ル・マン24時間:CARGUY RACING、予選までは順調な仕上がり「僕たちは決勝に強み」

 9月17日から、フランスのサルト・サーキットで開催されている第88回ル・マン24時間耐久レース。日本チームとして参戦いるCARGUY RACINGは、ハイパーポール進出はならなかったものの、激戦のLM-GTEアマクラスの12番手につけており、ここまでは順調なレースウイークを送っているという。ドライブしている木村武史とケイ・コッツォリーノにリモートで話を聞いた。

 2019年にル・マン24時間に初挑戦したCARGUY RACINGは、今季ル・マンへの参戦を当初予定していなかったが、WEC世界耐久選手権に参戦していたMR RACINGの枠を使ってのル・マン参戦をAFコルセから打診され、2年目の挑戦に挑んでいる。当初はオールジャパンでの参戦を目指し木村武史/ケイ・コッツォリーノに加え日本人ドライバーの起用を目指していたが、最終的にモナコ出身のヴァンサン・アブリルを起用。新型コロナウイルスの影響で大幅に短縮されたレースウイークに臨んだ。

 木村とコッツォリーノは、ツインリンクもてぎで行われたスーパーGT第4戦の後、慌ただしく渡仏。フランスに入国することができたが、ここでアクシデントが。なんと木村がロストバゲージに見舞われてしまったのだ。しかも、レーシングギアを入れたバッグ。ヘルメットは手荷物で持っていたので事無きを得たが、事前に送っていたレーシングスーツ一着で過ごさざるを得ず、「こちらでもいろいろ買ってます(笑)」という。

 とはいえアクシデントはこれだけで、CARGUY RACINGのレースウイークは順調なすべり出しをみせた。「とてもプロフェッショナルで、チームファーストでやってくれている(木村)」というアブリルともコンビネーションは順調で、「3人のうち、いちばんフェラーリ488 GTEとミシュランのコンフィデンシャルタイヤに対しての経験があるので、今回チームを引っ張るという役割を与えられています」というコッツォリーノを中心にセットアップを進めた。

 マシンのフィーリングは良好で、17日のフリープラクティス1では3番手につけたほか、フリープラクティス3では見事クラストップタイムに。予選でも期待はかかったが「ニュータイヤを3セット履いたのですが、ピークパフォーマンスを発揮することができず、残念ながらハイパーポールに進出はできませんでした」と12番手に留まった。

 とはいえ、ここまでアブリルともに好タイムをマークし続けているコッツォリーノは、決勝レースに向けて自信をみせる。

「ユーズドタイヤで燃料を積んだ状態でのペースはかなり良いです。特に、涼しいタイミングとなる朝や夜などでは、我々はトップクラスの実力があると思っています。今季は9月開催で夜が長く、気温も低いのですが、僕たちの強みがレースで発揮されるのではないかと思っています」とコッツォリーノは笑顔をみせた。

CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE

■木村武史の目標達成なるか……? 決勝は天候がカギか

 そんなCARGUY RACINGにとって、浮沈を握るのはチームの主役であり、代表でもある木村の走りだ。LM-GTEアマクラスはジェントルマンドライバーの速さが成績を決めると言ってもいい。そして今回の挑戦では、木村は初年度に攻略しきれなかったサルト・サーキットでのラップタイム『4分切り』を目指している。これが実現できれば、必然的にCARGUY RACINGの順位は上がってくるはずだ。

「雰囲気はいいと思いますよ」と木村はここまでのレースウイークについて語った。今回はコッツォリーノをドライビングに集中させるため、昨年に続きFIA-F2に参戦する佐藤万璃音を招聘。通訳やドライビングアドバイザーも務め、木村の円滑なレース運びに貢献している(ちなみにこの取材時も、ずっとふたりのためにスマートフォンを持ってもらった。感謝したい)。

 木村はまずフリープラクティス1で2周を走ると、FP2から本格的に走行を開始。初年度では走り出しは4分28秒だったが、いきなり4分11秒で周回を重ね出すと、4分06〜05秒台のラップを刻み始め、FP3では4分04秒台もマーク。さらに9月18日のFP4では、4分02秒668までタイムを縮めた。同クラスのジェントルマンドライバーで4分02秒台が出るドライバーは、リザルトで比較してもそこまで多くはない。2年目の経験と、事前に国内で重ねた“特訓”が現れているのは間違いないだろう。

「昨年は乗りはじめは4分28秒から始まったものが、4分11秒からスタートして詰めていっています」と木村は語る。目標とする4分切りについては「レース中に切れるんじゃないかと思っています」と意欲をみせている。

「レースでも夜に走る予定なのですが、気温も低いですし、ちゃんと見えるので、夜にタイムを出したいですね」

 迎える9月19日からの決勝レースだが、そんな木村の目標とともに、レースでも上位進出を期待したいところ。ただ、気になるのは雨の予報も出ている天候だ。

「明日のレースでのポイントは天候でしょうね。雨が降るようです。予報がいくつかあって、スタートから降るという予報と、深夜から降る予報があるんです」と木村。

「もちろん雨が降ればレースはかなり荒れると思います。今回はリザーブドライバー等も乗るときがあると思うので、タイムはかなり開きがあります。上位にいきたいところはありますが、まずは自分たちがアクシデントに巻き込まれないことが大事だと思います。序盤は完走を目指していきたいと思います」と木村はレースに向けて語った。

 またコッツォリーノは「僕たちのクルマのバランスはレースで強いと思っていますし、プランどおりに走り、スローゾーンやイエローフラッグ等の状況でミスをしないことが大事だと思います。いくつかプランは立てていますが、天候のこともありますし、AFコルセのエンジニアの柔軟性が試されると思います。また、ジェントルマンドライバーがどのタイミングで使うのかが重要ですね」と意気込んだ。

 CARGUY RACINGにとって2年目のル・マン24時間。木村の目標達成、そして上位進出はなるのか。コッツォリーノが得ている手ごたえからすれば、天候さえ味方すれば実現不可能なことではないようにも思える。コロナ禍の特殊なル・マンで、イエローのフェラーリ488 GTEがどんな輝きをみせるか。レースを楽しみにしたいところだ。

CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE
CARGUY RACING(MR RACING)の70号車フェラーリ488 GTE