もうひとつのジェントルマンレース 【太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第4話】

ロータスカップとは対極の「アルファチャレンジ」

僕が長く取り組んでいるジェントルマンレースのひとつに「アルファチャレンジ」がある。

レースと言ってもJAF戦ではないので、厳密には「レース形式の走行会」あるいは「草レース」といった方がいいだろうか。年間5~6戦開催され、毎回40~60台もの多くの参加車が集まり、2レースにわかれて筑波、富士、菅生を出走する。

参加可能車両は、アルファロメオに加えてアバルト 595やアバルト 124など様々な車種が出場する。レギュレーションもおおらかで、大まかにいうと車検が通る範囲の改造であり一般市販ラジアルタイヤで出る「ARクラス」、Sタイヤを履く「MRクラス」、そしてナンバーを切って何でもありとした完全なレース仕様もOKの改造無制限「SRクラス」に大別される。そしてさらに各クラスは排気量によっても細かく分かれる。

太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第4話

このレースのいいところは、クラス毎に表彰がわかれるので、トロフィーを持って帰れる人数が多いことだ。レース形式の走行会と言っても、ヨーイドンをするわけだから、レースと形態は変わらないのだが、様々なクルマが一緒に走ることで、ドライバーの速さを競うというよりも、愛好家があつまって愛車を持ち込んでみんなでわいわい楽しむ要素が強い。

とは言え、速い人がそのクラスに留まると、他の人が勝てなくなるので、そのクラスでチャンピオンになると大抵は主催者から上のクラスに上がるように示唆される。そうして上がってきた頂点が「SR」という仕組みである。

太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第4話

カスタムの自由度が高いアルファチャレンジ

ロータスカップとの違いは改造の自由度による。ロータスカップは改造が許されないのでドライバーのスキルが重要で、またチームも重箱の隅をつつくような細かいセッティングの違いが重要になり、ストイックなイメージがある。

一方、アルファチャレンジは改造が許されるので、クルマのカスタムの方向性が勝敗に占める要素が多くなり、クルマ作りの力比べ的な要素もある。

ただし大改造を行うマシンは最近減ってきた。むしろロータスのようなサーキット走行を強く意識したクルマではないアルファロメオを、サーキット走行に安全に適応させるためのカスタムが主流だ。耐熱性の高いブレーキパッドや、足まわりの強化、そして熱対策などを施すのだ。

太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第4話

僕がアルファロメオ 4Cを最初に購入したのは4年前だが、なぜか夏場になるとトランスミッション等に不調をきたした。一般道において不動状態になったのは一度ではない。トラブルが続き嫌になって売ってしまった。

それでもあのフェラーリ F40を彷彿とさせられる(個人的に「ミニF40」と呼んでいる)刺激的な乗り味が忘れられず、昨年に再購入、今の車両は2代目だ。だが新車をおろしてもアルファチャレンジにおいてトラブルが続き、なかなか満足に走れなかった。

それで今年は、サーキットを連続走行してもチェックランプが点灯しないことを第一目標とした。

太田哲也の「ジェントルマンレーサーのすゝめ」:第4話

懸念されていた気温が高い夏場の第3戦で総合優勝

第一戦筑波(茨城)は2月で気温が低いこともあって全12周は完走できた。総合2位。

第二戦菅生(宮城)は6月、前日のテストでレース周回数は問題なく走れることは確認できたのだが、連続テストを試みたら終了間際になってまたチェックランプ点灯! 急遽、現地のホームセンターでエアダクトや保冷剤を買い込み、現場仕事でエンジンルームを冷やし、本番の12周は何とか走りきれた。

そして迎えた今回の8月23日、酷暑の筑波サーキットで開催された「ALFA ROMEO CHALLENGE 2020 Kanto & Tohoku Rd.3」にて、前戦に続き予選1位・総合1位を獲得できた。単なるレース結果ではなく、チームにとって大きな意味を持つものだった。何年も不調となる原因究明と対策を行ってきた。それがようやく実を結び始めたことが証明できてとてもうれしい。つまりこの結果はチームとメカニックの勝利なのである。

次回は具体的な熱対策の方策をレポートしたいと思う。

REPORT/太田哲也(Tetsuya OTA)

PHOTO/TEZZO

COOPERATION:ブリヂストン