全5台がQ2進出のホンダNSX陣営。計測1〜3周目までブリヂストン勢の三者三様から見えてくる予選の難しさ《第4戦GT500予選あと読み》

 予選Q1がドライ、予選Q2が結果的にウエットコンディションになり、天候の変化が大きなファクターになったスーパーGT第4戦もてぎのGT500クラスの予選。その中でもホンダ陣営はもてぎとの相性のよさを見せて予選Q2に全5台が残る結果となったが、そのなかでもブリヂストンタイヤを装着する17号車KEIHIN NSX-GT、8号車ARTA NSX-GT、100号車RAYBRIG NSX-GTの予選Q2を振り返ると、今回の予選の複雑さとホンダ陣営のさまざまな違いが見えてくる。

 GT300クラスの予選Q2がドライコンディションで行われたことから、続いてのGT500クラスも最初は全車スリックのドライタイヤでコースインしたが、セッション開始直前から降り始めた雨が強まり、全車レインタイヤに交換。ホンダNSX陣営のブリヂストン勢も、ほぼ同タイミングのアタックとなった。

 最初にウォームアップでトップタイムを出したのが100号車RAYBRIG NSX-GT。そのまま計測1周目にベストタイムをマークすることになったが、結果的には予選6番手となった。100号車は今回、ウエイトハンデ(WH)52kg相当でリストリクター径が一段階絞られている。

 17号車KEIHIN NSX-GTはWH47kg、8号車ARTA NSX-GTはWH8kgと3車のなかでは一番条件がよく、結果的にこの3台は予選Q2で同じレインタイヤを装着することになったという。

 そのなかで予選Q2の計測1周目でベストタイムをマークした100号車に対し、17号車は計測2周目でベストタイムをマークして2番手、8号車は計測3周目がベストタイムとなり、3番手となった。100号車で予選Q2を担当した牧野任祐がQ2セッションを振り返る。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ RAYBRIG NSX-GT(牧野任祐)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ RAYBRIG NSX-GT(牧野任祐)

「基本的にウエットは富士の合同テストの時とかも調子がよかったので、ウエットは割と自信があったんですけど、今回は雨量があまり多くない状況になってしまったので、そのなかでいろいろな要素があるなかで噛み合わなかったのかなという感じですね。結果的には自分たちが求めていた順位よりは下ですし、ドライコンディションならもっと上に行けるポテンシャルはあったと思うので、個人的にも悔しい予選になりました」と、肩を落とす牧野。

 計測1周目のアタックに関しては、「僕らはウォームアップのタイムがすごくよくて、アウトラップから計測1周目が僕らのベストタイムで、計測2周目はタイヤのグリップのピークは終わっていました。計測1周目の後半セクターから、かなりフロントのグリップが失われた感じでした」と、牧野は振り返る。

 一方、同じタイヤで計測2周目にベストタイムをマークした17号車の塚越広大は予選Q2を以下のように振り返る。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ KEIHIN NSX-GT(塚越広大)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ KEIHIN NSX-GT(塚越広大)

「僕のアタックのタイミングはちょっと早かったかなと思います。計測2周目でしたけど、もう少しうまくまとめたかったですね。トップとはコンマ2秒の差だったので、十分ポールは狙えたと思います。僕のタイヤの状態だと、アウトラップから計測1周目でアタックというのはできなかったですね。計測1周目もアタックはしていたのですけど、1周目より2周目の方がタイヤの状態はよかったです。3周目にはタイヤがグリップダウンしていました」と塚越。

 その計測3周目にベストタイムをマークしたのが、8号車の福住仁嶺だったが、福住は結果的にさまざまな事情があったようだ。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ ARTA NSX-GT(福住仁嶺)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ ARTA NSX-GT(福住仁嶺)

「雨がどうなるかわからなかったので、計測1周目からプッシュはしていました。そのまま2周目のアタックに入ったのですが、前のクルマにひっかかってしまって、それで計測3周目もアタックに行きました。いろいろ事情はありますが、結果的には僕の判断ミスです」と、自分を責める福住。それでも3度のアタックで3番手という状況を考えると、普通にアタックが出来ていたらZENT GRスープラを交わしてトップタイムを十分に奪えていたことは想像に難くない。

 WHの軽い8号車が17号車の後方になってしまった背景は把握できたが、100号車と17号車のアタックタイミングの違いを説明するのは難しい。同じタイヤを選択していたことを考えると、おそらく現在の100号車と17号車のセットアップの方向性の違いが関係していることは推測がつく。

 牧野は「計測1周目の後半セクターから、かなりフロントのグリップが失われた感じだったので、クルマのセットアップがコンディションに合っていなかったのかもしれません。17号車は計測2周目にベストタイムが出ているのですけど、ウチはそんな雰囲気はまったくありませんでした。その原因が何なのか探さないといけない」と、悔しさを見せる。

 一方の塚越も、予選2番獲得にも冷静に現状を見ている。

「ウエイトを考えたら2番手スタートはすごくいいと思います。ドライで普通に予選が行われていたら、ウエイトハンデを考えると僕らは予選Q1を突破できるかどうが、結構厳しいところにいたと思います」と塚越。

「明日のレースはなかなかオーバーテイクは難しい状況だと思いますので、このポジションから強いレースをして、ポジションを下げないでチャンスをうかがってトップに立てればすごくうれしいですね」と決勝への展望を話す。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ ARTA NSX-GT(野尻智紀)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ ARTA NSX-GT(野尻智紀)

 3台のなかで一番WHが軽くて決勝で巻き返す可能性が高い8号車も野尻智紀が「これまであったクルマのよくないフィーリングが今回は違う動きになって、普通の動き方というか進歩はあったのかなと思います」というように、これまで不運やアクシデントの多かったARTA NSX-GTにもいい流れが見えてきた。

「夏のもてぎは未知の部分が多くてホントにわからないレースになる、コンディションが安定すれば、軽さの利を活かしやすいと思うので。今シーズンのこれまでの過去の部分をポジティブなものに変えていきたいなと思います」と決勝に向けて話す野尻。

 ブリヂストン+NSXの3台が同じタイヤセレクトだったにも関わらず三者三様だったように、コンディションの変化、セットアップの違いで順位やタイムが大きく変わることになった第4戦の予選。当然、決勝がドライコンディションに変われば、今回の予選からまた大きく順位が変わるレース展開になることは言うまでもない。