優れたパワーウェイトレシオにはイイ加速。車種別に見ればさらに納得!?

■パワーウェイトレシオがわかれば加速性能がわかる

自動車をより深く理解するために必要なものの1つが「自動車工学」です。その内容は多岐にわたり、数学や物理に関する見識がなければ理解することは難しいでしょう。しかし中には頭にすんなりと入ってくるものもあります。

そのひとつが「パワーウェイトレシオ」です。パワーウェイトレシオは「車両重量 ÷ 出力(馬力)」で算出される数値のこと。表示単位はkg/PSで、そのクルマで1馬力あたりにどれくらいの重量負担があるのかを表します。

この数値が小さければ小さいほど加速性能に優れていることになり、加速性能を表す指数として引き合いに出されるのです。

車両重量が1,000kgでエンジン最高出力が100PSのクルマで例えてみましょう。このクルマのパワーウェイトレシオは 1,000kg ÷ 100PS = 10kg/PS となります。しかし実際に体重70kgの大人が2人乗っていたら 1,140kg ÷ 100PS = 11.4kg/PSになりますし、最高出力が100PSではなく200PSだとしたらパワーウェイトレシオは 1,000kg ÷ 200PS = 5.0kg/PS です。

このように同じ馬力でも重くなれば1馬力あたりの重量負担は増加しますし、同じ車両重量でも馬力が増せば重量負担が減少します。教科書がギッシリ詰まったランドセルを背負って走る子供と、ランドセルを背負っていない同じ子供が徒競走をして、どちらがより優れた走り出しをするのかイメージするとわかりやすいです。

ちなみに世界の自動車業界では“Power-to-Weight Ratio”で算出する方法もあります。馬力を車両重量で割る計算式で、数字が大きければ大きいほど加速性能に優れていると示す計算方法です。

■いろいろなクルマのエンジンで計算してみよう

ここからは乗用車からバス、そしてフォーミュラーマシンに至るいろいろなクルマのパワーウェイトレシオを計算してみましょう。

●スズキ アルト(現行)

激安の殿堂 スズキ アルト
激安の殿堂 スズキ アルト

現行ラインナップにあるアルトのFグレード(前輪駆動・5MT仕様)の車両重量は610kgです。エンジンスペックは最高出力36kW(49PS)/6,500rpmですから、パワーウェイトレシオを計算すると 610kg ÷ 49PS ≒ 12.44kg/PS、つまりアルトのパワーウェイトレシオは約12.44となります。

●スバル BRZ

スバル生粋のスポーツカー
スバル生粋のスポーツカー

2台目は水平対向エンジンを搭載するスポーツカーのスバル BRZの6MTモデルの最高出力は152kW(207PS)/7,000rpm、車両重量は1,220kgです。これにより 1,220kg ÷ 207PS ≒ 5.89kg/PS となります。

●いすゞ エルガミオ

いすゞ エルガミオ
いすゞ エルガミオ

いすゞから販売されている中型路線バスのエルガミオ。車両重量は最重量グレードで8,010kg、、そしてエンジン最高出力は154kW(210PS)/2,400rpmです。計算すると8,010kg ÷ 210PS ≒38.14kg/PSとなります。

エンジンだけ見れば200馬力越えなわけですから、遅さの原因は8トンもの車両重量にあるのです。

●マクラーレン MCL35

McLaren MCL35
McLaren MCL35

マクラーレンの2020年用F1マシンであるMCL35。車両重量は746kgで、最高出力は950PS以上と言われています。これをもとに計算すると、746kg ÷ 950 ≒ 0.78kg/PS、です。

ホンダが販売するスーパースポーツバイクのCBR1000 RR-R FIREBLADEですらパワーウェイトレシオが201kg ÷ 218PS ≒ 0.92kg/PSであることを踏まえると、F1マシンがいかにバケモノかということがわかりますね。

■パワーウェイトレシオベースのクルマ選びもアリ

パワーも大事ですが、パワーウェイトレシオをベースに選んで、停車状態からの加速や走り出しで日常にスポーツをちょこっと感じさせてくれるクルマを選択することも、クルマ選びのポイントになります。

エンジンスペックやサスペンション、あと人気車種名などに注目しがちになるクルマ選びですが、その際に車両重量も一緒に確かめて、計算式に当てはめてみてはいかがでしょうか。

(ジョン・スミス)