フォルクスワーゲン、「ID.」をイメージしたデザイン要素をファミリー全体に拡大。フルEVシフトを鮮明化 【動画】

Volkswagen ID.R

フォルクスワーゲン ID.R

モータースポーツのブルーとEVのシルバーの組み合わせ

フォルクスワーゲン・モータースポーツが開発したフルEVレーシングカー「ID.R」は、2018年にプロジェクトスタート以来、グレー、ブルー、レッドの3色のカラーリングを纏いながら、様々な速度記録を樹立してきた。そして、2020年10月16〜18日に開催される「グッドウッド・スピードウィーク( Goodwood SpeedWeek )」では、新たなブルーとシルバーにカラーリングされて登場する。

新カラーリングが採用されたID.R

今回、フォルクスワーゲン・モータースポーツ、そしてフォルクスワーゲン“R”モデルのイメージカラーである「ブルー」と、フォルクスワーゲン初のフルEV生産モデルである「ID.3」のカラーラインナップから「スケールシルバー」がチョイスされた。

フォルクスワーゲンが展開するEVシリーズ「ID.」ファミリーとの密接なつながりを強調するために、グッドウッド・スピードウィークではID.3がID.Rとともに登場を予定。ID.最初のモデルとして開発されたID.3は、ヨーロッパにおいて7月20日から販売がスタートしており、限定3万台の「1st Edition」のデリバリーが始まっている。

フォルクスワーゲン ID.3とID.R

Volkswagen ID.R / ID.3

フォルクスワーゲン ID.R/ID.3

ID.ファミリーの一員であることを強調するデザイン要素

フォルクスワーゲンが進める電化戦略と、ID.ファミリーの共通点は、新たなカラーリングだけではない。フォルクスワーゲンのエクステリアデザインのヘッドを務めるマルコ・パヴォーネは、今回のカラーリング変更について「もちろん、カラースキームは最初に目を惹く特徴のひとつです」と語る。

新カラースキームでは、ハニカムエレメントも特徴のひとつ。ID.3ではフロントスカートやCピラーなどにこのデザイン要素が採用されている。ID.Rではカラーリングだけでなく、グッドウッド・スピードウィークへのオマージュとして採用された英国国旗のユニオンジャックにも採り入れられた。

フォルクスワーゲンのエクステリアデザインのヘッドを務めるマルコ・パヴォーネ

各部に織り込まれた様々なデザイン要素

さらに、ID.Rで採用されたブラックルーフもID.ファミリーを象徴するデザインだ。マルコ・パヴォーネは、サイドから見たときの両者の特徴を説明してくれた。

「ID.Rでは、ブラックの要素はモノコックのショルダーラインで止まり、フロントガラスのアルミフレームだけが上に向かって続いています。そして、シルバーのラインがCピラーを表現するように、サイドエアインテークへと引き込まれています。このカラーリングは、ID.3から持ち込みました。サイドのクロームのアクセントは、Aピラー、ルーフフレームレール、Cピラーにも見られます。これらもID.ファミリーに共通する特徴です」

ID.ファミリーとの共通点は、デザインチームにとって最も重要なテーマだった。

「カラーリングのアイデアを考えるとき、ID.ファミリーのメンバーとして認識できることが重要でした。高性能車をデザインする際、様々なことに注意を払わなければならないので、非常にチャレンジングです。空力的な制限があるにもかかわらず、私たちは目標を達成することができました」

「カスタマーやモータースポーツファンの皆さんは、たとえカラーリングデカールを完全に取り除いたとしても、このクルマがID.ファミリーの一員だと認識できると信じています」

新カラーリングが採用されたID.R

ペイントではなくフィルムを使ったカラーリング

開発プロセス過程のなかで、デザインチームはID.Rにラッピングフィルムでカラーリングを施すために、様々な課題に直面することになった。

「ID.Rのホイールアーチは長く伸びています。そのため、ダイナミックな形状の変化にも対応できるようにしなければなりません。ラッピングフィルムをカウルに貼り付ける際、フィルムをドライヤーで温めて形状に沿わせるようにしています。しかし、繊維を長く伸ばしすぎると、破れてしまう可能性があるのです」

「ID.ファミリーの特徴であるハニカム・デザインをラッピングフィルムに印刷し、それを立体的に貼り付けようとするとハニカム形状が正しく表示されなくなってしまいます。つまり、ID.Rのカウル上で実現できるデザインは、その変形に対応できる面のみに限られているのです」

そのため、ラッピングフィルムではなく、ID.Rの各パーツに直接ペイントすることも何度か検討された。美的な視点から考えれば、ペイントはデザインをよりシンプルに見せる効果があるのだ。

「メタリックペイントは形状を効果的に見せることができます。色に奥行きがあるので、光の加減では常にラッピングフィルムよりも美しく見えるのです。でも、最終的に塗装よりもラッピングフィルムの方がボディの軽量化が可能だと判断しました。モータースポーツでは重量がなによりも重視されるため、結局ラッピングフィルムに戻ってきた訳です」

様々な議論や検討の末に、今回のひと目でID.ファミリーの一員と分かる新たなカラースキームが完成した。「現代的なカラーリングが完成しました。誰が見てもID.ファミリーの一員であり、フルEVだとすぐに分かると思います」とパヴォーネは胸を張っている。