【今週の気になるニュース】メルセデスのマシンでオーバーテイクできなかったボッタスの苦闘

 今週のニュースはほとんどがピエール・ガスリー初優勝関連。アルファタウリにとっても12年ぶりの優勝だから、当然のことだろう。そんなニュースの影に隠れ、ちょっと気になったのが、バルテリ・ボッタス(メルセデス)の「オーバーヒートに苦しみポジションを取り戻すことができなかった」というコメントが掲載されたニュースだ。

 今回のF1第8戦イタリアGPが、F1史上稀に見る番狂わせとなった背景にはトップを独走していたルイス・ハミルトン(メルセデス)が規則違反を犯して、赤旗再開後のレースで最後尾に下がったこと。フェラーリの2台がリタイアしたこと。そしてレッドブル・ホンダは1台はリタイアし、もう1台はマシンの損傷でペースが上がらなかったこと。つまり、トップ3チームが相次いで優勝争いから脱落していったためだが、その中で唯一、原因不明の失速となったのが、ボッタスだった。

 ボッタスはスタート直後に出遅れ、「パンク、パンク」と叫んだものの、結局タイヤに問題はなく、そのほかマシンにも目に見えるダメージはなかった。しかし、この日、ボッタスはコース上でオーバーテイクされることはあっても、オーバーテイクは一度もできず、5位に終わった。赤旗中断後の再スタートで2つ前だったカルロス・サインツJr.(マクラーレン)が優勝まであと一歩という戦いを演じたことを考えれば、ボッタスが優勝争いに絡んでいても不思議はなかった。

 その理由をボッタスは次のように語っている。
「トラフィックのなかで走っている際にオーバーヒートに苦しめられた。それでどうすることもできなかった。前のマシンに近づくたびに、オーバーヒートが出るために、再び距離を置くか、ストレートでクリーンエアを得る必要があったからね。そうなるとトウ(スリップストリーム)を得ることはできない」

 これが本当なら、今年のメルセデスのマシンは前にマシンがいると、近づくことが難しいマシンだということになる。そのことを伺わせるのは、イタリアGPの予選後にメルセデスのドライバーふたりが語ったコメントだ。それは予選ではスリップストリームを使わないほうが得策だというものだった。

 そう考えると、彼らがそれまで“パーティモード”と呼ばれる、特別な予選モードで何がなんでもフロントロウを独占しようとしていた理由もうなずける。

 ただし、メルセデスが持っているマシンの絶対的なスピードは予選モードが禁止された第8戦イタリアGPでもフロントロウを独占していることから、第9戦トスカーナGP以降の予選でもその優位性は失われることはないだろう。しかし、ボッタスが今年何度かスタートで出遅れているように、スタートで後方に回るケースは考えられる。そうなったとき、メルセデスにとってレースはとても厳しい展開となることが予想される。

 そして、いま考えてみれば、それがF1が導入しようとしていたリバースグリッドレースに対して、唯一メルセデス1チームだけが、反対していた理由だったのかもしれない。