首都高速・都心環状線を路面の継ぎ目やバンプまで完全再現。英国「rFpro」が開発したミリ単位の高精度デジタルツイン!【動画】

現実世界での自動車開発をサポートするバーチャル環境

英国の自動運転車用シミュレーションソフト開発会社「rFpro」は、自動車開発者向けに東京の首都高速・都心環状線の最高精度デジタルツイン(digital twin)を開発した。デジタルツインとは、現実に存在する施設や製品などをデジタル空間に再現し、リアルタイムで現実とデジタル空間を連携させて、高度なシミュレーションを行うことができるシステム。

世界で最も複雑な道路網をシミュレーションすることで、実世界におけるデータ収集のコストとリスクを大幅に削減。人工知能(AI)のトレーニングを大幅に加速させることができる。このバーチャル環境は、すでに大手自動車メーカーで自動運転車両の開発に採用されている。

rFproの最高精度デジタルツインによって再現された首都高速

自律走行車を鍛える首都高C1ルートの環境

今回、35kmの道路区間を持つ首都高C1ルートを、3Dライダーによるスキャンデータを使用してモデル化。1mm以内の精度で再現された路面が作成された。ルート全体のあらゆるバンプ、ドレンカバー、道路の継ぎ目が網羅されており、車両にへの影響を正確にシミュレートすることができる。

バーチャル環境は数値的に正確なだけでなく、何千もの道路標識、路面マーキング、道路脇に存在する様々な構造物までを個別に分類。これにより先進運転支援システム(ADAS)や、自立運転技術のシステム開発で様々な機能をシミュレーションする際に、正確なデータが取得可能になる。

rFproのマネージングディレクターを務めるマット・デイリーは、今回の首都高デジタルツインに関して以下のように説明した。

「首都高のC1ルートは、自律走行車が走行するには世界で最も困難な道のひとつです。常に変化する道路の曲率や高低差、複雑で密集した位置にあるジャンクション、そして膨大な数の道路標識やマーキングが存在します。自律走行車技術の究極のテストの場であり、その能力を安全に発揮すべく開発するには最適な方法と言えるでしょう」

rFproの最高精度デジタルツインによって再現された首都高速

実車による走行実験によるコストやリスクを削減

rFproが開発したこのデジタルツインは、インテリジェント・トラフィックやスクリプト・トラフィックを追加することでほぼ無限のテストに対応できる。つまり、シミュレーション内における車両の種類、速度、カラー、交通密度、天候などを、無限に変化させることが可能なのだ。

また、rFproのシステムでは、多数の人間が同時にモデルを運転することができるため、想定される最も複雑かつ、あり得ないレベルの究極の状況すら、実際に製作・検証することが可能。これにより車両搭載AI開発における、トレーニングデータ製作に必要な膨大な時間やコストを削減することができるという。

「自動運転技術に必要とされる、大量かつ多様なトレーニングデータを収集することは、現実世界では非常に高価で時間がかかります。さらに危険な状況を発生する可能性もあるのです。私たちが製作したこの複雑な首都高C1ルートのモデルは、世界中の開発エンジニアや研究者に提供されています」

rFproのマネージングディレクターを務めるマット・デイリー

高度なモデル再現により実車の開発にも活用可能

走行するモデルの再現度も非常に高いため、rFproのデジタルツインは車両自体のハンドリング、ブレーキング、ステアリング操作など、実車の開発現場でも活用することができる。

「rFproのデジタルツインのモデルは非常に汎用性が高く、ユーザーはシミュレーションへの投資を最大限に活用することができます。複雑な交通シナリオを再現することで、オートマチックギヤボックスとエンジンマッピングの性能をテストすることもできるのです。そして、重要なのは、このテスト結果を現実世界の全く同じ道路上と相関させることが可能ということです」