはセーデルシュトレームに逆襲し2番手を奪還。しかしブリンクは長らくキープした6番手の座を17周目に明け渡し、まさかの7位フィニッシュに終わり、ハフがシリーズデビューイヤーで待望の初優勝をマーク。この結果、ハフが選手権首位に浮上し、ブリンクが3点差の2番手、ダールグレンが4点差で続く形となった。

 続くレース2は、午後13時30分のスタートを前にレコードラインはドライへと転じ、スタート直後のターン1でブリンクとサイド・バイ・サイドを演じたポールシッターのダールグレンが今度こそ首位をキープ。

 その背後では、セーデルシュトレームのゴルフGTIにアンドレアス・アールベルグ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Kågered Racing)と、最終戦のみゲスト参戦のPWRレーシング共同代表ダニエル・ハグロフ(クプラ・レオン・コンペティションTCR)が絡み、3周にわたってセーフティカー(SC)が導入される。

シーズンフィナーレの週末は、雨絡みの難しい天候となり、これがタイトル争いの行方にも影響することに
R1はスタートで抜け出したロブ・ハフ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Lestrup Racing)が独走でシリーズ初優勝
「雨のセットアップを改善しなければ、タイトルはない」と2位のロバート・ダールグレン(クプラ・レオン・コンペティションTCR/PWR Racing)は危機感を募らせていた

■3者が6ポイント差、三つ巴状態で2020年最後のレース3へ

 このリスタートで集中力を見せたのが3番手につけるハフで、前を行くブリンクのアウディに狙いを定めると、7周目のヘアピンでアウトサイドからオーバーテイクを決め2番手へ。

 ここでもペースに苦しむブリンクは、ハグロフやミカエラ-アーリン・コチュリンスキー(クプラ・レオン・コンペティションTCR/PWRレーシング)のPWR勢に再三のプレッシャーを掛けられるも、ともにペナルティ裁定で沈みなんとか3位表彰台を死守することに成功する。

 最後の大一番を前に勝利したダールグレンと、2位ハフが184点の同ポイントで並び、ブリンクが6点差で追う文字どおりの三つ巴状態で、午後15時35分の2020年ファイナルに向けたお膳立てが整った。

 前戦トップ8リバースポールを得たハグロフがタイトル争いの行方を握るキーパーソンになるかと目されたスタートでは、同じくリバースグリッドでフロントロウ2番手に並んでいた初参戦のケビン・エングマン(アウディRS3 LMS/ブロバーレン・デザイン)が抜群のダッシュを決めてターン1へ。しかしこれがジャンプスタートの裁定を受け、レース後20秒加算のペナルティを宣告される。

 一方、6番手からの浮上を期したブリンクは、レース2でもやりあったコチュリンスキーとのバトルで再三の接触を繰り返し、今度はクプラをリタイアに追い込み警告を受けると、7番手発進のハフは9周目にコース上で首位をいくエングマンを抜き去り、ライバルのダールグレンもすぐさまそれに追随する。

 しかしダールグレンは残り周回でハフを捉えることはできず、2.941秒差でチェッカーフラッグを潜り決着。ハフが2勝目を挙げるとともに、2002年のロベルト・コルチアゴ以来となる非スカンジナビアン系ドライバーとして久々のSTCCチャンピオンに輝く大逆転の結末となった。

「本当にクレイジーだ! なんて日、なんて勝利なんだろう! レストラップ・レーシングのクルー全員に心からの感謝を捧げたい。彼らがいなければこの成果を手にするのは不可能だっただろうね」と、喜びを語った2020年STCC王者のハフ。

「ファイナルでは良いポジションを得られて、それを守ることに専念した。レースをコントロールし、週末の初勝利から2勝を挙げることができた。今年は本当に大変なシーズンだったし、チームの全員にとって本当に素晴らしい報酬になったと思うよ」

 これでレストラップ・レーシングがドライバーズ、チームの両タイトルを獲得して選手権完全制覇を達成し、代表のフレデリック・レストラップは「彼こそ間違いなく真に価値あるチャンピオンだ。来季もタイトルを守るためにふたたびSTCCに戻ってくるだろう」と、早くも2021年の戦いに目を向けている。

R2はオリバー・セーデルシュトレーム(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR/Lestrup Racing)のスピンを引き金にセーフティカーが導入される
R3でも7番グリッドから首位を捉えるスピードを見せたロブ・ハフが、週末2勝目を飾って見せる
世界王者の肩書に、北欧でのチャンピオンも加えたロブ・ハフ。「難しいシーズンだったが、最高の結末になった」