「GT500に順応できている」と自信を見せるランキングトップの新人フェネストラズ。au TOM’S GRスープラの好調はもてぎでも続くのか

 今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で変則的なスケジュールが組まれ、今週末のツインリンクもてぎで2020年シーズンの折り返しを迎えるスーパーGT。今年のGT500クラスはGRスープラの評判が開幕前から高く、開幕からの3戦すべてで上位にGRスープラが食い込んでいる。そのなかでも、3戦連続表彰台を獲得して現在ランキングトップを独走しつつあるのが、au TOM’S GRスープラだ。そのau TOM’Sで関口雄飛とともにランキングトップを支えるサッシャ・フェネストラズにもてぎ以降の展望などについて話を聞いた。

 2009年以降、もてぎ決戦は最終戦として開催されているため、例年、ウエイトハンデや燃料リストリクターなどの制限がないノーハンデで争われている。2016年に熊本地震の影響で第3戦が予定されていたオートポリスでのレースが開催できず、代替レースとしてもてぎで異例の2レースが組まれたことがあった。その際は土曜日のレースのみハンデがあるなかで行われたが、今年はそれ以来となるハンデを抱えたなかでの戦いが待っている。

 開幕戦から2位、2位、3位とここまで3戦連続で表彰台を獲得し、ポイントラインキングで1位につけているau TOM’S GRスープラだが、マシンのパフォーマンスの高さ、完成度もさることながら注目したいのが、今季そのステアリングを握っているドライバーのひとりがGT500クラスのルーキーだということだ。

 au TOM’S GRスープラで関口のチームメイトを務めるフェネストラズは昨年から来日し、全日本F3選手権とスーパーGT GT300クラスを戦い、今シーズンからスーパーフォーミュラとスーパーGT GT500クラスへステップアップを果たした。2018年まではヨーロッパでミドルフォーミュラのレースに参戦しており、フル参戦でツーリングカーレースに出場したのは昨年が初めてだ。そのフェネストラズに第3戦鈴鹿でスーパーGTについて聞いた。

「GT500のマシンの印象についてだけど、実は2018年の終わりにDTMのテストでアウディをドライブしたことがあるんだ。GRスープラはDTM車両に似ているところもあるけど、タイヤがDTMと違ってすごくいいね。ブリヂストンタイヤはとても優れていると思うし、ここまではいい結果を残せているからうれしいよ」

「GRスープラはダウンフォースも大きくて、屋根がついているF3マシンみたいだよね。ダウンフォースのあるマシンで高速コーナーを走るのはすごく好きだから、鈴鹿は楽しい。GRスープラは速さもあって、満足しているよ」とGT500、そしてGRスープラの印象を話すフェネストラズ。

 フェネストラズは昨年までGT300クラスでGT-Rをドライブしており、今年とはクラスもクルマの特性もまったく異なるマシンで戦ってきた。GRスープラにはオフシーズン中に行われたセパンテストなどで走り込んではいるが、それを差し引いても混走を含めたGT500クラスへの適応力の高さに驚かされる。

優勝はしていないものの、3戦連続で表彰台を獲得し、確実にポイントを稼いでいるau TOM'S GRスープラ(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)
優勝はしていないものの、3戦連続で表彰台を獲得し、確実にポイントを稼いでいるau TOM’S GRスープラ(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)

「たしかに自分でも順応できていると思うけど、今年はGT300クラスで戦っていた去年よりトラフィックについて考えないといけない。レースもフォーミュラと違ってスプリントではないから難しい。でも、僕はGT300で戦った経験をポジティブに捉えているんだ。彼らがどうドライブしているか僕は知ってるからね」

 速さと勢い、そしてどこか冷静に物事を捉えているかのように話すフェネストラズ。そして国内のサーキットでレースをするうえでタイヤを温める方法や、トラフィックへの対処についてはチームメイトの関口から学び得るものが大きいようだ。

「ユウヒは日本人の最速ドライバーのひとりだと思っているよ。トラフィックだったり、タイヤについてだったり、いろいろ教えてもらえている。とてもいい関係が築けているよね。彼とチームメイトでよかった」

 現在、ドライバーランキングで41ポイントを獲得し、トップに立っている関口/フェネストラズ組。このまま好調を維持できれば、当然、タイトルが視界に入ってくる。しかし、フェネストラズは「まだその話はしたくない」という。

「もちろんチャンピオンは獲りたいけど、その話をするのはまだ早すぎるよ。GRスープラはとてもいいクルマだけど、まだまだ最終戦までは長い道のりだからね。チャンピオンになるには常にトップ8以上の成績を出し続けなければいけない。でもポイントが増えればその分ウエイトハンデも大きくなる。燃料も絞られてもっと難しくなるよね」

 今週末のもてぎでau TOM’S GRスープラは全車のなかで唯一、燃料リストリクターが2段階絞られて(径88.6kg/h)、実ウエイトとして48kgが搭載されるため、厳しい戦いになることは間違いない。

 だからこそ、関口/フェネストラズ組としてはこの厳しい一戦をどのように戦い、どのようなレース内容にするかが問われることになる。当然、確実に走りきること、8位以内でフィニッシュすることができれば御の字、さらにほぼ同じ実ウエイトを搭載するKeePer TOM’S GRスープラとWAKO’S 4CR GRスープラの前でフィニッシュすることができれば、今回のもてぎ戦でのミッションは十分にクリアしたことになるだろう。

 フェネストラズは今シーズン、国内の2大トップカテゴリーへステップアップを果たした。8月30日にツインリンクもてぎで行われたスーパーフォーミュラの第1戦でも経験豊富なベテランたちを凌駕し、スーパーフォーミュラで初めてのツインリンクもてぎながら、見事ルーキーで予選2番手、決勝でも3位表彰台を獲得し、ノリに乗っている。

 今年は変則の開催日程でもてぎ戦は今回の第4戦に加え、第7戦にも予定されていることから、フェネストラズとau TOM’S GRスープラにとっては、チャンピオン争いが過熱する第7戦に向けても今週末は貴重なレースとなることは間違いない。雨の予報もあるようで、いずれにしてもGT500ルーキーのフェネストラズがもてぎ戦でどのような走りを見せてくれるのか楽しみだ。

■GT500クラス第4戦で各車両に搭載されるウエイトハンデ

No. チーム名 ウエイトハンデ(kg)
3 NDDP RACING with B-MAX 24
8 ARTA 8
12 TEAM IMPUL 0
14 TGR TEAM WAKO’S ROOKIE 48
16 TEAM Red Bull MUGEN 2
17 KEIHIN REAL RACING 46
19 TGR TEAM WedsSport BANDOH 6
23 NISMO 44
24 KONDO RACING 2
36 TGR TEAM au TOM’s 48(82)※2
37 TGR TEAM KeePer TOM’s 49(66)※1
38 TGR TEAM ZENT CERUMO 24
39 TGR TEAM SARD 34
64 Modulo Nakajima Racing 18
100 TEAM KUNIMITSU 35(52)※1

( )内は数値上の累計重量
※1:SpR第23条2.に則り、50kgを超えたハンデ重量の場合、燃料流量リストリクター径の調整91.8kg/hを併用したハンデが課されるため、上記の値から17kgを差引いた分が実ウエイトにて積載される。
※2:SpR第23条2.に則り、67kgを超えたハンデ重量の場合、燃料流量リストリクター径の調整88.6kg/hを併用したハンデが課されるため、上記の値から34kgを差引いた分が実ウエイトにて積載される。