WTCR第2戦:ヒュンダイがラウンド電撃撤退。ECUを巡るBoPの扱いに抗議の意思を示す

 9月24~26日のWTCR世界ツーリングカー・カップ第2戦ニュルブルクリンクの週末を前に、ヒュンダイ・モータースポーツがリリースを発表し「ノルドシュライフェの週末から、我々のカスタマー2チームは参戦を見合わせ撤退する」とアナウンス。2020年から採用された共通ECUの採用免除措置にまつわる抗議の意思を示した対応で、BRC RacingとEngstler Motorsportの計4台が未出走という異例の事態に。

 週末のレースはエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)とヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)が勝利を飾っている。

 伝統のニュルブルクリンク24時間に組み込まれたツーリングカーの世界戦は、公式練習と予選を控えた木曜から不穏な空気に包まれた。開幕戦ベルギー・ゾルダーでのレース後に、シリーズのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)に不満の声を挙げていたヒュンダイ・モータースポーツ代表のアンドレア・アダモは、この第2戦に向けヒュンダイi30 N TCRのエンジン性能が95%から97.5%へと1段階改善されたにも関わらず「ヒュンダイ・モータースポーツは、カスタマーチームが今週のWTCRに参加しないことを決定した」との声明を出した。

「我々はブランドとしてもチームとしても、現状は競合他社と同様の扱いを受けておらずシリーズに歓迎されていないと感じている。ヒュンダイ・モータースポーツの拠点であるこのドイツで、BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corseのノルベルト・ミケリスとガブリエル・タルキーニ、Engstler Hyundai N Liqui Moly Racing Teamのルカ・エングストラーとニッキー・キャッツバーグは、ブランドを代表してレースを戦う予定で、すでにニュルブルクリンクの現場に赴いていた」

「我々はヒュンダイの“N”ブランドを掲げて挑む同シリーズで、国際的なレベルでレーシングカーの高いパフォーマンスと信頼性を実証することに引き続き取り組んでいる。ただしニュルブルクリンク24時間に参戦するカスタマーには、この決定による影響はないことを明言しておきたい」

声明には「ただしニュルブルクリンク24時間に参戦するカスタマーには、この決定による影響はないことを明言しておきたい」と記された
声明には「ただしニュルブルクリンク24時間に参戦するカスタマーには、この決定による影響はないことを明言しておきたい」と記された
レース1のリバースポールから発進したイバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)だが、ポジションを守ることはできず
レース1のリバースポールから発進したイバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)だが、ポジションを守ることはできず
公式練習から速さを見せたアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)は、レース1でコースオフを喫したものの、レース2で3位に喰い込む
公式練習から速さを見せたアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)は、レース1でコースオフを喫したものの、レース2で3位に喰い込む
「再びニュルのノルドシュライフェで勝てるなんて夢のようだ」と語ったレース1勝者のエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)
「再びニュルのノルドシュライフェで勝てるなんて夢のようだ」と語ったレース1勝者のエステバン・グエリエリ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)

■ウエットとなったレース1はグエリエリ、レース2ではエルラシェールが勝利

 騒動の発端は、2018年から採用を準備し、この2020年から導入されたスタンダードECUの措置を巡るもので、マニエッティ・マレリが供給権を獲得した“C-ECU”は今季から原則、全車に導入されている。しかし一部はFIAのツーリングカー・コミッションに対し「新ECUを適合させる時間的な猶予がない」として採用免除を要求。結果的にルノー・メガーヌR.S.TCR、アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR、そしてアウディRS3 LMSがコンペンセイション・ウエイトを搭載する代わりに、C-ECUの採用免除が認められている。

 現状、第3戦以降の復帰についてヒュンダイ側はコメントを拒否する姿勢を見せているが、アダモ代表とWTCRを運営するWSCのマルチェロ・ロッティが、何らかの打開策提案に向け話し合いを持つことが予想されている。

 そんな週末で公式練習から速さを見せたのはFK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR勢で、2度のプラクティスではアッティラ・タッシ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.DE Münnich Motorsport)が最速を記録。続くレース1に向けた予選では開幕ウイナーのネストール・ジロラミ(FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR/ALL-INKL.COM Münnich Motorsport)がポールポジションを獲得する。

 週末初の雨に見舞われた決勝では、スタートから2周にわたってセーフティカー(SC)の先導が入りウエットの路面コンディションを確認すると、ローリングスタートで予選トップ10リバースの最前列を得たイバン・ミューラー(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)が一時先行するものの、オープニングラップのアーレムベルグで4番グリッド発進だったグエリエリが早々に首位を奪還。2位ミューラー、3位エルラシェールのLynk&Co Cyan Racingファミリーを従え今季初勝利を飾った。

 続く土曜レース2でいよいよ最前列からのスタートを切ったジロラミだったが、前戦同様SC先導後のオープニングでエルラシェールに先行を許すと、2周目にはまったく同じドッティンガー・ホーエでスリップを活かしたテッド・ビョーク(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)にも先行を許す苦しい展開に。

 その直前にはGPサーキット内でジル・マグナス(アウディRS3 LMS/Comtoyou Racing)とのバトル中に相手を押し出す危険な動きをしたとして、ジロラミに30秒加算のペナルティが科され万事休す。エルラシェールが今季2勝目でビョークとのワン・ツーを決め、ホンダのタッシが3位に続く表彰台となっている。続く2020年WTCRシーズン第3戦は、10月10~11日にスロバキアリンクを舞台に争われる。

開幕から好調の続くサルーン勢は、トム・コロネル(アウディRS3 LMS/Comtoyou DHL Team Audi Sport)も5位、8位と健闘を見せた
開幕から好調の続くサルーン勢は、トム・コロネル(アウディRS3 LMS/Comtoyou DHL Team Audi Sport)も5位、8位と健闘を見せた
今回はシングルカー体制で挑んだジャン-カール・ベルネイ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/Team Mulsanne)もレース2で6位に入った
今回はシングルカー体制で挑んだジャン-カール・ベルネイ(アルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCR/Team Mulsanne)もレース2で6位に入った
2020年仕様の新カラーを披露したZengő Motorsportは、レース1をペナルティで落としたミケル・アズコナ(Cupra León Competición TCR)がレース2で4位までカムバックを果たす
2020年仕様の新カラーを披露したZengő Motorsportは、レース1をペナルティで落としたミケル・アズコナ(Cupra León Competición TCR)がレース2で4位までカムバックを果たす
週末の結果で選手権首位を固め、リードを拡大したヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)。「まだタイトルについては考えていない」
週末の結果で選手権首位を固め、リードを拡大したヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Racing Lynk&Co)。「まだタイトルについては考えていない」