ホンダF1田辺TD会見:「予選モードがなくなって楽になる分を、どう使うか」パワーユニットの“振り分け”が重要に

 今週末の第8戦イタリアGPの最大のトピックは、パワーユニット(PU)の予選モード禁止措置が導入されることだ。より正確には、ICE(エンジン本体)を予選、レースを通じて同一モードで働かせるようになる。それが今後の戦い方に、どう影響するのか。ホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターに、解説してもらった。

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──先週のスパ・フランコルシャンは、結果的にドライ路面に終始しました。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):はい。今週末のモンツァも、安定した天気が続き予報です。徐々に気温は下がっていくようですが、日曜日まで晴れそうです。長い直線とシケインを組み合わせたコースですから、それに合わせた車体、パワーユニットの準備をしています。

──イタリアGPから、予選モードが禁止されます。

田辺TD:正確には予選とレースを同一モードで走らせないといけないということです。具体的にどう対応していくか、FIAから届いた技術指示書の内容を吟味し、何ができて何ができないのか、何か起きた時にどう対処するか、いろいろ検討してきました。モンツァに入ってからはチーム側と改めて、このコースでのフリー走行、予選、レースと具体的にどんな走らせ方をするか、協議することになっています。

 実際にやってみないとわからない部分もいろいろ出てきそうです。その都度、FIAと連絡を取りながらやって行くことになるでしょう。そのなかでパワーユニットの持つ最大限の力を発揮できればと思います。

──今回の変更で、週末の戦い方で一番大きく変わるのはどこになりそうですか?

田辺TD:そこは実際に走り始めてみないとわからないですね。

2020年F1第7戦ベルギーGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)とエステバン・オコン(ルノー)のバトル
2020年F1第7戦ベルギーGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)とエステバン・オコン(ルノー)のバトル

──予選モード禁止によって、パワーユニットの寿命は楽になるだろうと以前仰っていました。

田辺TD:予選モードがなくなって楽になる分を、どう使うかということですね。そこが考えどころです。予選が楽になるのは確かですが、レース中もずっと同じモードで走るわけで、もう前を追いかけられないから落としてセーブしようとか、それもできなくなる。予選からレースの最後まで同じモードで、エンジン本体に同じ負荷をかけながら走り続けないといけない。そうやって予選分を振り分けた時に、今後のレースでどんな負荷になるか。負荷の高いコース、温度の高いコースなど総合的に見ながら、やっていく必要があるでしょうね。そこはもちろん、チームとも綿密に詰めていく必要があります。

──つまりはシーズン終盤までレースを戦うなかで、パワーユニットに蓄積していくダメージをどうコントロールするかということですね。

田辺TD:そうですね。

──予選モード禁止ということは、オーバーテイクボタンもなくなったということですか?

田辺TD:そこは誤解されやすいのですが、今回の措置はあくまでICE(エンジン本体)に関わるもので、ICEモードを同一にするということです。エンジンはずっと同じ力で頑張れ、と。一方で電気エネルギーは今まで通りで、入れたり出したりは自由です。オーバーテイクボタンも使えます。

──この週末は、アルファタウリ・ホンダの50戦目のレースでもあります。

田辺TD:はい。ホンダが当時のトロロッソと組むことを決めたのは、かなり遅いタイミングでした。それで急ピッチで技術面、人間的な面、仕事のやり方、いろいろな部分で理解を深めながら、一緒にクルマを作り上げていきました。そうやって2018年のオフテストに何とか新車を間に合わせた。それから今日まで、2度の表彰台も含め、素晴らしい成果を上げることができました。

 一方でライバルたちがさらに力を伸ばして、中団グループの戦いはいっそう厳しくなっています。ちょっとしたことで順位が大きく動く状況ですが、予選、レースときちんと戦えるようになっていると思います。

 我々が今ここにいて、そしてレッドブルとも一緒にやれているのは、3年前に彼らが組んでくれたからこそです。本当にありがたいと思っていますし、今後もレッドブル、アルファタウリときちんと付き合って、4台がいいレースができるよう、戦闘力を上げていきたいですね。

2019年F1第11戦ドイツGP ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ)が3位をチームと祝う
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2019年F1第20戦ブラジルGP ピエール・ガスリー(トロロッソ・ホンダ)が2位表彰台を獲得
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