まさにお家芸。LEON PYRAMID AMGの作戦遂行力と、ライバルたちの気になるトラブル《第4戦もてぎGT300決勝あと読み》

 想定されていた勝利。まさに鉄板。お家芸。いろいろな言い方はあるかと思うが、スーパーGT第4戦もてぎのGT300クラスを制したLEON PYRAMID AMGの勝ちっぷりは、まさにそんな印象だった。予選13番手からの大逆転勝利。伝家の宝刀、タイヤ無交換作戦を決めての優勝となった。

■もてぎ最強の存在

 2017年、優勝。2018年も優勝。2019年は優勝をほぼ手中に収めながらも最終ラップの最終コーナーでスローダウンを喫し勝利を逃したが、それでも2位。LEON PYRAMID AMGの成績は、このツインリンクもてぎでも圧倒的なものだ。ライバル勢も「LEONはここは本当に強い」と舌を巻くほどだ。

 ただそれでも、今季はその“セオリー”が通用しない可能性もあった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で大きくカレンダーが変更され、ツインリンクもてぎは2回レースがある。今回はそのうちの1レースで、しかも例年11月の最終戦が9月の第4戦としての開催だ。気温は11月よりもかなり高い。

 違いは季節だけではない。そもそもレース距離が違う。例年第8戦で開催されていたレースは、日没の関係もあり250kmで争われていたが、今回は300km。ブレーキに対してもタイヤに対しても圧倒的に厳しい。さらに、例年であれば最終戦はウエイトハンデがゼロになっていたが、今季はシーズン途中でハンデを積んでいるのだ。

 あらゆる条件が異なるなか、優勝した蒲生尚弥も「レース展開もですが、本当に作戦がこんなにうまくいくとは思いませんでした。このクルマとブリヂストンタイヤのパッケージがもてぎに本当に合っているので、それを活かせて良かったです」と語っているが、黒澤治樹監督によれば、この作戦は「はじめから想定してテストもしてきました」というものだった。

「ここへ来て無茶をして無交換にしたのではなく、もつかもたないか分からないようなギャンブルをしているわけではありませんでした」と黒澤監督。

 もちろん、去年までと同様のものを単純に持ち込めばいいというものでもない。「ブリヂストンさんもそれを想定したタイヤを持ち込んでくれていましたし、ドライバーも意識して、タイヤをもたせるために頑張ってくれました。セッティングでも、少しでもアンダーが出ればフロントの摩耗が出でしまう。重量を積んでも作戦が実行できるクルマをチームが作ってくれた」と黒澤監督はチームを讃える。

「ブレーキの心配もありましたが、良いパッドを作ってくれましたし、メルセデスAMGのブレーキの安定感もありました。不安はありましたが、テストもして実証されていたので、それが勝因に繋がりましたね」

 ちなみに、ブリヂストン装着車ではその他にもTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTや埼玉トヨペットGB GR Supra GTなどもタイヤ無交換作戦を敢行している。ただ、こちらはうまく結果に繋がらなかった。今まで積み重ねたもの、そして車両の特性、初優勝へ向け努力を重ねてきた菅波冬悟と、抜群の安定感を誇る蒲生尚弥というドライバーの実力と、LEON PYRAMID AMGの勝利はまさに想定されていた勝利と言えるかもしれない。

■相次ぐガス欠症状。その原因はさまざま

 そんなLEON PYRAMID AMGを終盤追う存在だったのが、ポールポジションからスタートしたRUNUP RIVAUX GT-Rだ。序盤青木孝行が圧倒的なペースをみせ、後半の柴田優作がセーフティカー直後から、LEON PYRAMID AMGを追いつめていたが、残りわずかというところでストップを喫した。

 この原因は、まさかのガス欠だ。これについては詳細は調べなければ分からないが、同様にガス欠症状に見舞われたのは、5位が目前だったGAINER TANAX GT-R、そして4位が目前だったPACIFIC NAC D’station Vantage GT3、さらにたかのこの湯 RC F GT3も同様だ。2台ともファイナルラップにスローダウンを喫してしまった。特にダメージが大きかったのは、バックストレートでガス欠に見舞われてしまったPACIFIC NAC D’station Vantage GT3だ。アストンマーティンへのスイッチ後、最上位は見えていただけに悔しいところ。

 ただ、PACIFIC NAC D’station Vantage GT3はレース後調べてみると、まだガソリンはあった状態だったという。当然GT3カーも燃料残量警告は出るが、これは出ておらず、別の警告が出ていた状態だったそう。こちらも詳細は確認しなければ分からないが、センサーやポンプのトラブルという可能性もありそうだ。

 これらはトラブルもあるが、これまで250kmだったレースから300kmに変更されたことや、セーフティカーが入ったためGT300クラスの周回数が伸びたことなどさまざまな要因があったようだ。ある意味これも、新型コロナウイルスの影響によるものなのかもしれない。

第4戦もてぎを制したLEON PYRAMID AMGの菅波冬悟、黒澤治樹監督、蒲生尚弥
第4戦もてぎを制したLEON PYRAMID AMGの菅波冬悟、黒澤治樹監督、蒲生尚弥