最新技術のオンパレード! アウディ e-tron スポーツバックが魅せる近未来を初試乗

Audi e-tron Sportback 55 quattro 1st edition

アウディ e-tron スポーツバック 55クワトロ 1stエディション

アウディ e-tronに「熟れた未来」を見る

アウディ初のBEVとなるe-tronスポーツバックが上陸した。高品質と新技術で常に我々を驚かせてきたアウディは、今回初のBEVではどのような閃きを見せてくれるのか? 関東近郊のショートトリップで確かめた。

アウディ e-tron スポーツバックのリヤスタイル

「技術面ではQ3よりe-tronの方が先行。最新技術の集合体といっていい」

e-tronスポーツバックは、アウディのSUV系スポーツバックの系譜に連なるニューモデルだ。発表になったばかりのQ3スポーツバックと重ね合わせてみれば、共通のデザインアイコンが随所にちりばめられていることに気付く。前後ランプのグラフィックしかり、フロントバンパーコーナー部の処理しかりだ。しかし、e-tronがアウディ初のEVという点を除いても、技術の面ではQ3よりe-tronの方が先を行っている。いっそ最新技術の集合体といっていい。

アウディ e-tron スポーツバックのバーチャルエクステリアミラー

「運転中、後方確認の行為がことごとく新鮮だ」

e-tronスポーツバックの先進性を象徴するのが、バーチャルエクステリアミラーだ。鏡面ミラーを用いず、カメラで捉えた後方の映像をドアトリムに組み込んだOLEDタッチディスプレイに表示するシステムである。運転中頻繁にお世話になる機能だけに、これまで慣れ親しんできた装備と違いを実感する。最新のシステムなので当然だが、運転中、後方確認の行為がことごとく新鮮だ(慣れが必要でもある)。

アウディは新技術自慢がしたくてバーチャルエクステリアミラーを採用したわけではない。EVの生命線は、いかに損失を減らすかだ。わずかな損失の積み重ねが航続距離を縮めるからである。車速の上昇とともに走行抵抗に占める割合は大きくなるため、空気抵抗の低減はEVにとって重要な開発テーマになる。そこに力を入れたのがe-tronスポーツバックで、スリムな形状のカメラマウントは空気抵抗低減へのこだわりを象徴している。

アウディ e-tron スポーツバックの給電シーン

「市街地と高速道路を約260km走行し、平均車速は32km/h、電費は4.3km/kWhを記録」

動力の源であるリチウムイオンバッテリーはフロアに敷き詰めるように搭載し、今回試乗した55クワトロで総電力量は95‌kWhある。WLTCモードの一充電走行距離は405kmだ。今回の試乗では都内近郊の市街地と高速道路を約260km走行し、平均車速は32km/hで、電費は4.3km/kWhだった。ほぼカタログ電費どおりの性能を発揮したことになる。200km走ってもバッテリー残量は半分残っているイメージだ。「充電どうしよう」という心理的な不安を感じずに済むのではなかろうか。

公共施設などに設置されている急速充電器で充電する場合は、バッテリーを保護するためにバッテリー残量がフルに近づくにつれて充電スピードを落とし、なおかつフルに充電しないのが一般的だ。e-tronスポーツバックはリキッドクーリングシステムを採用してバッテリーのセル温度を緻密に管理するため、急速充電時にスピードを落とす必要がなく、フル充電が可能。今回の試乗ではその真価をフルに体感する機会はなかったが、外出先で充電時間を節約しつつ航続可能距離を稼げるだけに、実にありがたい機能だ。

モーターはフロントとリヤに1基ずつ搭載している。同時に駆動すれば4WDになるのでクワトロだ。Dレンジでの出力はモーター2基で265kWで、ドライブレンジをSに切り換えてフル加速した際はブーストがかかり、2基合わせて300kWの最高出力と664Nmの最大トルクを約8秒間発生する。

アウディ e-tron スポーツバックのモーター

「ライントレース性は高く、『巨体を持て余す』という表現はあてはまらない」

通常はフロントのモーターを駆動系から(ほぼ完全に)切り離し、リヤモーターのみで走る。もったいぶっているわけではなく、バーチャルエクステリアミラーと同様に損失を低減し、航続距離を少しでも延ばすためだ。滑りやすい低ミュー路で前後に最適なトルクを配分するのに加え、ターンイン時はリヤ寄りの配分にして旋回性を高め、オーバーステア傾向の動きが出た際はフロント寄りの配分とするなど、前後のトルク配分を俊敏に制御する。2560kgの巨体が身軽に動くのは高出力モーターのおかげだし、身のこなしが軽いのは前後モーターの緻密な制御のおかげだ。重量物であるバッテリーを低い位置に搭載したことによる低重心化と高いボディ剛性、それに電子制御ダンパーの働きと合わせ、背の高いクルマにありがちな過度な揺すられ感は皆無。ライントレース性は高く、「巨体を持て余す」という表現はまったくあてはまらない。

アウディ e-tron スポーツバックのインテリア

「最新技術が搭載されたEVに乗っていることを実感するアシスト」

モーターの発電機能を利用して減速する回生ブレーキの強弱は、ステアリング裏のパドルで2段階(デフォルトは回生なし)に切り替え可能。手前に2回引いて「強」にすると、完全停止付近まで回生ブレーキだけで減速する。アクセルを踏むと、回生ブレーキの強さが回生なしの状態に戻る設定になっている。

「これは賢い」と感心したのは、エフィシェンシーアシストだ。e-tronスポーツバックがデフォルトでアクセルオフ時に回生しないのは、コースティングによって航続距離を稼ぐ狙いだろう。だが、そのコースティング時に先行車に近づくと、自動的に回生ブレーキを作動させ、車間距離を保ってくれる。安全面でも効率の面でもメリットのある機能で、最新技術が搭載されたEVに乗っていることを実感する。

REPORT/世良耕太(Kota SERA)
PHOTO/折原弘之(Hiroyuki ORIHARA)

【SPECIFICATIONS】

アウディ e-tron スポーツバック 55 クワトロ・ファーストエディション(バーチャルエクステリアミラー仕様)

ボディサイズ:全長4900 全幅1935 全高1615mm
ホイールベース:2930mm
車両重量:2560kg
モーター:最高出力:300kW(408ps)
最大トルク:664Nm(67.7kgm)
バッテリー容量:95kWh
トランスミッション:1速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ウイッシュボーン
タイヤサイズ:前後265/45R21
0-100km/h:5.7秒
電力消費量:245Wh/km(WLTP)
車両本体価格:1346万円

【問い合わせ】
アウディ コミュニケーションセンター
TEL 0120-598-106