レッドブル・ホンダ分析:車体とパワーユニットの実力が噛み合わず。新コンポーネント&トラブル対策は問題なし

 2020年F1第10戦ロシアGP金曜日のフリー走行1回目から、レッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペンに新しいパワーユニット(PU)を投入した。新たに使用したのは、ICE、ターボチャージャー(TC)、MGU-H、そしてMGU-Kだ。

 すでにフェルスタッペンは2基目まで使用しているので、今回の投入は3基目となった。残り8戦あるが、1基目と2基目も使用できる状態にある。したがって、残り8戦を「この3基で(やり繰りしながら)乗り切る」(田辺豊治F1テクニカルディレクター)予定だ。

 今回ホンダはアルファタウリのふたりも、フェルスタッペンと同様、ICE、ターボチャージャー、MGU-H、そしてMGU-Kを新しいものにしている。ただし、この投入理由は、前戦トスカーナGPでフェルスタッペンのパワーユニットに起きたトラブルとは関係がない。そのことは、レッドブル・ホンダのもうひとり、アレクサンダー・アルボンはトスカーナGPで起きた問題の対策を講じたものの、ハードウェアはこれまで使用していたものを継続してロシアGPでも走らせていることでもわかる。

アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

 では、なぜアルボンには新しいコンポーネントを入れなかったのだろうか。田辺TDは「いろいろとやり繰りします」と語るにとどまった。じつはアルボンは、第5戦70周年記念GPの後にTCとMGU-Hに不具合が発見され、ファクトリーでのチェックが必要となったため、70周年記念GPと連続して開催された第6戦スペインGPに3基目を投入することとなった。

 つまり、今回アルボンがフェルスタッペンと同様に4つのコンポーネントを一新すると、TCとMGU-Hが4基目となってペナルティを受ける。また、TCとMGU-Hはこれまでの3基のなかから使用し、ICEとMGU-Kを新しくするとマイレージの管理が難しくなる。

 というのも、イタリアGPからいわゆる予選モードが禁止され、予選からレースまでは基本的に同一のICEモードで走らせなければならないという新しい技術指令が実行されている。

 この技術指令にはいくつかの条件があって、3基目からはPUマニュファクチャラーのすべてのパワーユニットに対して、同一のモードが適用されなければならないことになっている。技術指令が施行されたイタリアGPの時点ではまだすべてのチームが2基目までしか使用しておらず、しかも使用状況(マイレージや予選モードの使用頻度)がドライバーによって異なっていたため、同じPUマニュファクチャラーのパワーユニットをすべて同一のモードにすることは不公平となるからだ。

 しかし、その後に投入される3基目のICEからは、予選とレースで同一モードにしなければならないだけでなく、ドライバー間、チーム間でもモード設定は同じにしなければならなくなった。そのため、4つのコンポーネントを一新する3人と、ペナルティなしでICEとMGU-Kを3基目にするアルボンではTCとMGU-Hの使用状況が異なるため、同じモードを使用するのは、理想的ではないと判断したと考えられる。

 なお、ホンダはアルボンに3基目を入れるタイミングを「後日」とだけ記しているが、それが本来意味するところは、金曜日の翌日の土曜日ということではなく、次戦以降ということだ。ただし、金曜日の走行後のチェックで何か問題があれば、もちろん交換する可能性は残されている。

 金曜日のフリー走行を終えた直後の時点では、ホンダのパワーユニットに目立った問題はなく、トスカーナGPで起きたトラブルの対策も「思惑通りの動作をしていることが確認された」と田辺TDは語った。

 初日のレッドブル・ホンダはフェルスタッペンが7番手、アルボンは12番手に終わった。両者とも車体のセットアップに課題を残していたからだ。車体とパワーユニットの実力がなかなか噛み合わないロシアGP初日だった。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第10戦ロシアGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)