レッドブル・ホンダ分析:一度も走れず現行規則下での走行データはなし。予選、決勝に向け適応力が重要に

 2020年F1第11戦アイフェルGPの初日は、全セッションがキャンセルされるという残念な1日となった。

 サーキット周辺の山地に立ち込めた濃霧によって視界が悪化し、事故によるケガ人を搬送するためのメディカルヘリが指定された病院まで飛行できない状況が解消されなかったためだ。

 FIAの国際モータースポーツ競技規則の付則H項によると、サーキットから病院までは20分以内に搬送しなければならないことになっている。しかし、アイフェル山地内にあるニュルブルクリンクから最寄りの病院までは約53kmあり、メディカルヘリでなければ20分以内に搬送できないため、濃霧のなかでセッションを開始することはできなかった。

2020年F1第11戦アイフェルGP ニュルブルクリンクのメディカルヘリコプター
2020年F1第11戦アイフェルGP ニュルブルクリンクのメディカルヘリコプター

 アイフェルGPが開催される10月の第2週は本来、日本GPが開催されるはずの週末だった。丸一日、セッションが行われずに中止になったのは、じつはその日本GP(2019年)以来のこと。ただし、そのときは濃霧ではなく台風が原因で、曜日も金曜日でなく土曜日だった。

 セッションが中止になったのは、今年の第2戦シュタイアーマルクGP以来のこと。このときは大雨の影響によりキャンセルとなった。ただし、このときもキャンセルされたのは土曜日のフリー走行3回目。

 キャンセルされたのが土曜日でなく、金曜日のセッション、しかも1セッションだけでなく、すべてキャンセルされたことで、チームは土日に向けてかなり難しい選択を強いられることになった。というのも、実走行のデータがないまま、予選とレースに向けたセットアップを決めなければならないからだ。

 土曜日がキャンセルとなっても、金曜日にしっかりと走り込みができていれば、金曜日の夜にセットアップ変更ができる。しかし、金曜日がキャンセルされると最初に行う実走行は土曜日のフリー走行3回目となり、セットアップ変更は時間的にも物理的にも非常に限られたものとなる。

 しかも、ニュルブルクリンクでのF1は2013年以来、7年ぶりとなるため、ハイブリッドシステムにおける現行パワーユニットでの走行データがなく、過去のデータを参考にすることもできない。

 車体やパワーユニットのセットアップが難しいだけではない。ドライバーにとっても、1時間だけのフリー走行で予選に臨むのは、簡単ではない。じつは7年前の2013年にニュルブルクリンクで行われたドイツGPを経験しているのは、20人中7人しかいない。ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス(以上メルセデス)、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、キミ・ライコネン(アルファロメオ)、ロマン・グロージャン(ハース)、ダニエル・リカルド(ルノー)、セルジオ・ペレス(レーシングポイント)だ。

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンはF1デビュー当時から新しいサーキットを苦にしていないが、チームメートのアレクサンダー・アルボンはステップを踏みながら、徐々にパフォーマンスを上げていくタイプだけに、ぶっつけ本番で土曜日を迎えるのは理想的な状況ではない。

 難しい状況のなかで週末の戦いを強いられることとなったアイフェルGPだが、これは2戦後のイモラで開催される第13戦エミリア・ロマーニャGPに向けた良い準備でもある。エミリア・ロマーニャGPも土日の2デー・イベントとなっているからだ。

 金曜日の2セッションを中止に追い込んだアイフェル山地の濃霧はその後、解消され、夕方には青空が広がった。土曜日も雨の心配はなさそうだが、気温が低いため、金曜日に降った雨が乾きにくく、フリー走行3回目までに路面が完全にドライになるかは不明だ。

 アイフェルGPは、適応力、対応力の戦いになりそうだ。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第11戦アイフェルGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第11戦アイフェルGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)