BMWが二輪に「M」ブランドを初展開。最速級のリッターSSをグレードアップした「M1000RR」を初公開

■BMW Mのブランド戦略に二輪も拡大

BMWのハイパフォーマンスモデルといえば「M3」に代表される「M」シリーズですが、その「M」ブランドがモトラッドと呼ばれる二輪部門にも拡大です。

The new BMW M 1000 RR
新型M3やM4と同時に「M1000RR」は発表された。

BMWが新型M3とM4を発表したのに合わせて、二輪初のMシリーズとなる「M1000RR」を世界初公開しました。名前からもわかるように、モトラッド初のMモデルのベースとなったのは、リッタークラスのSS(スーパースポーツ)である「S1000RR」。

素の状態でもかなりの速さを示すことで定評あるS1000RRをエンジン、サスペンション、エアロダイナミクスなど全面的にグレードアップしたのが「M1000RR」です。

The new BMW M 1000 RR
カーボンホイールを標準装備するなど軽量化への配慮も半端ない。車重は192kgと発表された。

公表されているエンジンスペックは最高出力が156kW/14500rpm、最大トルクは113Nm/11000rpm、レブリミットは15100rpmと凄まじいレベル。高回転ユニットに仕上げるためにチタン製コンロッド、チタン製エキゾーストバルブ、2リングタイプとすることで12gを軽量化したピストン、13.5の高圧縮比などベースエンジンに隈なく手が入れられているということです。

またヘッドにはバルブタイミングとバルブリフトの可変機構「シフトカムテクノロジー」が採用されているのもトピックスとなっています。

The new BMW M 1000 RR
156 kW (212 HP)にパワーアップしたマシンにダウンフォースを与えることはMの流儀では必然といえる。

しかし、なんといってもMシリーズとして印象的なのはカーボン製のウイングレット(フロントスポイラー)を標準装備していることでしょう。

レーシングマシンゆずりの空力パーツで、ウイングレットの標準装備化は他メーカーでも採用例が増えていますが、M1000Rのウイングレットはサーキットと風洞実験という2つの究極の実験室から生まれた形状となっていることが特徴ということです。

このエアロデバイスにより、ウイリーを押さえ、駆動力を適切に加速に利用することが可能になったと発表されています。コーナリング性能向上にも寄与しているということです。

The new BMW M 1000 RR
チタン製コンロッド、2リング式ピストンなどによりレブリミットは15100rpmまで上げられた。

カーボン製ホイールの標準装備化、Mのロゴが入ったブレーキシステムの採用など、足元でも四輪のMシリーズとの関連性をアピールする仕様となっています。BMWの四輪ラインナップにおけるMシリーズは、スポーツカーだけでなくSUVにも展開していることを考えると、おそらくモトラッド部門においても様々なモデルにMシリーズが登場することになるのではないでしょうか。

二輪・四輪の垣根と取り払ったMブランドがどんどん価値を高めていく未来が見えてきます。

The new BMW M 1000 RR
お馴染みのトリコロールがボディを彩るM1000RR。BMWモトラッドとしては初のMモデルになる。

いまや自動運転や電動化など量産四輪車の世界はスポーツ性と離れつつありますが、BMWのようなブランドにおいてはスポーティであることはブランドイメージの向上に欠かせない要素。

Mブランドを二輪に展開することでリソースを集約したブランディングを進めていくことは、そうしたイメージアップにもつながることでしょう。

二輪には視覚的イメージからも「人馬一体」感がありますから、二輪と四輪のスポーツイメージを共通化することは四輪への相乗効果も期待できます。

二輪と四輪を同一の名称で展開しているブランドとしては日本のホンダやスズキもありますが、二輪と四輪を連携させたブランディングというのは寡聞にして知りません。しかし、BMWのMを活用したブランド戦略が上手くいくようならば、ホンダやスズキも追従する可能性がありますし、同様の手法によりブランディングをする価値があるということになるやもしれません。

そうした点からも、BMWがMというブランドを二輪にも展開することの成否は大いに注目といえるのです。

(山本晋也)